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公益財団法人日本ユニセフ協会

イラク北部:
ヤズディ教徒最大3万人への支援を拡大
エルビルにはキリスト教徒1万2,000人が避難

【2014年8月12日 エルビル(イラク)発】

シンジャルの山岳地帯からシリアの国境付近へ避難するヤズディ教徒たち。(イラク)
© UNICEF/NYHQ2014-1097/Khuzaie
シンジャルの山岳地帯からシリアの国境付近へ避難するヤズディ教徒たち。

イラク北部で続く人道危機。ユニセフは他の人道支援団体とともに、シンジャルの山岳地帯で身動きの取れなくなっている少数民族ヤズディ教徒最大3万人への緊急支援活動を拡大しています。さらに、クルド自治区の首都エルビルに避難しているキリスト教徒1万2,000人への活動も行っています。

ユニセフ・イラク事務所代表のマルツィオ・バビルは「ユニセフは、シンジャルの山岳地帯で身動きの取れなくなっている何千もの子どもたちと、脱出してきた人たちの命と運命を大変憂慮しています。山岳地帯から救助された人たちは増えており、昼夜を問わず、支援活動を行っています。こうした方々には、急性脱水症状や体調悪化、栄養不良、ショックがみられます」と述べました。

ユニセフ、緊急支援物資を配布

避難してきた方たちが到着している場所近くに、ユニセフは、これまでにトラック30台分の支援物資を届け、ドネツク州で支援物資の配布も行っています。

さらに、この24時間内に、緊急食糧1,100カートン、栄養価の高い補助食品500カートン、経口補水塩40箱、72平方メートルのテント15張などが届いています。今後48時間以内には、緊急支援物資合計60トン近くを輸送する予定です。

ユニセフが配布した緊急支援物資の衛生用品の詰め合わせやバケツと避難している子どもたち。(イラク)
© UNICEF/NYHQ2014-1104/Khuzaie
ユニセフが配布した緊急支援物資の衛生用品の詰め合わせやバケツと、避難している子どもたち。

また、ユニセフはクルド自治政府と緊密に協力し、避難してきた数千世帯が直ちに日用品を購入できるよう、総額500万米ドル(約5億1,000万円 ※1米ドル=102円で換算)の大規模な現金支給プログラムを計画しています。

8月2日以降、ユニセフはパートナー団体とともに、ドホーク州の20カ所で、子どもと女性、その家族7万3,452人に人道支援を行ってきました。これまでに、飲料水55万2,000ボトル、緊急食糧4万4,000パック以上、バケツ1万個、棒状の石けん1万本、衛生用品の詰め合わせ9,300セット、貯水用容器5,500缶、毛布1,500枚、乳児用の衛生用品の詰め合わせ1,000セットなどを提供しています。

エルビルに避難している人は1万2,000人近く。ユニセフは飲料水7万8,000ボトルのほか、貯水タンク3基を提供しました。ユニセフのスタッフは、家族とはぐれた子どもたちの状況や子どもの権利侵害の状況もモニタリングしています。また、パートナー団体との緊密な協力の下、避難してきた家族の受付と支援センターの設置を支援しています。

■参考情報:シンジャルならびに国内の避難状況

<8月5日 ユニセフ発表>

  • シンジャルにいた子どもたちは少なくとも15万人(国内避難民を含む)
  • シンジャルから避難してきた人たちのうち、子どもは最大で2万5,000人
  • 8月3日のイスラム国によるシンジャル制圧により、ヤズディ教徒はシンジャルの山々に避難
  • 2日間で、暴力、避難、脱水症状によって、子ども40人が死亡との報道

全文:イラク北西部・シンジャル 暴力、避難、脱水症状で子ども40名死亡 ユニセフ・イラク事務所代表声明

<8月8日 IOM(国際移住機関)発表>

  • 「イスラム国」とクルド自治区の民兵組織の衝突を受け、8月7日、イラク国内の避難民が100万人を突破
    (これまでの避難民とシンジャルからの避難民の合計を合わせた数字)
  • 2014年1月にイスラム国が侵攻を始めて以降、避難民の数は最大に
  • IOMの即応アセスメントチームによると、2014年1月以降、イラク国内1,381カ所に17万6,150世帯(推定105万6,900人)が避難、うち54%にあたる9万4,597世帯(約56万7,582人)が、6月以降に避難

イラクの総人口 3,277万8,000人⇒国民の3%が国内避難民に(出典:ユニセフ『世界子供白書2014 統計編』)

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