メニューをスキップ
公益財団法人日本ユニセフ協会

ウクライナ東部:
地雷や不発弾により死傷する子どもたち
4月4日は「地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー」

【2015年3月31日キエフ/ジュネーブ発】

ドネツクで支援物資を受け取る列に並ぶ子ども。(ウクライナ)
©  UNICEF Ukraine / 2015 / Aleksey Filippov
ドネツクで支援物資を受け取る列に並ぶ子ども。

ユニセフは本日、ウクライナ東部のドネツクとルハーンシクにおいて、昨年3月以降に、地雷や不発弾により死亡した子どもは42人、負傷した子どもは少なくとも109人にのぼると報告しました。

地雷で傷つく子どもたち、阻まれる人道支援

政府発表による、ウクライナ東部での地雷や不発弾による子どもの死傷者数は、実際の数を反映していない可能性があります。ウクライナ東部への訪問から戻ったユニセフ中央・東部ヨーロッパ地域事務所のマリーピエール・ポワリエール代表は、「地雷と不発弾によって死傷した子どもの人数は、政府が支配していない地域を含めるとすれば、はるかに多くなるでしょう。これらの地域へのアクセスの欠如は、現地での人道支援活動を阻んでいる難しい問題です」と述べています。

紛争から1年が経過し、ウクライナ東部の多くのコミュニティが、極端なレベルの暴力にさらされています。中には、破壊された町や村に残された重火器が利用されることでもたらされている脅威もあります。ウクライナの国家非常事態省は、ドネツクとルハーンシクで、政府支配地域からの地雷と不発弾の除去を進めています。これまでに、見つかった3万3,717個以上の兵器が除去されました。しかし、安全を求めて避難していた家族が、戦闘地域だったコミュニティに戻って来ても、残存する非常に危険な兵器の脅威にさらされます。

カラフルな地雷、子どもたちへの脅威

特に子どもたちが、不発弾や地雷の危険にさらされています。不発弾や地雷のなかには、鮮やかな色で塗装されていたり、子どもたちが拾い上げたり、蹴ったりできる程小さいサイズのものがあります。それらに引き寄せられた子どもたちは、おもちゃや何か価値のあるものだと思い、誤って触れ、悲劇につながることもあります。

地雷や不発弾の被害に遭わないための教育

母親と一緒に防空壕に避難する子どもたち。(ウクライナ)
©  UNICEF/NYHQ2014-3500/Volpi
母親と一緒に防空壕に避難する子どもたち。

ユニセフはパートナー団体とともに、危機の影響を受けている地域で、地雷や不発弾の被害に遭わないための教育キャンペーンを開始し、50万人の子どもたちとその家族に、地雷や爆発物による危険を伝え、命を守るための情報を提供しています。また、それら地雷や不発弾のリスクを伝える教師や学校心理士100人に研修を実施し、危険を知らせるメッセージを載せた印刷物や動画などを制作します。

ポワリエール代表は、「これまで、紛争で使用される地雷や爆発物によってもたらされる危険性について、コミュニティの人々の認識と理解は極めて不十分でした。だからこそ、ユニセフはパートナー団体と協力し、戦闘地域であったコミュニティに残されている危険な兵器についての、人々の知識向上のために取り組んでいるのです。そうすることで、子どもや親たちは、危険物を避け安全でいられるための方法を、知ることができるのです」と述べています。

ウクライナ危機、500万人に影響

ウクライナでは、子ども170万人を含む、少なくとも500万人が危機の影響を受けています。そして、現在起きている暴力のために国内避難をする人は110万人以上に上ります。ユニセフは、子どもや家族の緊急のニーズを満たすためには、5,580万米ドルの資金が必要であると訴えています。

4月4日は国際地雷デー

4月4日は「地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー」です。ウクライナの現状は、地雷除去に向けた世界的な進歩にもかかわらず、子どもたちやコミュニティが地雷や不発弾などの犠牲となり続けていることを喚起しています。

2013年、地雷や不発弾により世界で3,308人の死傷者があったと報告されています。この数には1,112人の子どもが含まれており、このうち333人は命を奪われています。こうした脅威にさらされているのは、アフガニスタン、南スーダン、イエメンなど、紛争下にある地域の子どもたちです。

1999年に制定された対人地雷禁止条約は、現在、ウクライナを含めた世界の4分の3以上の国々によって批准されています。この条約では、対人地雷の生産、貯蔵および使用を禁止しています。この条約により犠牲者の数は減少してはいるものの、毎年何千人もが、未だに地雷によって命を奪われ、あるいは傷ついているのです。

トップページへ先頭に戻る