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公益財団法人日本ユニセフ協会

イエメン:
学校に行けない子どもは100万人以上
水や電力が途絶する地域も

【2015年4月1日 イエメン/ヨルダン発】

ユニセフはイエメンの紛争地域の子どもたちのため、学用品などの支援物資を届けるなど、継続的な支援を実施している。(2014年撮影)
©  UNICEF Yemen/2014/Mohammed Sayagi
ユニセフはイエメンの紛争地域の子どもたちのため、学用品などの支援物資を届けるなど、継続的な支援を実施している。(2014年撮影)

イエメンでの紛争の激化は、子どもたちの間にも多数の死傷者を出し、その状況は悪化の一途をたどっています。

犠牲となる子どもが急増

爆撃や市街戦によって亡くなる子どもの数は、この数日間で、2014年1年間の子どもの犠牲者数を上回りました。武力抗争が激しくなった3月26日以降、少なくとも62人の子どもが命を落とし、30人が重傷を負いました。学校が閉鎖されたり、軍事目標に近い地域にあることなどから、100万人以上の子どもが学校に行けない状況にあると推定されています。これらの数値は限られた情報からの推計であるため、ユニセフはいま、子どもたちの状況の把握を急いでいます。

6つの学校と2つの保健施設が武装グループに占拠されたとの情報もあります。電力が途絶えて給水システムが機能停止に陥り、保健や教育のサービスは崩壊。市街地も攻撃の対象となる中でより安全な場所を求め、多くの人々が避難民となって移動しています。

各地域の情勢

<北部地域>
3月29日に攻撃を受けた国内避難民キャンプでは、少なくとも3人の子どもが亡くなり、12人が負傷、4人が行方不明となりました。攻撃直後は避難民の8割がキャンプから退避していましたが、その半数は再び避難民キャンプに戻りつつあります。多くの人が働く食品加工工場が攻撃を受け、犠牲者が出ているとも報じられています。食糧価格が高騰し始め、食糧不安が広がっています。

<南部地域>
市街戦によって無法地帯と化しているアデンでは、外出禁止令が続いています。水や電力が途絶え、ワクチンを保管する保冷庫などのコールドチェーンへの影響が心配されています。ほとんどの地区では、治安の悪化から行政が機能せず、廃棄物や汚水があふれて衛生環境が悪化、病気の流行のリスクが高まっています。燃料不足と治安悪化で給水車を出すことも難しく、安全な水の不足が深刻化しています。

<中部地域>
空港を含め、サヌア周辺の軍事目標が空爆の標的となっており、10地区で学校が閉鎖され、57万6,000人の子どもに影響が出ています。

ユニセフの活動

  • 公衆衛生省にある中央ワクチン保冷倉庫の電力を維持するための燃料5,000リットルを提供。今年の第2四半期用の予防接種ワクチンが各行政区に届き始めており、全量配布のため支援を急いでいます。
  • 栄養治療食の配布が難しくなっている地区への追加支援や、医療機関への資材の提供を行っています。
  • 一部地域で、給水施設を稼働させるための発電機の支援を行いました。
  • 水不足による病気の発生を防ぐため、コミュニティのボランティアの協力を得て、衛生に関する意識を向上させる働きかけをしています。
  • 空爆の被害を受けている地域を中心に、ラジオやテレビ、モスクなどを通じて、地雷の危険を知らせるメッセージを発信しています。

* * *

参考情報

■イエメン基礎情報
出典:世界子供白書2015

  • 総人口: 24,407,000人
  • 子ども(18歳未満)の人口: 11,587,000人(総人口の47.5%)
  • 5歳未満児の死亡率: 51(出生1,000人あたり)
  • 栄養不良による発育阻害率: 5歳未満児の47%
  • 安全な水を利用できる割合: 55%
  • 初等教育純就学率: 87%
  • 成人識字率: 66%(女性は男性の61%程度)
  • 出生登録率: 17%

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