メニューをスキップ
公益財団法人日本ユニセフ協会

ハイチ大地震から5年
大きな前進と残された課題

【2014年1月12日 ハイチ発】

地震後に崩壊した児童養護施設で見つかった、現在10歳の女の子。家族の捜索支援で叔母と再会。一緒に暮らすようになってから3年が経つ。
© UNICEF/PFPG20141421/Lively
地震後に崩壊した児童養護施設で見つかった、現在10歳の女の子。家族の捜索支援で叔母と再会。一緒に暮らすようになってから3年が経つ。

2010年1月12日午後4時53分に発生したハイチ大地震から、5年の月日が経ちました。今日ハイチの子どもたちを取り巻く環境に改善がみられていることに、疑いの余地はありません。しかし、素晴らしい進展がみられる一方、依然として課題も残っています。

ハイチ大地震から5年

ユニセフとハイチ政府、パートナー団体の強い絆によってもたらされた多くの成果は、何よりも子どもたちの笑顔が物語っています。たとえば、2005年〜06年において、小学校学齢期(6歳〜11歳)の就学率は2人にひとりでしたが、現在は4人に3人が小学校に通えるようになりました。

5歳未満児の乳幼児死亡率は、地震の影響で一時的に減少速度が弱まったものの、この15年間着実な減少がみられています。また、2005年時点では、5歳未満の子ども10人に1人が栄養不良に陥っていましたが、現在は20人に1人にまで改善しています。そして、ハイチの3世帯のうち2世帯が、感染症予防に重要である、安全な飲み水を手に入れることができるようになりました。

「子どもの権利条約」と「国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約」(ハーグ条約)の追加議定書を批准し、国の子どもの保護システムの強化も進んでいます。そして現在、10人に7人の子どもが出生登録をされています。

ハイチは、苦境から希望へ、支援から行動へと、その歴史のページを開いたのです。ユニセフは、現場レベルで活動する人々に対する、能力構築と育成に向けた取り組みを進めています。なぜなら、これまでの発展を支えてきたのは、誰でもない、家族、コミュニティ、先生、医者、看護師、ジャーナリスト、アーティストたちだからです。子どもたちを取り巻く状況は確実に改善されているものの、取り組むべきことは依然として残されています。どのような状況に置かれた子どもたちであろうとも、だれもが大切な、“ひとり”なのですから。

大切な“ひとり”のために

ハイチでは依然として、貧富の差が広がっています。現在も10人に1人が、多くの場合に予防可能な病で命を落としています。小学校学齢期の子ども10人にひとりは学校に通うことができておらず、農村部で清潔な水を手に入れることができるのは、2世帯のうち1世帯に留まっています。また、2歳〜14歳の子どもたちの10人に8人が、身体的・精神的虐待を受けており、5歳〜14歳の子どもの2人にひとりは生活のために働かざるを得ません。依然として105カ所の避難キャンプで、毎朝多くの子どもたちが目を覚ましています。また、2010年以降に8,000人以上の命を奪ったコレラの流行で、多くの子どもたちが苦しみ、命を失っています。

しかし、ハイチで生まれた女の子や男の子の教育や生活、保護、参加の権利が、他の国出身の子どもたちより軽視されているということでは、決してありません。最も弱い立場にある子どもたちの権利を促進させるため、わたしたち一人ひとりが、更に努力をする必要があります。2014年11月20日、子どもの権利条約が25周年を迎えました。そして被災から5年を迎えた本日、すべての子どもたちの権利が守られ、子どもたちが持つ能力を最大限に発揮できるようにするために交わした、ハイチの子どもたちへの約束を再確認する機会となりました。

ハイチ大地震から5年を迎えた今日、改めて、被害にあった人々へ哀悼を表すと共に、これまでの成果を歓迎し、依然として取り組みが必要とされる分野への支援を強化していく所存です。ユニセフは政府やパートナー団体と協力し、ハイチの子どもたちの復興だけでなく、これまで以上に健康でよりよい人生を送ることができるようにするための支援を続けてまいります。

【関連ページ】

トップページへ先頭に戻る