|
|
ユニセフ・WHO最新の報告書を発表
|
© UNICEF/DRCA2011-00134/Asselin |
ユニセフと世界保健機関(WHO)は、新たな共同監査プログラム(JMP)報告書を発表。『衛生施設と飲料水の前進:2013』と題するこの報告書は、現状の取り組みのままでは、ミレニアム開発目標(MDGs)達成目標年の2015年時点で改善された衛生設備(以下、トイレと記載)を使えない人は、世界人口の3分の1にあたる約24億人に上るとしています。
MDGsは、2015年までに、トイレが使えない人の割合を1990年時点と比べ半減するという目標を掲げていますが、本報告書は、現状の取り組みのままではこの目標の達成は厳しく、新たに5億人への支援が必要と指摘しています。
ユニセフとWHOは、昨年、ミレニアム開発目標の指標のひとつ「安全な飲料水を使えない人々の割合を半減する」という目標が、2015年の目標達成期限より早く2010年時点で達成されたことを発表しました。しかしこの一方で、今回の報告でも指摘されたとおり、“トイレ”の分野の取り組みは立ち遅れており、一層の取り組みが強く求められています。
© UNICEF/NYHQ2012-0319/Asselin |
「(こうした問題の解決には)政治的な意思、資金、リーダシップの役割は欠かせず、それぞれがそれぞれの役割を果たすことが急がれます。そうすれば、世界的に取り組みが加速し、ミレニアム開発目標を達成することも可能となります。世界が変化し、いまだに簡単なトイレさえない何百万もの人々の生活が一変するはずです。保健(基礎的な医療の)分野に多大な恩恵がもたらされ、貧困の源が根絶され、人々の生活と福祉が改善されるでしょう」WHOのマリア・ネイラ公衆衛生環境部長はこう話しました。
本報告書は、ヤン・エリアソン国連副事務総長が、2025年までに屋外での排泄を根絶するために、 世界がともに、そして直ぐに行動を起こすよう呼びかけていることも取り上げています。ミレニアム開発目標の達成期限である2015年まで3年を切り、ユニセフはWHOと共に、トイレに関する目標達成に向けて、取り組みを強化しようと呼びかけています。
「これは、大地震や津波に匹敵するほど恐ろしい緊急事態です」こう話すのは、ユニセフのサンジャイ・ウィジェセケラ水と衛生事業担当部長です。「毎日、何百人もの子どもたちが命を落とし、毎日何千人もの親が息子や娘を失った悲しみを経験しています。この深刻な悲劇に直面し、私たちにはできることがあります。行動を起こさなければなりません」
本報告書は、水とトイレの利用に関する国連ミレニアム開発目標の進捗状況を確認するため、国連が毎年発行しています。報告書全文と国別の統計(英文)は、http://www.wssinfo.orgからダウンロード可能です。
■補足:ユニセフが進める「コミュニティによる包括的な衛生への取り組み」について
ユニセフは、サハラ砂漠より南のアフリカならびに南アジアの50ヵ国以上で、コミュニティによる包括的な衛生への取り組み(Community Approaches to Total Sanitation :以下CATSと記載)の支援を行っています。この5年間で、CATSにより、39,000 以上のコミュニティの2400万人以上が、屋外排泄をやめることに成功しました。CATSでは、ユニセフやパートナー団体の支援を受け、コミュニティが自らの衛生状況や習慣を分析して衛生の問題を認識し、自らトイレを作り、衛生習慣を取り入れ、衛生環境全般を改善していく手法です。