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公益財団法人日本ユニセフ協会

エチオピア:
130万人に予防接種を実施
国境を越えた取り組みでポリオ根絶へ

【2014年5月12日 ソマリ州(エチオピア)発】

エチオピア・ソマリ州でポリオの予防接種を受ける子ども。
© UNICEF Ethiopia/2013/Sewunet
エチオピア・ソマリ州でポリオの予防接種を受ける子ども。

2013年10月3日、エチオピア全土130万人の子どもたちを対象に、ポリオの予防接種キャンペーンが実施されました。このキャンペーンは、ドーロ・アド(Dollo Ado)難民キャンプで同年6月に開始されたポリオに対する緊急対応に続くものでした。開始直後の7月には、エチオピアでは2008年以降初となる野生株ポリオウイルスが確認されていたのです。

4歳の女の子、アヤン・ヤシンちゃんは、エチオピアで2008年以降初めて確認されたポリオ患者のひとりです。アヤンちゃんはソマリ州ジェラッディ郡から3キロほど離れた、人里離れた地域にあるブリキや木材、織物のベッドシートで作られた家で、両親と一緒に生活しています。ソマリアとの国境付近で生活しており、エチオピアとソマリアを頻繁に行き来する生活を送っていたため、アヤンちゃん一家は定期的に実施される予防接種を受けることができていませんでした。

父親は具合が悪くなったアヤンちゃんをソマリアにある最寄りの病院に連れて行きましたが、絶望的な状態だと告げられました。そして何軒もの保健施設を訪れた後、ようやくポリオに感染していることが判明しました。「ポリオは、“風の病”と呼ばれています。治療法はなく、麻痺が残ったり、命を落とすこともある病です。娘は命こそは助かりましたが、一生残る障がいを負ってしまいました」

5万人近い保健員とボランティア、そして1万6,000人の指導員が、辿り着くことが困難な人里離れた地域を含む、エチオピア全土に派遣されました。アラブ首長国連邦・アブダビのCrown Prince Courtの支援を受け、ユニセフはソマリ州の子どもたちや難民に予防接種を行うためのワクチンを調達しました。243万人の子どもたちにポリオの予防接種を行うため、計270万回分のポリオワクチンが準備され、ポリオの感染リスクが高いソマリ州の予防接種活動に大きく貢献しました。また、ソマリ州のAfderやGode、Dolloなど、辿り着くことが困難な地域へポリオワクチンの空輸も行われました。

国境を越えたポリオへの準備と支援

「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ東部地域において、ポリオ根絶に向けた取り組みを加速させるため、エチオピア、ソマリア、ケニア、ジブチで追加の予防接種が実施されました。2014年5月21日から23日にかけて、エチオピアのジジガで開催された「アフリカの角・国境を越えたポリオ発生への準備と対応会議」において、ポリオを根絶させるために国境を越えた支援を強化することにエチオピア、ソマリア、ケニア、ジブチが合意。4カ国同時の予防接種の実施が実現しました。

ポリオに感染したアヤンちゃんの両親。ソマリアとの国境に近い人里離れた地域で暮らしている。
© UNICEF Ethiopia/2013/Sewunet
ポリオに感染したアヤンちゃんの両親。ソマリアとの国境に近い人里離れた地域で暮らしている。

ソマリ州でのポリオ根絶に向けた支援を強化させるため、ケベデ・ワーク保健国務大臣とソマリ州副知事でソマリ州の保健局長であるアブドゥファタ・ムハンマド・ハッセン氏、ピエール・ンペレ・キレブWHOエチオピア事務所代表、ユニセフ・ソマリ州プログラム長のウィリス・オグツら高官代表団は2014年6月14日、エチオピアの野生株ポリオウイルスが確認されたDollo地域を訪問しました。代表団は地域の担当官とポリオの感染が確認されている地域で9回目の追加予防接種を実施し、支援活動の調整を向上させるため、2014年4月に発足された地域ポリオ発生指揮本部を正式に始動させました。

長期的な根絶を目指して

ソマリ州のポリオ・予防接種キャンペーンは成果を上げています。しかし、ポリオの根絶を長期的に達成するには、持続的な支援が必要不可欠です。

アブドゥファタ・ムハンマド・ハッセン氏は、ポリオ根絶に向けた最良の方法は、地域での定期予防接種を強化させ、すべての子どもに予防接種を行うことだと語ります。「このキャンペーンは緊急事態を食い止めるために行われました。定期的な予防接種計画を強化させると同時に、住民の需要に対応することができるように保健施設の対応能力を高めることで、すべての子どもたちが予防接種を受けることができるようにすることも重要です」

ユニセフはこれからもCrown Prince Courtや国際ロータリー、欧州委員会人道援助局、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などのパートナーや保健省とともに、アヤン・ヤシンちゃんのような幼い子どもたちをポリオから守るため、支援を続けていきます。

※2014年9月25日、内容を一部更新。

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