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ユニセフ・ユネスコ最新報告書発表
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© UNICEF/SLRA2013-0251/Asselin |
黒板の文字を読む女の子(シエラレオネ) |
ユニセフ・西部中部アフリカ地域事務所代表のマニュエル・フォンテーンは「西部中部アフリカでは、学齢期の子どもの5人にひとりは、一度も学校に通ったことがありません。教室も質の保たれた教員もさらに必要ですが、それだけでは、最も学校に通うのが難しい子どもたちが学校に通えるようにはなりません。多くの場合、子どもたちの家族は、月謝を払ったり、基本的な学用品をそろえたりといったことができないのです」と述べました。
ユネスコ・サヘル地域事務所のアン・テレーズ・ドン・ジャタ代表は「西部中部アフリカで学校に通えない子どもの割合は28%と、世界で最も高くなっています。約1,900万人もの子どもが教育を受けられないのです」と述べ、「こうした状況は、主に二つの要因で起きています。第一に、農村部に暮らす子どもたちの教育へのアクセスが、歴史的にも長きにわたって、限れたものになっています。これを打破しなければなりません。第二に、学齢期の人口が増加しており、質の保たれた教育へのニーズも高まっています。こうした動きにも対応しなければなりません」と続けました。
「学校に通えない子どもたちに関する世界イニシアティブ」が指摘した2点目の差し迫った課題−質の保たれた教育へのニーズ−は、多くの学校で質を伴わない教育が行われていることを意味しています。この問題は、時に「学習危機(learning crisis)」ともいわれます。
ユニセフ・東部南部アフリカ地域事務所代表のレイラ・パッカラは「教室は子どもたちであふれかえり、学用品も教員も足りません。多くの子どもたちが、留年し、基礎学習を修了することなく中退しています。学習成果と国の経済力は密接に結びついており、こうした事態は深刻な懸念といえます」と述べました。
© UNICEF/UKLA2013-02162/Matas |
洪水により設置された国内避難民施設にある学校で勉強する子ども(チャド) |
報告書は、乏しい収入への取り組みの重要性と、場所や性別の問題についても強調しています。また、教育の改善においては、文化や言語、安全面、環境の検討が不可欠であると指摘しています。さらに、学校に通えていない子どもたちを通えるようにするには、分析と証拠に基づく計画が必要であるとも強調しています。
ユネスコ・東部アフリカ地域事務所代表のモハメッド・ジェリドは「簡単にはいきません。子どもたちが学校に通えるようにするには、家族が負担しなければならない実質的な費用を削減するための特別な取り組みが必要です。また、特に最も人里はなれたコミュニティに暮らす女の子や社会的に厳しい状況に置かれているグループ、障がいのある子どもたちといった、最も学校に通えず、中退してしまうリスクが高い子どもたちの保護者にも、子どもたちを学校に通わせるよう、働きかける必要があります」と述べました。
ユニセフとユネスコは、アフリカ諸国の政府や支援者に対し、無償で質の高い教育を提供することに再度注力するよう、求めます。子どもたちの背景や環境に関わらず、すべての子どもたちが学校で教育を受けられるようにすることが究極の目標です。
■参考情報
本報告書は、ユニセフとユネスコ統計研究所が30カ国以上でパートナーシップを結んでいる「学校に通えない子どもたちに関する世界イニシアティブ(英語表記:Global Initiative on Out of School Children)」の一環として実施されました。報告書では、どのような子どもたちが学校に通えないのか、なぜ通えないのか、子どもたちが学校に通えるようにするにはどのような戦略が必要かなどが明らかになっています。
教育のためのグローバル・パートナーシップを含む複数のパートナーの支援を受け、「学校に通えない子どもたちに関する世界イニシアティブ」は、新たに20カ国を加え、第二段階となる調査を実施しています。
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