開発のリーダーが指摘
最貧国の母子保健は大きく前進、マラリアとHIV/エイズによる死亡が減少
ミレニアム開発目標の達成に近づいたが、周縁化されている人々への一層の対策強化が必要
【2008年9月23日 ニューヨーク発】
保健分野のリーダーたちは今日(9月23日)、子どもと妊産婦の死亡をこれまで大きく減少させてきたが、ミレニアム開発目標の4・5・6を達成するためには、世界で最もアクセスが難しく疎外されている弱者への対策を推進する戦略が必要だと述べた。
エチオピアの保健相と、GAVI(ワクチンと予防接種のための世界的同盟)、UNAIDS(国連合同エイズ計画)、世界エイズ・結核・マラリア対策基金およびユニセフの4つの国際組織の事務局長は、いっそうの資源の投入や新たな連携と技術、安定的で長期的なドナーからの支援により開発途上国における予防接種普及率やマラリア予防のための大規模キャンペーン、エイズとマラリア治療の受診状況に大きな前進が見られ、保健関係者間の調整も改善したと述べた。
エチオピアの保健大臣は、ミレニアム開発目標の達成に向けた国家としての強いコミットメントを表明し、次のように述べた。「エチオピアはミレニアム開発目標4(乳幼児死亡率の削減)の達成に向けて順調に前進しているが、この前進を継続するためには、わが国の保健計画に対してドナーからのいっそうの支援が必要だ。」
2015年までに子どもの死亡を今の3分の1にするというミレニアム開発目標4の達成にとって、予防接種率の増加は不可欠である、と専門家たちは述べている。ポリオは撲滅寸前であり、最貧国の子どもの最大の死亡原因のはしかも劇的に減少している。マラリアによる死亡も協調努力によってアフリカ各地で半減し、殺虫剤塗布済みの蚊帳の利用も拡大した。髄膜炎の主原因であるHib(ヘモフィルス−インフルエンザb型菌)感染症も、アフリカのいくつかの地域でほぼ撲滅された。昨年に抗レトロウィルス薬治療を受けた人は、一昨年(2006年)より100万人以上増加し、世界でHIVに感染して生活する約300万人(うち200万人はサハラ以南のアフリカ諸国)が今も治療を受けている。
過去8年間でマラリア撲滅のための国際的な投資は10倍、エイズ撲滅への投資は8倍も増加した。世界エイズ・結核・マラリア対策基金だけでも、2002年の創設以来114億米ドル相当の資金をプログラムに出している。このような空前の資金増加により、死亡率や疾病率の減少が確実に促進されつつある。
GAVIは、幼少期に必須の基本的ワクチンを開発途上世界に届けてきた。2000年の創設以来、GAVIの支援によって290万人の死亡が予防され、3680万人の子どもがワクチンで守られた。予防接種率は多くの国々で70%以上に達している。
UNAIDSのピーター・ピオット事務局長は次のように述べた。「今日、以前より多くの人々がより長くより健康な状態で生きていられるのは、HIV治療へのアクセスが増えたおかげである。これは大きな資金投資と保健制度の改善がなければ、実現されなかっただろう。今後の課題はこれらの成果を継続させ、周縁化されている人々により公平な機会を実現することである。」
ユニセフのアン・ベネマン事務局長はこう述べた。「最新の統計で、2007年、5歳未満児の死亡率が継続的に減少したことがわかっている。はしかと破傷風の予防接種、殺虫剤塗布済みの蚊帳の普及、HIVの母子感染予防の成功の継続が、この明るい傾向を維持するだろう。」
しかし専門家たちは、このような改善にもかかわらず、ミレニアム開発目標の達成や社会的、性的、民族的、地理的に公衆衛生サービスを平等に実施するためには、さらに手間とコストがかかると見ている。
「これまでの成功にもかかわらず、我々はワクチンをもっとも弱い立場にある子どもたちに届けるための大きな課題に直面している。課題はますます困難になり、距離はいっそう広がっている。我々が到達しなければならない地域の保健制度はきわめて脆弱だ。我々は、今も予防接種を受けられない子どもにワクチンを届けるため、最良の戦略をとらねばならない。」GAVIジュリアン・ロブレビット事務局長はこのように述べた。
世界エイズ・結核・マラリア対策基金のミシェル・カザチェキン事務局長も、「マラリアとの闘いを前進させれば子どもの死亡率を下げることができ、ミレニアム開発目標4を達成できるだろう」と述べた。「しかし、最近の大きな前進を母子保健ケアの継続的持続的発展を強化する必要がある。」
UNAIDSのピオット事務局長は、エイズ対策を通じて学んだ教訓に言及し、「市民社会を改革することと権利に基づいたアプローチを実施することが保健制度を強化し、人々にその恩恵をもたらすことができる」と述べた。
これらの専門家たちは、開発が各国で最優先課題であり国家の長期計画であるべきだとも述べている。「旧態依然を改め、国家主導のアプローチをとることを、開発機関やドナー団体、国際的な民間組織の基本原則とする必要がある」とロブレビット事務局長は述べた。
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