メニューをスキップ
公益財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

ソマリア 5種混合ワクチンの予防接種を開始
対象は1歳未満の子ども42万5000人 計3回の接種

【2013年4月24日 モガデシュ/ガローウェ/ハルゲイサ発】

© UNICEF Somalia/2013/Holt
モガデシュの保健センターで新しい5種混合ワクチンを受ける赤ちゃん

2013年4月24日より、ソマリアで、新たに5種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳・B型肝炎・Hib=ヘモフィルスインフルエンザ菌 b 型)のワクチンが子どもたちに接種されることになります。いずれの感染症も、感染すれば子どもたちの命を左右する、予防接種の効果が高いものです。定期的に実施されている予防接種プログラムのひとつに、このワクチンが加わります。

今年、130万本以上の5種混合ワクチンが提供される予定。このワクチンは期間をおきながら3回接種する必要があります。ソマリアでは、年間42万5000人の赤ちゃんが出生しており、1歳未満の子どもたちが接種対象です。ワクチンは、保健センターなどに輸送され、地域の保健員などの手で子どもたちに接種されます。

4月24日、首都モガデシュのほか、プントランドのガローウェ、ソマリランドのハルゲイサで、5種混合ワクチン接種開始の記念式典が開催され、政府関係者、GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)、ユニセフ、およびWHOの代表者が出席しました。

「ソマリアは、世界で最も予防接種率の低い国の一つです。20年以上続いた内戦で、ソマリアの保健システムは崩壊し、何千人もの子どもたちが予防可能な病気で命を落としました。このような状況が見逃されてはなりません。このため、GAVIアライアンスとその支援者は、2016年までの予防接種事業の資金提供を約束したのです」と、GAVIアライアンスのセス・バークレー代表は述べました。

ソマリアでは、これまで3種混合(DPT:ジフテリア、破傷風、百日咳)ワクチンが接種されてきましたが、5種混合に切り替わります。これに合わせて、親や保護者を対象に、予防接種の重要性を伝える啓発活動も実施されています。

© UNICEF Somalia/2013/Holt
保健センターで予防接種を受けるため、順番を待つ母親と子どもたち

ユニセフと関係省庁が実施した最近の調査(MICS4)では、1歳の誕生日までに、3種混合ワクチンを3回接種した割合は、プントランドでわすか7%、ソマリランドでは11%でした。予防接種は、1回受けただけでは十分に免疫が作られません。必要回数を受けることで、予防の効果が高まるのです。

「ソマリアの子どもたち全員が、5種混合ワクチンを受けることが重要です。すべての親、コミュニティ、地域や宗教指導者たちに、子どもたちを予防可能な病気から守るため、予防接種活動に加わることを願います」と、ユニセフ・ソマリア事務所のシカンダ・カーン所長は訴えます。

内戦で国が荒廃したソマリアは、子どもや妊産婦の死亡率が世界で最も高い国のひとつです。実に、ソマリアの子どもの5人に1人は、5歳になる前に亡くなっています。

Hibを含む5種混合ワクチンの導入は、子どもたちの命を最も多く奪う病気の一つである肺炎の予防に効果があります。

「公衆衛生上、HibとB型肝炎の予防接種の実現は重要です。ソマリアには、HibとB型肝炎、また髄膜炎や肺炎の影響を示す疫学的なデータはほとんどありませんが、近隣諸国や開発途上国のデータでは、Hibが急性細菌性髄膜炎の主原因となっており、重度の肺炎を引き起こしていることは明らかです」と、WHOソマリア事務所のマース・エベラルド所長は語りました。

ソマリアは、GAVIの支援を受け、5種混合ワクチンが導入された71番目の国になります。これまでに、アフガニスタン、北朝鮮、東ティモール、パキスタン、イエメンにも導入されています。2014年末までに、GAVIは支援対象としている73カ国すべてに、5種混合ワクチンを導入する予定です。

ソマリアでの5種混合ワクチンの導入は、アブダビ(アラブ首長国連邦)で4月24-25日に実施された世界ワクチンサミットにあわせて実施されました。4月24-30日の世界予防接種週間にあわせ、ユニセフとWHOは、ソマリア国内でポリオの予防接種キャンペーンを展開しています。

【補足】
Hib(インフルエンザ菌b型)は、世界の5歳未満児死亡のうち、ワクチンで予防可能な病気による死の3番目の原因となっている、命に関わる細菌です。Hibは、髄膜炎や肺炎などを引き起こし、麻痺などの後遺症や聴覚への障害、また脳にも影響を与えます。Hibは、感染した人の咳や鼻水などから感染します。

B型肝炎は、HIVの50倍以上感染力の強いウィルス感染であり、B型肝炎によって、毎年60万人以上が慢性または急性の肝炎を発症しています。乳幼児は、B型肝炎の感染の可能性が最も高く、出産前後に母体から感染することが多く、肝硬変や肝臓がんを発症するリスクが高くなります。

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る