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公益財団法人日本ユニセフ協会

イラク:
学校で避難生活を続ける家族たち
子どもらしくいられる場所を

【2015年5月11日 アルビル(イラク)発】

ユニセフは自宅から避難を強いられ、避難施設での生活を強いられるイラクの子どもたちのために、一時でも子どもらしい時間を過ごすことができるよう、アクティビティ活動の支援を行っています。

* * *

学校での避難生活

ダンスを真似しながら踊る避難民の子どもたち。
© UNICEF Iraq/2015/Rfaat
ダンスを真似しながら踊る避難民の子どもたち。

コンクリートをほうきで掃く音、お皿をたわしで洗う音、サッカーボールが壁にぶつかる音、声を潜めて話す人々の声。

避難民が身を寄せるアルビルの学校からは、人々の生活音が聞こえてきます。イラク北部にあるキリスト教徒が暮らす最大の街カラコシュ(Qaraqosh)から、35世帯の家族たちが避難してきています。

隔週火曜日には、この音を打ち消すように、音割れがする古いスピーカーから音楽が流れます。音楽に続き、「みんな、ハムスター・ダンスをしよう!」というアナウンスが流れました。

音楽が始まると、子どもたちが中庭に集まってきました。活動をサポートする10代の若者のリーダーたちが、子どもたちをきちんと整列させて、ジャンプをしたり手をたたいたり、体を動かしたりするように促します。

けれど、なかなかうまくはいきません。それに、子どもたちのステップも間違っているようです。それでも、踊っている子どもたちの顔には、笑顔が溢れています。

ユニセフ・イラク事務所はサウジアラビアの資金援助を受け、避難民の子どもたちに向けたアクティビティ活動を支援しています。毎月アルビルの避難民キャンプ以外の11の施設に身を寄せる約1,100人の子どもたちがこの取り組みに参加しており、困難な生活を忘れ、ゲームや工作、チームスポーツをして楽しい時間を過ごしています。この「開発のための教育(C4D)」の取り組みに、イラク全土で毎月1万1,000人近くの子どもや家族が参加しています。

この活動は、子どもたちだけのためではありません。

「親たちは、子どもたちがアクティビティに参加する2時間、ゆっくり過ごすことができるのです」と、ユニセフのパートナー団体のアブダラ・ラシドさんが話します。

平和なとき

3人の子どもの母親で、カラコシュからこの学校に避難して9カ月になるニーシャ・メーリスさんも、この取り組みを歓迎しています。ニーシャさんが恋しいものを挙げてくれました。それは、他の避難民たちと同様、至って普通なものばかりです。

円になってダンスを踊る避難民の子どもたちや活動を支援する若者のリーダーたち。
© UNICEF Iraq/2015/Rfaat
円になってダンスを踊る避難民の子どもたちや活動を支援する若者のリーダーたち。

「友達や自宅、家の庭が恋しいです」と、ニーシャさんが話します。

教室の低い天井を懐かしそうに見詰め、「家の屋上が大好きでした。平和で、自分たちだけの空間でした」

家の庭を眺めることができる屋上はありませんが、子どもたちがアクティビティを行っている間、ニーシャさんは3人の元気いっぱいの子どもたちについて何も心配することなく、友人と紅茶を飲んでゆっくりとした時間を過ごすことができました。

幼い子どもをサポートする避難民の若者たち

一方、10代の若者たちは、アクティビティ活動を通して自らの役割を見出しています。

破れたジーンズを身につけ、きれいに髪の毛を整えた18歳のディナ・ザヤさんは、典型的な10代の若者です。しかし昨年8月に家族と一緒にカラコシュの自宅から逃れてきたときの話を口にした途端、急に年齢よりもおとなびて見えました。

「私たち家族が家を出た後、兵士たちが自宅を壊してしまいました。何もかも、持っていったのです」と、ディナさんが話します。

涙を隠すように地面に目をやり、アルビルへ持ってくることのできた、所持品について話してくれました。しかしそのわずかな財産でさえ、家族が生きていくために手放さなくてはいけなかったといいます。

子どもたちのアクティビティを支援する活動のおかげで、ディナさんの避難先での退屈な生活が、少しは彩りあるものとなったといいます。

カラコシュからアルビルの学校に避難しているニーシャさん。
© UNICEF Iraq/2015/Rfaat
カラコシュからアルビルの学校に避難しているニーシャさん。

ディナさんは10人のリーダーたちと一緒にアルビルにある避難民施設を訪れ、幼い子どもたちにダンスや工作を教えたり、映画を上映したりします。

懐かしい故郷

到着して2時間が過ぎた頃、スタッフが片づけを始めました。すると若者のリーダーたちが、最後に1曲ダンスを踊ろうと提案しました。今回はハムスター・ダンスの歌ではなく、故郷の伝統的な踊りの音楽が流れ始めました。

丸く円になり、若者たちや子どもたちが楽しそうに、美しく円を描きながら一緒に踊っています。そして中庭の隅で子どもたちの姿を微笑ましく見守るおとなたちからは、笑い声が聞こえます。

故郷の音楽が、平和だった頃の故郷の懐かしい思い出を避難民たちに運んできたのです。

*名前は仮名です。

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