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公益財団法人日本ユニセフ協会

グルジア:
障がいのある子どもたちも楽しめるおもちゃを
日用品で作るおもちゃが成長の手助けに

【2014年11月20日 グルジア発】

障がいのある子どものためのおもちゃ
© UNICEF/NYHQ2014-1870/Khizanishvili
障がいのある子どもたちの視覚と触覚の協調関係の発達を促すために作られたおもちゃを手にするグルジアの心理学者、ジョルジさん。

多くの親たちは、疲れて仕事から帰宅しても、子どもの笑い声を聞いた途端に疲れを忘れるような経験があることでしょう。何の変哲もないようなことで、あたたかい気持ちがこみ上げてくるのです。

しかし、なかには、子どもの笑い声が滅多に聞こえてこない家庭や、さまざまな事情から最後に子どもと遊んだのがいつだったのかを思い出すこともできない両親も、いることでしょう。

遊びが子どもの発達に重要な役割

遊びは子どもの発達に重要な役割を果たします。子どもたちは遊びを通して自己理解を高めたり、他人との関係の築き方を学んだりします。遊びを通して身につけたさまざまな能力は、人格形成にも影響をもたらします。

サイコロで遊ぶ10代の女の子たち。
© UNICEF/NYHQ2014-1869/Khizanishvili
サイコロで遊ぶ、17歳の女の子(左)と、16歳の女の子(右)。

しかし、障がいのある子どもたちは一般的なおもちゃに興味を引かれない場合があります。そして、物がぶつかる音を楽しむために車のおもちゃを机に叩きつけるなど、おとなが「間違っている」と思うような遊び方をすることもあります。このような場合、保護者は行動を「正そう」としたり、おもちゃを取り上げてしまったりします。その結果、子どもたちは遊びに興味を失ってしまったり、他の子どもたちと遊ぶことを避けるようになったりします。

おもちゃやゲームを魅力的なものにするためには、おもちゃが子ども一人ひとりの興味やニーズに合っていることが理想的です。しかし、おもちゃが贅沢品だとみなされているグルジアでは、それは容易なことではありません。

障がいのある子どもも楽しめるおもちゃ

粘土で遊ぶ10代の女の子。
© UNICEF/NYHQ2014-1873/Khizanishvili
粘土で遊ぶ10代の女の子。

ファースト・ステップ・グルジアという、特別な支援を必要とする子どもの支援団体では、障がいのある子どもたちと一緒に、どの家庭にもある低コストの日用品を利用して手作りのおもちゃを作る取り組みを進めています。おもちゃ作りのプロセスに子どもが参加することで、子どもたちのニーズに合った、より魅力的なおもちゃを作ることができるのです。

たとえば、カラフルな布巾で柔らかいサイコロを作り、中に小さな発泡スチロールの玉をいっぱい詰めます。このおもちゃの製作を通じて、子どもたちの視覚と触覚の協調関係や、聴力や視力の発達が促されます。同じく布巾で作るボールは、触覚や視覚の発達を手助けします。小麦粉や塩、水、絵の具で作られた手作りの粘土は、運動神経や筋肉、知覚を刺激することができます。これらはすべて、遊んで楽しいだけでなく、作る工程でも楽しめるおもちゃです。

発達を促し、家族に笑顔をもたらす

砂時計型のおもちゃで遊ぶ9歳の男の子。
© UNICEF/NYHQ2014-1865/Khizanishvili
砂時計型のおもちゃで遊ぶ9歳の男の子。

おもちゃを手作りするというアイデアが斬新なわけではありません。子どもたちはそれぞれ、異なる興味を持っています。障がいのある子どもたちにとって、その子どもが持つ興味関心に気が付くことで、成長を促す適切な取り組みを行うことができるのです。

蛇口から流れる水を眺めているのが好きだった子どものために、石けんや絵の具、空き瓶を使って砂時計型のおもちゃを作りました。両親ははじめ、流れる水を延々と見続ける子どもに不安を感じ、そのおもちゃを使わせないようにしてしまいました。しかし、両親を説得し、もっと大きな瓶を使ったり、カラフルな色を付けたり、水以外の物を中に入れたりと、おもちゃに改良を加えました。

その子どもはとても喜び、両親は子どもとの信頼関係を築くことができ、ふと気が付くと、家族が笑顔と笑い声で包まれていました。

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