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公益財団法人日本ユニセフ協会

ウクライナ東部
180以上の教育関連施設が被害に
147の学校が閉鎖

【2014年12月19日 ニューヨーク/ジュネーブ/キエフ発】

ドネツクから避難し、ハルキウに身を寄せている4歳の女の子。ユニセフが配布した衛生キットを受け取った。
© UNICEF/NYHQ2014-1897/Krepkih
ドネツクから避難し、ハルキウに身を寄せている4歳の女の子。ユニセフが配布した衛生キットを受け取った。

ユニセフ(国連児童基金)は、戦闘が続くウクライナのドネツク州では147の学校が閉鎖においこまれ、今年9月1日以降、約5万人の子どもたちの教育に影響がでていることを発表しました。一部の学校は攻撃を受け廃墟と化しており、他は安全面への懸念から閉校しています。また政府管制地域では、187の教育関連施設が損壊や破壊の被害を受けています。

「子どもたちが学校に戻り、教育を再開できることが不可欠です。紛争の矢面に立ち続けているのは、教育や基礎的なサービスから遮断されている子どもたちです。なかには、酷い戦闘や爆撃の様子を目撃している子どももいます。ユニセフは、武力衝突に関わるすべての関係者に対し、子どもたちを暴力行為から守ることを引き続き求めます」と、ユニセフ中央・東部ヨーロッパ地域事務所代表のマリーピエール・ポワリエール代表は訴えます。

緊急事態下において、学校は「日常」を維持するために重要な役割を果たします。教育は、紛争地域に暮らすウクライナの子どもたちのトラウマを癒し、ストレスを緩和する助けとなります。

ウクライナ東部で高まり続ける危機は170万人以上の子どもに影響を及ぼしており、その状況は非常に深刻です。2014年3月以降、この紛争により住む場所を失い、避難を余儀なくされた人は100万人以上。うちウクライナ国内で避難生活を送っている人は約53万人にのぼり、そのうち少なくとも13万人が子どもたちです。

子どもたちが避難先で教育を受けられる機会は限られています。子どもたちの両親は、さらなる避難、あるいはもと住んでいた場所に戻る可能性を考え、新しい学校への入学手続きに踏み出せないのです

ユニセフは、60万人にのぼるウクライナの子どもたちと家族が緊急に必要としている支援を届けるための下記の活動資金として、3,240万米ドル(約38億700万円/1米ドル=117.5円で換算)を必要としています。

  • 22万5,000人の学齢期の子どもに、質の高い教育のための物資を提供
  • 10万人の子どもに、ストレスを軽減するため心のケア
  • 喫急に必要な、ポリオの予防接種の実施
  • 紛争地域の25万人の子どもとその母親が、安全な水と衛生状態を確保できるよう物資を提供

「ユニセフは、これまでにお寄せいただいた、あたたかい支援に、心より感謝の意を表します。長く続く危機に加え、厳しい寒さが子どもたちを襲っているなか、ユニセフはパートナー団体とともに、子どもたちが必要としている緊急支援を行うべく、国際社会にさらなる協力を要請します」(ポワリエール代表)

■参考情報

現在までにユニセフに寄せられた資金は940万米ドル(約11億450万円/1米ドル=117.5円で換算)。その資金により、下記の支援活動が実施できました。

教育

  • 子どもがいる20万世帯以上の家庭に、地雷や不発弾の危険性や、身を守るための安全な行動についての啓発を実施
  • 避難生活を強いられている子どもたちに、教育キットや学用品を提供

子どもの保護

  • スクール・カウンセラー400人に研修を実施。これにより、4,000人の子どもたちと養育者が心のケアやカウンセリングを受けることが可能となる
  • 両親や子どもたちのための相談ホットラインの運営を支援。2014年11月の1カ月間で、5,000人を超える入電者に相談を行った
  • パートナー団体と協力して、ユニセフは支援センターで500人以上の子どもや両親に心のケアを提供
  • 3万人以上の子どもと養育者が支援を受けられるよう、12のコミュニティ保護センターを支援

保健と栄養

  • 基本的な緊急保健キットと助産キットを調達。国内避難民や紛争が続く地域で暮らす人々13万人への保健ケアが可能に
  • 赤ちゃんの命を守るため、緊急事態下での母乳育児の重要性を5,000人以上の母親に伝えたり、電話相談サービスを実施
  • ウクライナ政府と協力し、ポリオワクチンの調達を開始

水と衛生

  • 安全な飲み水をドネツク州とルハーンシク州の10万人に提供。命を失いかねない病気から子どもたちを守るため、衛生支援物資や衛生に関する情報を6万人以上の子どもやその家族に提供

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