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公益財団法人日本ユニセフ協会

ユニセフ『世界子供白書2015』 初の完全デジタル版発表
イノベーションが最も厳しい状況にある子どもたちに変化をもたらす
11月20日、25周年を迎えた「子どもの権利条約」

【2014年11月20日 ニューヨーク発】

ユニセフは子どもの権利条約が採択されて25周年の記念日に『世界子供白書2015』を発表。何百万もの子どもたちがイノベーションの恩恵から漏れないように早急な行動が必要であると訴えます。人と人との結びつきや協力が、イノベーションを活用してすべての子どもに到達するための新たな地球的ネットワークを勢いづかせると考えます。

世界子供白書2015

世界子供白書2015「未来を再考する:一人ひとりの子どものためのイノベーション」
世界子供白書2015「未来を再考する:一人ひとりの子どものためのイノベーション」
世界子供白書2015(要約版)英語版PDF
※世界子供白書2015(要約版)の日本語版は、12月下旬に掲載予定です。

今回の『世界子供白書2015』は、「未来を再考する:一人ひとりの子どものためのイノベーション」がテーマ。政府や開発の専門家、ビジネス関係者、社会運動の推進者、コミュニティは、子どもたちが直面する最も差し迫った問題のいくつかに取り組むために新しいアイデアを推進するべく共に行動し、その地域にとって最善で有望なイノベーションを拡大していくための新しい方法を見つけるよう求めています。

本報告の内容は、最先端の技術革新であるクラウド・ソーシングによって収集されており、世界中の国々のイノベーションを地図上で示す双方的なデジタル・プラットフォームを設けています。そして、イノベーターに自身のアイデアを地図上に記すように要請しています。

「不公正は人類と同じくらい古くからあり、イノベーションもまた、しかりです。イノベーションはいつも人類の進化を後押ししてきました。かつてなくお互いに結びつきのある私たちの世界で、ローカルな解決策が地球的なインパクトを与え、毎日不平等や不正義に直面するそれぞれの国の子どもたちに恩恵を与えるのです」と、ユニセフ事務局長のアンソニー・レークは言います。

「イノベーションが一人ひとりの子どもに恩恵を与えるために、私たちはもっとイノベーティブでなくてはいけません。私たちは従来からの問題を解決するために新しい発想を育む方法を改めて考えることが必要です。私たちが抱える最も難しい問題の最善の解決策は単にトップダウンあるいは草の根レベル、あるいは一部の国のグループまたは他のグループから出されるものではありません。そうした解決策は新しい問題解決のネットワークやコミュニティのイノベーションからもたらされるのです。国境を越え、分野を超え、届きにくい人に届くのです。そしてそれらは若い人、そして子どもたち自身によりもたらされるのです」と、レーク事務局長は言います。

「子どもの権利条約」から25年

地球儀を見ながら勉強をする子どもたち。(リベリア)
© UNICEF/NYHQ2011-1769/Pirozzi
地球儀を見ながら勉強をする子どもたち。(リベリア)

国連総会は1989年に子どもの権利条約を採択しました。それ以来子どもの権利の進展には大きな進歩がありました。5歳未満で亡くなる子どもの数は大きく減少し、教育や清潔な飲み水へのアクセスも増しました。

しかし、何百万という子どもの権利が今でも毎日侵害されています。最も貧しい世界の子どもの20%は、最も裕福な子どもの20%に比べて、栄養失調で発育不良に陥り、5歳の誕生日を迎える前に死に至る可能性が約2倍となっているのです。後発開発途上国の子どもの4人にひとりは児童労働に従事し、何百万もの子どもたちは日常的に差別や身体的性的暴力、虐待やネグレクトを経験しているのです。

