ソマリアの宗教的リーダー、ポリオとの闘いに参加
プントランドとソマリランドの族長80人がポリオ予防を支援するため集結
【2007年7月18日、ナイロビ発】
プントランド司法宗教省アブディリザック・ヤスミン・アブドゥル大臣は今日(18日)、北東ソマリアの宗教的リーダー40人を率い、ポリオの予防と予防接種を支援するという共同宣言を発表した。
「我々は大きな責任を負っている。今こそ、族長たちがアッラーの前でポリオ撲滅に責任を持つ時である。我々はすべての5歳未満児に予防接種を実施することを呼びかけ、子どもたちのために活動する」。大臣はこのように述べた。
この宣言は、ソマリアのポリオ・プログラムにとって大きな前進となるだろう。ソマリアでは、子どもの予防接種を拒否する理由として宗教的信条を挙げる親からの抵抗に直面してきたからである。
ほぼ3年連続してポリオが発生していなかったソマリアでは、2005年7月に再びその発症が確認され、発生件数は2005年に185件、2006年に36件、2007年に8件となっている。
宗教的リーダーを代表して宣言を行なったソマリランド宗教省モハマウド・シェイク・スフィ・モハメッド大臣は次のように述べた。「イスラム教の学者はポリオ撲滅と予防接種について、地域社会の意識啓発を効果的に支援することが求められている。事実を知り物事を検証することは、イスラム教がいかなる事項についても求めていることである。イスラム教は、知識にもとづかない偽りや噂に従うことを拒否している」。
影響力の大きい族長たちからの公的な支援表明は、ガロウェでの2日間のワークショップを受けて行なわれた。ワークショップの期間中、族長たちはアル・アザハル大学の著名なイスラム教学者であり医師でもあるアハメッド・ラガー・A・ラガブ博士と出会った。博士は、ポリオの予防接種やワクチンについての噂、伝説、誤解を払拭した。
ガロウェのワークショップは、6月27日と28日にソマリランド(北西ソマリア)のブラオで行なわれたイベントを受けて、7月2日・3日に開催された。プントランドとソマリランドのワークショップを後援したのはそれぞれの宗教省と保健省であり、これをユニセフが支援し世界保健機関(WHO)が協力した。
ユニセフ専門家のアン・ダヘール・アデン氏はワークショップの成功を説明し、こう述べた。「我々はソマリアの宗教的リーダーたちと接触するにあたり、彼らの考え方に大きな敬意を払った。またすべての疑問や懸念を理解し、それに答えた。そしてついに、参加者たちの間に予防接種への信頼を築くことに成功したのである」。
ワークショップによって、宗教的問題と科学的問題の双方がとり上げられて明確にされた。ラガブ博士は、予防のメカニズムとしての予防接種はイスラム教において合法事項であり必要なことである、とコーランやハッジに言及して説明した。彼は、地域社会と親が子どもの健康に責任を負っていることを明らかにするため、宗教的な詩を引用し、予防接種を通じて病気予防を支援すること、子どもの福祉に反するような噂の蔓延を非難すること、地域社会の宗教的リーダーには予防接種を支援する責任があることを強調した。
参加者はまた、ポリオ予防における国連の役割やポリオ感染の形態とその影響、経口ワクチンの安全性と服用量、ワクチンの保存方法、キャンペーン、疾病調査などについて学び、コールドチェーンと安全なワクチン接種法についての実演も見学した。ガロウェでは、ポリオが原因で下肢が麻痺した若い男性が証言し、ポリオが引き起こす障害についての強いメッセージとなった。
ワークショップが終わるまでに、宗教的リーダーたちは支援を誓っただけでなく、子どもへの予防接種に地域社会を動員するにあたっての自らの役割を明確に理解した。彼らは、主要なメッセージや子どもの健康を守るための合意を地区レベルで共有するとともに、今後のポリオ・キャンペーンでは予防接種を呼びかけるメッセージをモスクから放送することに合意した。
「我々は医師の決定に賛同する。噂は間違っていた。宗教的リーダーたちはすべてのモスクと地域社会で意識を啓発しなければならない」と、プントランドのハジ・アリ・アハメド族長は語った。
次回のポリオ・キャンペーンはソマリアとソマリランド全域で、2007年7月末および8月末の1週間に実施されることになっている。また地域でのキャンペーンは、ポリオの発症が確認された時など、必要に応じていつでも実施される予定である。