日本政府、アフリカとアフガニスタンの子どもの生存とポリオ根絶のために、
国連児童基金(ユニセフ)を通じて、総額23億2千万円の支援を決定
【2007年6月14日、東京/ニューヨーク発】
日本政府は、5月29日の閣議で、ナイジェリア、アフガニスタン、アンゴラ、そしてコンゴ民主共和国(旧ザイール)に対し、総額で23億2千万円の支援を国連児童基金(ユニセフ)を通じて行うことを決定し、これらに関するユニセフと日本政府との署名式が支援対象となる各国で5月31日から6月10日にかけて行われた。この支援により、ポリオ根絶に向けて最重点国になっているナイジェリアとアフガニスタンではポリオの予防対策事業が、また5歳未満児の死亡率が世界で最も高いアンゴラとコンゴ民主共和国では、主な死亡原因のひとつであるマラリア対策を中心に支援事業が行われる。
ポリオは、急性灰白髄炎とも呼ばれ、ポリオウイルスによってもたらされる感染症。感染すると急に足や腕がマヒして動かなくなる病気である。ポリオは、感染した子どもたちの将来の可能性を奪うばかりでなく、強い感染力によって近隣諸国や遠く離れた国まで感染が飛び火するため、世界的な規模で根絶の努力が続けられている。日本政府は、ユニセフ、世界保健機関(WHO)と協力して、1993年からこれまで総額3億1千5百万ドルのポリオ対策支援を行ってきた。世界的な努力の結果、1988年には開発途上国のほぼすべてに蔓延していたポリオが、2006年末までにポリオ持続感染国を4カ国まで減少させることに成功している。
ナイジェリアとアフガニスタンは、インド、パキスタンとともに、世界で4カ国残されたポリオ持続感染国である。また、2003年からの4年間で他の24カ国に発生した68回のポリオ感染例の、実に80%がナイジェリアが感染由来であったため、ナイジェリアは世界のポリオ撲滅にとって最も重要な国であると位置付けられている。一方、アフガニスタンは、国内での治安・政治状況が不安定な中で、カルザイ大統領自身がポリオ予防接種キャンペーンに参加するなど、国を挙げて根絶への努力を続けている。日本政府は、ナイジェリアに総額11億円(うちポリオ分は約9億円)、アフガニスタンに5億円の資金をユニセフを通じて供与し、不足しているポリオワクチンの購入や、住民に対する啓蒙普及活動を支援する。
アンゴラとコンゴ民主共和国は、共に長い内戦を経験した国で、世界で最も子どもの死亡率が高い国に含まれ、アンゴラ(世界第2位)では一年におよそ20万人、コンゴ民主共和国(第9位)では60万人近くの5歳未満児が死亡していると推定される。その約60%はマラリアや下痢などによるもので、適切な予防や治療によって死に至るのを簡単に防ぐことが可能である。
今回の日本政府による支援では、アンゴラには、マラリア感染予防のための蚊帳約41万帳を含む5億7千万円が、コンゴ民主共和国には、同じくマラリア対策を中心に1億5千万円が供与される。
外務省の鶴岡地球規模課題審議官は、「今回のユニセフを通じた協力は、NGOなど現場のネットワークを活用して行われるので、確実に子ども達にその支援が届き、かつ目にみえる結果を出すことが期待できる。ポリオやアフリカのマラリア問題など、国際的に関心の高い課題に対して日本が積極的に支援していくことで、国際社会での日本のプレゼンスがより高まっていくだろう。」と述べた。