メニューをスキップ
公益財団法人日本ユニセフ協会

カンボジア:
だれもが安全に暮らせる国へ
子どもたちが主体の地雷教育

【2015年4月4日 プノンペン(カンボジア)発】

地雷教育や被害者の保護や支援、子どもの保護の活動に携わる、ユニセフの子どもの保護専門官のチャーヤ・プロンが、カンボジアで行われている地雷教育の取り組みを報告しています。プロン専門官は1993年に兄弟を地雷で失った経験から、この分野での支援活動を続けています。

* * *

紛争の負の遺産

チサン小学校の4年生に、地雷の危険性について教えるバンナさん・スレイモンさん(17歳)。
© UNICEF/2014/Chhaya Plong
チサン小学校の4年生に、地雷の危険性について教えるバンナさん・スレイモンさん(17歳)。

私の故郷カンボジアは、長い間紛争に苦しんできました。紛争は終わりましたが、依然として多くの人々が、紛争が残した負の遺産のなかで生活を送っています。

そのうちの一つが、紛争の終焉後何十年も残されたままになっている、地雷や爆発性戦争残存物の問題です。2013年には、23人の子どもを含む、111人が地雷の犠牲となりました。国の再建とともに、地雷や爆発性戦争残存物の撤去、国民の安全の確保、被害や影響を受けている人々への支援も行われています。ユニセフは学校における地雷教育だけでなく、教員や政府担当者を対象に、事故を予防するための研修の実施、地雷教育のための教材の提供、障がいを負った人々を支援する現地のパートナー団体への支援も行っています。

この取り組みには大きな成果がみられています。2012年から2013年にかけて、負傷者が全体で40%減少し、子どもの負傷者数は62%も減少しました。この成果は、子どもたち自身がこの活動に主体的に取り組むことによってもたらされたものでもあります。

子どもたちが主体の地雷教育

地雷や爆発性戦争残存物が多く残るバッタンバン州にあるチサン小学校に通っていた17歳のバンナ・スレイモンさん。バンナさんは2012年4月、自宅からたった350メートルほどの場所にあった爆発物によって父親を亡くしました。母親は農業を営んでいましたが、バンナさんを含めて3人の子どもたちを十分に食べさせていくことができませんでした。一家は依然として困難な状況下での生活を送っています。しかし、家族が再び悲劇に見舞われることがないようにと、バンナさんは立ち上がったのです。

バンナさんは学校で行われている地雷教育を推進させる学生リーダーの一人として、生徒たちに地雷や爆発性戦争残存物について教えています。地雷や爆発物の見分け方や身を守るための方法を、他のリーダーたちとともに伝えているのです。村に新しく引っ越してきた住民たちに地雷の危険性を伝えるのも、バンナさんたちの役目です。バンナさんのような生徒たち、そして地雷教育の訓練を受けた何百人もの先生たちのおかげで、今では9,000人以上の子どもたちが地雷や爆発性戦争残存物の危険性について十分な知識を持っています。

依然として父親を失った悲しみを抱えるバンナさんですが、子どもたちやその家族を地雷から守るため、積極的に活動を行っています。この国を再建し、紛争の負の遺産から前へと進んでいくための力となるのは、バンナちゃんたちのような子どもたちです。この国をだれもが安全に暮らせる国にしようと尽力する人々に、心から感謝の意を表したいと思います。

トップページへ先頭に戻る

>