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公益財団法人日本ユニセフ協会
 

バヌアツ:サイクロン被害
はしかの拡大を防ぐ、緊急予防接種開始
ユニセフの予防接種チームが稼働

【2015年3月17日 スヴァ(フィジー)発】

バヌアツのサイクロンで破壊された家の前で作業をする子どもたち。
© UNICEF East Asia & Pacific/2015
サイクロンで破壊された家の前で作業をする子どもたち。(3月17日撮影)

サイクロン「パム」の被害を受けたバヌアツでは、はしかの流行が懸念されていることを受け、被災した子どもたちへの緊急予防接種活動が始まっています。

緊急予防接種を開始

ユニセフとWHO(世界保健機関)は、太平洋諸島を襲った巨大サイクロン後、特に病気にかかりやすい状況の子どもたちに支援を届けるため、バヌアツ保健省への支援を実施しています。

バヌアツは、被災以前から定期予防接種率が低く、今月初めには、子どもたちの命を脅かすはしかの流行の兆しが見られていました。

「6つの予防接種チームを結成し、今日から緊急予防接種を実施しています。まずは、首都ポートビラのアクセス可能なエリアからです。これまで確認されている、もしくは疑わしいとされる症例数から考えて、サントとポートビラが最も優先度が高い地域です」とユニセフ太平洋事務所代表 カレン・アーレンは報告しています。

支援物資の提供が続く

サイクロンの影響で破壊した橋。
© UNICEF/NYHQ2015-0432/UNICEF Pacific
サイクロンの影響で破壊した橋。(3月15日撮影)

さらに6チームが現在研修を受けており、今週末には活動を開始します。予防接種チームは予防接種の実施に伴い、ビタミンAやマラリア感染を防ぐ蚊帳なども配布していきます。

ワクチンを適切な温度に保つための冷蔵倉庫もサイクロンによって被害を受けましたが、ユニセフは直ちに復旧させることができました。

「避難所にいる子どもたちに、最優先で予防接種をします。多くの人が避難所内で過ごしている早朝に実施を予定しています。このキャンペーンのために、引退した看護師や医療スタッフを雇用しました」(アーレン代表)

ユニセフはまた、バヌアツで被災した子どもたちとその家族のために、基礎保健キット、経口補水塩、亜鉛の錠剤、ビタミンA、寄生虫駆除薬などの保健支援物資も配布しています。

その他、テント、学用品入りの通学バッグ、レクリエーションキット、貯水タンク、衛生キット、手洗い用石けん、水容器や浄水剤などの物資も提供しています。

最も大きな被害を受けるのは、最も弱い立場の人々

ユニセフは追加の緊急支援物資をバヌアツに輸送。
© UNICEF Pacific/2015
ユニセフは追加の緊急支援物資を輸送。

バヌアツの災害は、世界のリーダーたちが日本の仙台で開催されている国連防災世界会議に集っているときに起こりました。同会議に出席していたユニセフ事務局長のアンソニー・レークは、子どもと若者との会合において、防災の重要性について話しました。

「1990年代の終わりまでは、気候変動に関連する災害で被災する子どもは、年間6,600万人ほどでした。しかし、今後10年で、その数は3倍の年間2億人に達すると推定されています。より多くの子どもが命を落とし、学ぶ機会を失い、また人身売買や虐待、搾取、児童労働などの危険にさらされるのです」とレーク事務局長は語りました。

「通信網が途絶し、我々はまだ被害の全容を把握できていませんが、バヌアツとソロモン諸島ではおよそ6万人の子どもたちが被災したとみられています」

「世界中でこうした災害に対応する中で、最も貧しく弱い立場の国々の、最も貧しく弱い立場の人々が、最も大きな被害を受けるということを、我々は忘れてはならないのです」

* * *

ユニセフの活動ハイライト

【教育】

教育分野は、幼稚園児〜中学生まで、5万7,000人を対象に支援を開始。学校の被災状況調査と並行して、学校再開のためのテント、学用品キット、レクリエーションキット、幼稚園キットなどの追加物資の輸送準備を進めています。

【保健・栄養】

経口補水塩、ビタミンAなどの保健・医療物資がポートビラに到着。予防接種事業への支援に加え、患者であふれる病院にテントを提供したり、栄養不良の子どもたちのための診療センター設置に向け、調整を行っています。

【水と衛生】

首都の給水システムが一部復旧し始めている中、ユニセフはまだ安全な水が手に入らない地域への水の提供を行います。ポートビラの倉庫から6万人分の衛生資材(石けん、浄水剤、水運搬用の容器など)が配付されると同時に、追加の物資がフィジーから運ばれる予定です。また汚泥の排出や汚染された地下水の浄化のための支援を実施中です。さらに、今日にもタンナ島に向けて、10リットル用の水容器(2,788個)、浄水剤(1,500錠)、石けん(3,784本)を空輸する予定です。

【子どもの保護】

避難所の状況調査と並行して、親と離れ離れになった子どもや特別な保護を必要としている子どもがいないかなどの確認を進めています。また子どもたちの心のケアのニーズに対応するための人材育成や、トラウマを抱える若者や保護者たちのための資材の開発を計画しています。

* * *

被災地状況速報(3/16-17時点)

◆ 子どもおよそ6万人を含む、人口の約半数(13万2,000人)が被災
◆ 避難所の数、48カ所
◆ 避難者数:
エファテ・・・2,865人
ぺナマ・・・216人
トーバ・・・215人
◆ 家が破壊された数千人が、親類や友人宅に身を寄せている
◆ 避難所として使用されている学校、34校

ユニセフは当面の緊急支援に必要な300万米ドル*の支援を国際社会に要請
*被害状況に応じて更新されます 

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