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スーダン
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© UNICEF/SUDA2014-X1069/Noorani |
予防接種を受ける子ども。 |
スーダンでは、ユニセフや『はしかと風疹イニシアチブ(M&RI)』、国内で活動するパートナー団体の協力のもと、保健省が大規模なはしかの予防接種キャンペーンを実施します。同国の近年の歴史上、最悪規模のはしかの流行を受けて開始されるこのキャンペーンでは、命を脅かすこの病から子どもたちを守るため、6カ月〜15歳の子ども790万人に予防接種が実施されます。
はしかの感染拡大が始まった2014年末以降、1,730人の感染、3,175人の疑い、22人の死亡が確認されています。最も甚大な影響を受けている西ダルフール州では、441人の感染が確認され、5人が死亡しました。また、カッサラ州では365人の感染を確認し、5人が死亡、紅海州では263人の感染が確認され、4人が死亡しています。
「はしかは命に関わる病である一方、時宜を得た予防接種で簡単に防ぐことが可能です。女の子も男の子も、暮らしている地域に関わらず、すべての子どもたちが予防接種を受けられなくてはいけません。取り残される子どもが一人もいてはいけないのです」と、ユニセフ・スーダン事務所代表のギールト・カペラエレが語りました。
本日開始されるこのキャンペーンは、感染のリスクが最も高い6つの州の28地域から始められ、そのほかの流行の危険性がある地域にも拡大されます。影響を受けている、あるいは感染の危険のある合計16の州の96地域で予防接種が行われる予定です。
予防接種キャンペーンには複雑なオペレーションが必要とされる上、南部で続く紛争により、人道支援のアクセスが制限される可能性もあります。コルドファン州や青ナイル州、ダルフール州などの紛争地域では、2011年から、子どもたちが定期的な予防接種を受けられていません。ユニセフは紛争のすべての当事者に、これらの子どもたちに予防接種を行うための人道支援のアクセスを確保するように訴えています。
はしかに感染する危険が最も高いのが、子どもたちです。栄養不良に陥った子どもたちは、更に感染の危険性が高まります。スーダンでは約36%の子どもが発育阻害に陥っており、アフリカの中で最も栄養不良率が高い国のひとつです。スーダンで報告されているはしかの感染者のうち69%が15歳未満で、52%が5歳未満の子どもたちです。また、栄養不良の子どもたちは、はしかに感染することで失明や耳の感染症、肺炎や重度の下痢など、深刻な合併症を引き起こす危険もあります。
約1,390万米ドルを投資して実施されるこの予防接種キャンペーンの費用は、960万回分のワクチンの調達と物流、はしかの症例管理、必要な物資を現地で調達することができるようにする仕組みを築くため、コミュニティでの社会的ネットワークの活性化などの活動に充てられます。スーダン全土の子どもたちと脅威に晒される周辺国の子どもたちをはしかの感染から守るため、ユニセフは資金面での協力をすべてのドナーに呼び掛けています。ユニセフやWHO(世界保健機関)、パートナー団体は、はしかの感染が国境を越えて広がることがないよう、周辺国と協力体制を築いて支援を行っています。
はしかは感染力が高く、呼吸器感染によって広まります。同じ家の中に感染者がいた場合、免疫のない人の最大90%が感染するといわれています。
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■『はしかと風疹イニシアチブ(M&RI)』
“はしかと風疹イニシアチブ”は、ユニセフやWHO、米国赤十字社、国連財団、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の主導で行われる、はしかや風疹で命を失う子どもをなくすためのグローバル・パートナーシップです。
■世界予防接種週間
4月24日から30日は世界予防接種週間です。世界予防接種週間は、世界中で多くの幼い命を守っているワクチンの重要性について再認識してもらえるよう、毎年4月下旬に設けられています。
2015年のテーマは「“Closing the Gap”= 格差を埋める」。社会から最も取り残された子どもたちへ予防接種を届けることに焦点を置き、すべての子どもたちが予防接種を受けられる世界の実現を、国際社会に訴えます。