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ユニセフ議員連盟 ウガンダ視察を報告
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c UNICEF Uganda/GuluAmuru5/Chulho Hyun |
北部ウガンダの難民キャンプを訪れた谷垣ユニセフ議連会長 |
ウガンダ北部では、20年にわたってウガンダ政府と反政府軍「神の抵抗軍」(LRA)の間で紛争が繰り広げられました。民間人の居住地や避難民キャンプが襲撃され、略奪や虐殺が横行したこの紛争で、1万2千人以上の人が命を落とし、2万5千人の子どもが拉致され戦闘に従事させられたと言われています。避難民も150万人以上にも上り、終結後の今も大きな傷跡を残している大変大きな紛争であったにも関わらず、国際社会の関心は低く、「忘れられた人道的危機」と呼ばれています。
報告会では、ユニセフ議員連盟のメンバーが、避難民キャンプ、水道施設、リハビリ施設等の様子を報告。直接目に映る暴力による被害にとどまらず、紛争がもたらす目に見えにくい心理的苦痛や貧困、病気など、ウガンダ北部が今も抱える人道危機の規模の大きさ・複雑さに対する理解を求めました (詳細はこちら)。
また、この報告会には、今回視察先となったウガンダ北部のユニセフ・グル地域事務所の篭島(かごしま)まり子所長も参加。「ウガンダの内戦と子どもたち」というテーマで報告を行い、紛争に巻き込まれた子どもたちを取り巻く過酷な現状と、継続的な支援の必要性を訴えました (詳細はこちら)。
報告会に参加した国会議員の間では、党派の垣根を超え、ウガンダの現状と今後の支援のあり方について活発な議論が交わされ、日本政府と、国際機関、NGOなどが連携してこの問題に取り組むこと、そしてウガンダの自立を促す支援を提供していくことが提案されました。
ウガンダは希望と課題が混在する国です。ウガンダは資源が豊富で経済成長が進む一方で、ウガンダ北部で20年以上続いた武力衝突の結果、国は荒れ果て、人々は過酷な状況下での生活を余儀なくされています。産業活動は困難を極め、結果、貧困から抜け出せず復興が遅れているのが現状です。
武力紛争の最大の犠牲者は子どもと女性です。150万人以上いると見られる国内避難民のうち7割が子どもと女性が占めています。密集して基礎的なサービスが不足している避難民キャンプでは、栄養不良や感染症などの病気の蔓延を助長しています。
© UNICEF Uganda/GuluAmuru47/Chulho Hyun |
ウガンダはアフリカの子どもの典型的な問題が凝縮しています。食料や、安全な水、衛生環境の欠如は、子どもを脆弱にし、生命を脅かしています。ウガンダは乳幼児死亡率が世界で最も高い国の一つです。日本政府の支援で設置された水道施設のモーター可動式のポンプを見学した際、安全な水の重要性を改めて実感しました。
紛争に責任がないにもかかわらず、多くの子どもが紛争によって深刻な被害を受けています。武装した兵士は、何の罪もない子どもを大勢殺傷しました。何とか生き延びても、拉致されて強制的に子どもの兵士や兵士の妻にされた子どもも少なくありません。
特に、女子は性的搾取の標的にされ、紛争後も偏見や差別に苦しめられています。私達は、被害者の社会復帰を促進するために設立された聖モニカ職業訓練所を視察しました。実際に彼女達に接し、彼女達がこうむった心理的・心理社会的苦痛を垣間見て、胸がつまされる思いがしました。
今回の訪問・報告会を通じて、ウガンダの実情、特に紛争の最大の被害者である子どもに関する理解を深めることができました。この学んだことを生かしながら、ウガンダの復興のために日本政府がどのように貢献できるのか考えていきたいと思います。
ウガンダの復興と更なる発展のためには、日本から提供されるODAが地域に根ざした、継続的な支援プログラムに利用されることが重要です。持続性の高いプログラムとは何か —それは、国内での産業を活発化させインフラを構築して、ウガンダ政府が自立できるように環境を整えることに他なりません。また、国内避難民の自発的な帰郷を促すためにも、住民やコミュニティにも復興へのプロセスに参加してもらうことが不可欠です。そのためには、政府・国際機関だけではなく様々な関係者・関係機関との連携を強めていく必要があります。
ウガンダ政府と反政府軍「神の抵抗軍」(LRA)の間で繰り広げられた武力衝突では、一般の人々が大きな被害を受けました。LRAが引き起こした大きな問題は、子どもを拉致し戦闘に駆り出したり、性的搾取を行ったりしたことです。2万5千人以上が兵力として誘拐されました。内戦が終結した現在においても、3000人の子どもが依然としてLRAに拘束されていると見られています。
© UNICEF Uganda/Chulho Hyun |
子どもの心の傷の回復や社会復帰は容易ではありません。残虐行為を目のあたりにするだけではなく、子どもはLRAに戦争犯罪を行うよう強要されました。時に、友達を殺すように命じられ、拒否した子どもはその場で射殺されました。家族のもとに逃げ帰ると皆殺しされるために、子どもは黙って兵士に従うしかありませんでした。このことで「被害者」である子どもが、周囲から「加害者」と拒絶され、社会に戻ることを困難にさせています。
© UNICEF Uganda/Chulho Hyun |
紛争に巻き込まれたのは男子だけではありません。あまりに多くの女子が成人兵の妻にされたり、レイプされたり性的搾取の犠牲になりました。拉致された女性が「戦時ベビー」を連れてやっとの思いで戻ってきても、「虐殺者の子どもを産んだ」としてコミュニティから偏見・差別を受けます。HIVなど性感染症の拡大も重要な問題となっています。
これらの深刻な状況に対処するために、ユニセフは保健・栄養・教育・水と衛生事業に加え、子どもたちの心のケアや社会復帰に焦点を当てて取り組んでいます。
子ども、特に女子の社会復帰には初等教育サービスを充実させることが大切です。多くの女子が「学校の先生」や「看護婦さん」なりたいと話しています。そのかけがえのない夢を叶えるためにも、教育は必須です。女性の継続的な社会参加にむけての対策も含め、ウガンダ政府やコミュニティと共に取り組むことが重要です。
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ウガンダをはじめとする「忘れられた緊急事態」でのユニセフの支援活動にも役立っています。 是非、ユニセフ・マンスリーサポート・プログラムにご参加ください。