|
|
HOME > ニュースバックナンバー2015年 >
|
イエメン紛争
|
© UNICEF/IMG_0125/Yasin |
病気の子どもに治療を受けさせるため、病院を訪れた母親。 |
イエメンで続く紛争で、国内の保健システムは壊滅的な打撃を受けており、何百万もの子どもたちが予防できるはず病気にかかる危険に晒されていると、ユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしました。
ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表のピーター・サラマは、「子どもたちは予防接種を受けることができません。保健センターにはワクチンを保冷するための電力もワクチンを運ぶための燃料もありませんし、親たちは戦火を恐れ、子どもたちを予防接種に連れ出すこともできずにいるのですから。その結果、はしかや肺炎など、本来ならば予防可能な病気によって、子どもたちが命を落とすという痛ましい状況が生まれつつあります」と話しました。
予防接種サービスが途絶えたことで、15歳未満の子ども260万人がはしかに感染する危険に直面しているとユニセフは推計しています。はしかは、こうした紛争下で人々が移動する状況で瞬く間に広がってしまう、命を奪う恐れのある病気です。
© UNICEF/IMG-20150604-WA0005/Alawi |
栄養状態の検査を受ける女の子。 |
急性呼吸器性疾患にかかる危険が高い子どもの数は、3月に戦闘が激化して以来、130万人に達しようとしています。多くの病院や保健センターは正常に機能せず、親たちが適切な時期に子どもに治療を受けさせることが、ますます難しくなっています。
また、安全な水も衛生的な環境もなく、経口補水塩も手に入りにくい状況の中で、下痢にかかる危険に晒されている子どもの数は、紛争前の150万人から、現在は250万人以上に増えています。
栄養不良も子どもたちの脅威となっています。ユニセフの推計では、こうした厳しい状況が続けば、50万人以上の5歳未満児が、今後12カ月間のうちに重度の急性栄養不良に陥る危険があります(紛争前は16万人)。また、120万人の5歳未満児が、中度の急性栄養不良状態になる恐れがあり、紛争前と比べて倍増することになります。
© UNICEF/NYHQ2015-1293/Yasin |
水を入れた給水タンクを一輪車に載せて運ぶ子どもたち。 |
こうした非常に厳しい状況の中でも、ユニセフはパートナー団体とともに、予防接種事業や病気や急性栄養不良の治療を続けています。移動保健・栄養チームの派遣や局地的な予防接種キャンペーンなどを含む疾病予防・栄養監視プログラムを最も大きな被害を受けている地域で展開し、特定の感染症や栄養不良の子どもの数を監視するとともに、適切な対応を行っています。
こうした病気の予防や栄養支援は、ユニセフが実施している給水や衛生改善の支援に加え、人々の健康状態の悪化を食い止めるために非常に重要です。
今年3月に激化した戦闘の直接的な結果として、少なくとも279人の子どもが死亡、402人が負傷しました。
ユニセフは、最も支援を必要とする人々に緊急人道支援を届けるために国連事務総長が紛争当事者たちに対して求めた停戦要求を、繰り返し主張します。
2015年6月19日に出された国連アピールの中で、ユニセフは紛争で被害を受けている人々への緊急支援として1億8,260万米ドル*の資金を要請しています。
*ユニセフの要請額の内訳は:保健分野3,400万米ドル、水と衛生分野5,800万米ドル、栄養分野4,150万米ドル、保護分野1,260万米ドル、教育分野1,050万米ドル、緊急時の社会的保護分野2,600万米ドルです。
【関連ページ】