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公益財団法人日本ユニセフ協会

HIVと共に生きる子どもたち
子どもにやさしい製剤イノベーション
食べ物に混ぜて服用できる薬が承認

【2015年6月5日 ニューヨーク/ジュネーブ発】

HIVと共に生きる34歳の母親と娘。母親が治療を受け、赤ちゃんはHIVに母子感染することなく元気に育っている。
© UNICEF/HIVA2015-0017/Schermbrucker
HIVと共に生きる34歳の母親と娘。母親が治療を受け、赤ちゃんはHIVに母子感染することなく元気に育っている。

ユニセフ(国連児童基金)とUNAIDS(国連合同エイズ計画)は5日、食品と混ぜて服用できる抗レトロウイルス薬の新製剤を米国食品医薬品局(FDA)が承認したことによって、HIVと共に生きる子どもたちがより簡単に、命を守る薬を服用できるようになると発表しました。

子どもにやさしいイノベーション

UNAIDSのミシェル・シディベ事務局長は、「不味くて飲みづらい薬を服用しやすくするこうした治療のイノベーションは、子どもたちの治療へのアクセスを向上させ、最も若い世代の健康を守るための、突破口となるでしょう。HIVともに生きる子どもたちのわずか24%しか、抗レトロウイルス薬を利用できていないという現状を、変えなければなりません」と述べました。

インドのジェネリック製薬会社、シプラ(CIPLA)が製造する、抗レトロウイルス薬のロピナビル・リトナビル合剤の小粒の錠剤は、食事に混ぜて服用することができます。この薬は耐熱性があり、現在用いられている医薬品よりも口当たりがよく、特に、非常に幼い子どもたちへの治療に適しています。

毎月定期的に病院を訪れ、2歳の子どもにHIV治療薬を飲ませる22歳の母親。(シエラレオネ)
© UNICEF/SLRA2013-0298/Asselin
毎月定期的に病院を訪れ、2歳の子どもにHIV治療薬を飲ませる22歳の母親。(シエラレオネ)

ユニセフのHIV/エイズ担当チーフ兼プログラム副部長のクレイグ・マクルーアは、「この新たな製剤は、より多くのHIVと共に生きる子どもたちの命を守る第一歩です。これにより、さらに多くの子どもたちが治療を受けられるようになることと、世界で最も苦しい立場に置かれている子どもたちに支援を届けることを目指す、公平性に焦点を置いたユニセフの活動の支えとなることを期待します」と述べました。

子どもたちの間で広がるHIV感染

HIV感染は子どもたちの間で急速に進行しており、その影響を大きく受けている国々では、HIV感染が、子どもの疾病率と死亡率につながる主因となっています。治療を受けられなければ、HIVに感染した子ども3人にひとりは1歳の誕生日を迎える前に、2人にひとりは2歳の誕生日を迎える前に、命を落としてしまいます。

世界保健機関(WHO)は、死亡リスクを大幅に減らすとして、子どもに対する抗レトロウイルス治療の早期開始を推奨しています。しかし多くの国では、3歳未満の乳幼児への治療の選択として使用できる、熱耐性があり口当たりの良い小児用のロピナビル・リトナビル合剤がなく、WHO推奨の方法を十分に実施できていません。

HIVと共に生きる子どもへのケアと治療へのアクセスを促進する世界的な努力にもかかわらず、2013年時点で、世界中の320万人の子どものHIV感染者のうち、抗レトロウイルス薬による治療を受けられたのは80万人に満たない状況でした。

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