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公益財団法人日本ユニセフ協会

イエメン紛争
子ども50万人が重度の栄養不良の危機
支援続けるユニセフ、“人道停戦”を強く訴える

【2015年7月10日 アデン(イエメン)発】

イエメンの親子。
© UNICEF Yemen/2015
治療を受けるイエメンの親子。

激しい紛争によって国内全土で保健システムが崩壊しているイエメンで、ユニセフ(国連児童基金)は、紛争に巻き込まれている子どもたちの栄養状態の検査や予防接種など、命を守る支援を強化しています。

移動保健チームで支援を展開

「我々の移動保健チームのスタッフたちは、自らも命の危険に晒されながら、非常に危険な状況に立ち向かい、可能な限り子どもたちや女性たちの元へ辿り着こうとしています。そうしなければ、多くの子どもが、栄養不良や予防できるはずの病気で命を落としてしまうからです」と、ユニセフ・イエメン事務所代表のジュリアン・ハーネスは述べています。「しかし、イエメンにいま最も必要なのは、平和を取り戻すことであり、深刻な燃料不足を解消し、正常な保健サービスを再建することです」

今年3月に紛争が激化して以来、各地を訪問する移動型の保健支援によって、4万人以上の子どもが、はしかやポリオの予防接種を受け、1万人近い妊婦が安全な妊娠や出産のための支援を受けることができました。また、これまでに1万6,000人以上の子どもが、重度の栄養不良の治療を受けました。

保健チームの医師。
© UNICEF/IMG-20150604-WA0002/Alawi
病院に通うことができない子どもたちのもとを訪れ、無料で医療ケアを提供する保健チームの医師。

こうした活動のほとんどは、国内避難民となっている人々に支援を届けるためにユニセフの支援のもと全国に配置されている移動保健チームによって行われています。現在そのチームの数は、3月時点の17チームから40チームに増えています。移動保健チームが行うのは、栄養状態の検査、予防接種、駆虫、栄養不良や子どもがかかりやすい病気の治療、妊娠中や授乳中の女性への支援などです。子どもたちや母親たちに、ビタミンAなど、微量栄養素の配布も行います。

あらゆる場所、あらゆる機会を活用

特に激しい砲撃と戦闘に見舞われたアデンでは、紛争開始当初、ユニセフは怪我をした子どもがすぐに治療を受けられるよう、救急車の提供や血液検査及び輸血のサポートを行いました。

現在、アデンにいるユニセフのチームは、イエメン全土で1歳未満の子ども100万人を対象に行われている、はしかやポリオ、ワクチンで予防可能なその他の感染症を防ぐ全国予防接種キャンペーンの実施に取り組んでいます。

「不安定な情勢の中でも、私たちはあらゆる機会を利用して子どもたちに保健ケアを届けています。保健システムが崩壊してしまった現在、子どもたちを守るための予防接種に、特に力を入れています」と、アデンで活動するユニセフの栄養・保健専門官ガミラ・ヒバチュラは言います。彼女はまた、移動チームは、モスクや公共の場所など、利用可能なあらゆる場所を使って活動していると説明しました。「親たちが予防接種会場に子どもたちを連れてくる姿を見ると、とても励まされます。みんな、自分の子どもを病気から守れることがとてもうれしいと言ってくれます」(ヒバチュラ専門官)

子どもの健康状態に大きな影

予防接種を受ける赤ちゃん。
© UNICEF/IMG_9423/Yasin
ポリオの予防接種を受ける赤ちゃん。

悪化の一途をたどるイエメンの状況は、子どもたちの健康状態に大きな影を落としています。現在、子ども250万人以上が下痢性疾患、子ども50万人が重度の急性栄養不良の危険に晒されています。さらに、子ども130万人が急性呼吸器系疾患にかかる危険に直面し、15歳未満の子ども260万人が、はしか感染の脅威から守られていません。

ユニセフは、国連が呼びかけている、多くの困難な状況の人々に食料、水、医薬品などの緊急人道支援物資を届けるための“人道停戦”を、再び強く求めています。子どもたちを病気から守り、治療する重要な支援を継続し、拡大していくために、ユニセフは保健分野で3,400万米ドル、栄養分野で4,150万米ドルの資金が必要であると表明しています。

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