この最新の『世界子供白書2015』は、経口補水塩、調理せずに食べられる栄養補助食品などの従来のイノベーションが過去25年間で数多くの子どもたちの生活に大きな変化を与えている事例を報告しています。そして、よりイノベーティブな物資、手法、パートナーシップが、最も到達しにくい子どもが持つ権利の実現のために欠かせないと、続けます。初の完全デジタル版となった『世界子供白書2015』は、双方向性とマルチメディアを活用したものとなっており、利用者が自分自身のアイデアや発明をシェアするように招いています。下記にあるような世界のいろいろな国で、既に生活を改善しつつある素晴らしいイノベーションの事例が紹介されています。

イノベーションの事例

「船の学校」で授業を受ける子どもたち。(バングラデシュ)
© UNICEF/NYHQ2008-1803/Noorani
「船の学校」で授業を受ける子どもたち。(バングラデシュ)
  • 世界初の補聴器用充電池「ソーラー・イヤー」。電力供給が安定していないコミュニティの要望に応えて開発されました。充電する際は、太陽や家庭用照明または携帯電話の差し込み口を利用します。(Tendekayi Katsiga 氏、Deaftronics社、ボツワナ/ジンバブエ)
  • コミュニティベースの地域栄養不良管理プログラムを開発。入院による栄養補助食品の投与という高コストで普及の速度に課題がある方法を改め、地域の診療所の協力のもとに、調理せずに食べられる栄養補助食品を使って自宅療養を行う看護モデルです。(Steve Collins氏、非営利団体VALID Nutrition の共同創設者兼代表)
  • 若者と共に新しく開発した「U-Report」というSMSサービス(携帯電話のショート・メッセージ・サービス)の導入により、エボラ出血熱により非常事態の真っただ中にあるリベリアで、彼らにとってどんな問題が最も大切なのか検証するのを支援しました。(ユニセフ・リベリア)
  • バングラデシュの洪水多発地帯で暮らす子どもたちに年間を通じて教育を受けられる場を提供する「ボート(船)の学校」の事業。(Mohammed Rezwan氏、NGO団体Shidhulai Swanirvar Sangstha 創設者兼事務局長)
  • コロンビアの10代の女の子2人によって発明された「Vibrasor」という聴覚障がい者のための器具。この器具により聴覚障がい者が混雑した都会の町中を安全に移動することができます。(Isamar Cartagenaさん、Katherine Fernandezさん)
  • 電力供給が安定しないナイジェリアの人々のために、手頃な値段で安全な代替案を提供すべく、尿を利用した発電機を開発した4人の10代の女の子。(ナイジェリア)

子どもたちの生活に変化をもたらすイノベーション

エボラの社会啓発活動に活用されている、U-Reportの使い方を教える若者たち。(リベリア)
© UNICEF/NYHQ2014-2094/Jallanzo
エボラの社会啓発活動に活用されている、U-Reportの使い方を教える若者たち。(リベリア)

「地球のあらゆる場所、例えば遠く離れた片隅にさえたくさんの若いイノベーターがいます。彼らは子どもたちのために世界を変えるため熱心に取り組んでいます」と、インドのチャンディガー出身のBisman Deuさん(ビスマン・デュー 16歳)は言います。彼女は「GreenWood」の開発について語っています。稲作で不要となった廃棄物から建築用資材を開発しました。そして、この発明が報告されています。

「どの国も異なる問題を抱えています。そして、誰でも違った解決策を持っています」と、Deuさんは続けます。また、「私たちはイノベーションを推進する地球の仲間としてお互いの経験から学ぶ必用があり、そして、変化をもたらすアイデアを作り続ける必要があるのです」と、言います。

ユニセフは世界中の190カ国以上のネットワークでイノベーションを最優先に進めています。新しい発想の方法、作業の方法あるいはパートナーとの協力のありかたを奨励し、地域の才能を育てるためにアフガニスタン、チリ、コソボ、ウガンダなどの国に拠点を設けています。

(『世界子供白書2015』日本語要約版は当協会WEBサイトからダウンロードいただけます)

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