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公益財団法人日本ユニセフ協会

イラク北部・サラーハッディーン県
2カ月包囲下にあったアメルリに人道支援
包囲中、子ども2名・妊婦7名死亡との話も

【2014年9月3日 エルビル(イラク)発】

支援物資を受け取ったヤズディ教徒の子ども。(イラク)
© UNICEF Middle East and North Africa/2014
支援物資を受け取ったヤズディ教徒の子ども。

9月3日、ユニセフの保健、水と衛生、保護、緊急支援の専門家は、イラク北部のサラーハッディーン県アメルリへの国連機関による調査と支援活動に参加しました。

今回の支援は、アメルリが8月31日朝に2カ月に及ぶ包囲を解かれてから、初めての国連による人道支援となりました。

2カ月間続いた包囲

ユニセフは、この2カ月間、3,000人の子どもたちが包囲下で生活していたと推計。現地の人道状況は、依然として極めて厳しいものです。包囲中、食糧供給は減少、衛生用品や医療品も不足、安全な飲料水へのアクセスも限られました。

ユニセフは地元行政職員と面会。職員らは、パンと水だけで生活せざるを得なかった人々を含め、アメルリの住民がおかれていた厳しい状況をユニセフに伝えました。

アメルリの町には医師はおらず、薬剤師から包囲中、子ども2名と妊娠中の女性7名が死亡したとの話を聞きましたが、今回の活動中に、この報告の実証には至りませんでした。

アメルリの町長は、ユニセフに、食糧と水、医療品を含めた物資の追加提供を要請。また、町に唯一あった診療所の修復支援も訴えました。町長は、町にある11の小学校が、新学期を迎えられそうにないことに懸念を示しました。

包囲中、水や電気といった基本サービスは切断されていましたが、徐々に復旧しています。

2日間で100トン以上の支援物資

緊急支援物資の世帯向け・衛生用品の詰め合わせを受け取る避難している男性。(イラク)
© UNICEF/NYHQ2014-1102/Khuzaie
緊急支援物資の世帯向け・衛生用品の詰め合わせを受け取る、避難している男性。

包囲が解かれた後の2日間で、ユニセフは、アメルリの住民1万5,000人用に、トラック15台で100トン以上の物資を発送。

これらの物資には、世帯向けの食糧や診療所用の経口補水キット、緊急用の食糧、栄養不良児用の治療食、世帯向けの衛生用品の詰め合わせ、飲料水8,490ボトルなどが含まれます。

しかし、これらの物資だけでは不十分です。アメルリの子ども、女性そして家族に、さらに人道支援物資の提供が必要です。

1月以降、ユニセフはイラク国内で、64万1,243人に緊急支援を行っています。

8月だけで、360トン以上の人道支援物資を、31万4,000人以上に届けています。これらの物資には、飲料水、高エネルギービスケットといった補助食品、緊急保健キットなどが含まれます。

イラク情勢レポート(報告期間:8月26日〜9月1日)

<概況>

  • 最新のOCHA(国連人道問題調整事務所)の統計によると、今年1月以降、イラクでは180万人が国内避難民に、うち85万人がクルド自治区に
  • 残る100万人近くは、国内各地に散り散りに避難しているため、効率的な人道支援が困難に
  • 国内避難民180万人に加え、シリアからの難民も
  • 新たに、北東部のディヤーラ州で10万人が避難民に
  • ティクリートへの空爆を受け、イラク南部への避難民の流入が続く、サラーハッディーン州でも避難民発生
  • 8月の犠牲者はおよそ1,420名
  • イラク北部では、避難所が大きな課題に
  • クルド自治政府により、自治区内の3州に26のキャンプを設置し、24万人の収容を目指す
  • しかし、長期の使用を目的としたものや、防寒対策を施したキャンプを設けるには、資金が不足
  • すでに、エルビルとドホークで計4つのキャンプが開設
  • キャンプに優先的に入るのは、現在学校(14万人が避難)やモスク、建設中の建物などに避難している人
  • 国内では学校2,000校以上が避難所となっており、教育に影響
  • キャンプへの移動ができても、新学期の開始を遅らさざるを得ない学校もある
  • 8月31日、上記のとおり、サラーハッディーン州のアメルリが包囲から解放、アメルリの35村はISISの支配下にあり、1万〜1万4,000人に食糧を含めた緊急支援が必要

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