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イラク:ポリオ感染ゼロ1年達成にむけ
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© UNICEF Iraq/2014 |
ポリオの予防接種を受ける女の子。 |
ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)は本日、イラクで5歳未満児を対象にした全国的なポリオ予防接種キャンペーンが、先月22日より開始されたことを報告。このキャンペーンは、過去のワクチン接種歴に関わらず、590万人の子どもたちに予防接種を届けることを目標としています。イラク北部クルド自治区では、生後9カ月から5歳までの子どもたちに、経口ポリオとはしかの予防接種が投与される予定です。
2014年3月、イラクの首都バグダッドのルサファ(Al-Rusafa)地域で暮らす子どもにポリオ感染が確認されたことで、イラク保健当局がポリオの発生を宣言しました。これはイラクにとって、2000年以来初めてのポリオ感染例でした。さらなる感染拡大を懸念した国連機関とイラク政府は、5歳未満の子ども590万人に向けて緊急のキャンペーンを開始しました。
ユニセフとWHOの協力のもと、国と地域の保健当局とが連携し、全国的な予防接種キャンペーンを展開しています。イラク全土のすべての子どもが予防接種を受けられるよう、2万4,996人の予防接種スタッフが各世帯を戸別訪問しています。
ユニセフ・イラク事務所代表代行のフィリップ・ヘフィンクは、「20世紀に最も恐れられた病気の一つであるポリオの根絶は、目前に迫っています。しかし、シリアとイラクで(手足が)麻痺した子どもたちが確認され、ポリオ根絶の目標が脅かされています。一方で、度重なる人道危機であっても、迅速な行動と総合的な支援を受け、イラクは感染者ゼロの“ポリオ・フリー”の状態を維持できています」と述べました。
イラクのすべての地域で、国内避難民、難民、密集都市部に住む人々や少数民族を含め、最も弱い立場にある人々へ支援を届けることに重点が置かれています。キルクーク(Kirkuk)やサラ・アルデン(Salah Aldin)行政区域の周りのいくつかの地域においては治安面で問題があり、予防接種チームが子どもたちに近づくことができません。イラクで昨年2014年4月7日に野生株ポリオ・ウイルスによる発症例が最後に確認されて以降、ポリオ・フリーの状態を維持し続けるためには、すべての子どもに予防接種を実施する必要があります。
ポリオは生涯にわたる障がいをもたらす深刻な病気で、通常は、貧困や社会から取り残れている、もしくは支援の行き届かない最も脆弱な子どもたちを襲います。アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアのわずか3カ国で流行しています。ポリオが世界のどこかに存在している限り、今後も引き続き、流行の可能性は残ります。今回のイラクにおける緊急対応は、中東での緊急対応の一環として行われ、地域におけるポリオ根絶と、“ポリオのない世界”に向けての活動に貢献します。
■参考情報:イラクやシリアでのポリオ発生について
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