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公益財団法人日本ユニセフ協会

イエメン紛争
学校に通えない180万人の子どもたち
ユニセフ、補習授業を実施

【2015年7月24日 サヌア(イエメン)、ジュネーブ発】

破壊された学校の教室
© UNICEF/NYHQ2015-1128/Mahmoud
首都サヌアにある破壊された学校の教室。

終わりが見えないイエメンの紛争は、この国の教育システムに甚大な影響をもたらし、何百万人もの子どもたちの教育にも大きな影響が出ています。

2カ月以上教育が中断

絶え間なく続く爆撃や市街戦の影響で3,600校以上の学校が閉鎖され、子どもたちや家族は国内の安全な場所へ避難を余儀なくされています。248の学校が直接的な紛争の被害を受け、270校が国内避難民の受け入れ場所として使用されています。そして、68の学校は武装勢力によって占拠されています。

そのため、イエメンでは約180万人の子どもたちが、2カ月以上教育の中断を余儀なくされています。ユニセフは子どもたちが教育の機会を完全に失うことがないよう、20万人以上の子どもたちに補習授業を実施するための支援を行っています。

この補習授業は、基礎教育あるいは中等教育の修了資格を得るため、8月中旬に国家試験を受験する9年生と12年生を対象に実施されます。

厳しい状況下も続けられるユニセフの支援

紛争の被害に遭った学校。
© UNICEF/NYHQ2015-1129/Mahmoud
紛争で空爆の被害に遭った学校の手洗い場。

「イエメンの子どもたちに教育の機会を提供することは、子どもたちの将来だけでなく、家族やコミュニティにとっても非常に重要です。ユニセフは、子どもたちが教育の機会を完全に失うことがないよう、力を尽くしています。また、子どもたちが学校で教育を受けられるよう、学校の安全の順守を紛争当事者たちに訴えています」と、ユニセフ・イエメン事務所代表のジュリアン・ハーネスが語ります。

イエメン教育省の支援を受け、必要な教員の動員も進めています。なかには、暴力から逃れるため、自宅からの避難を強いられている教員もいます。校舎が被害を受けていたり、避難民によって使用されている、あるいは武装勢力に占領されている場合、テントなどを提供して仮設の学習スペースの設置を行います。

ユニセフはパートナー団体と協力し、紛争開始直後から、避難を強いられている家庭の子どもたちが避難先でも教育を受けられるよう、また治安情勢が許す限り、どの学校でも試験を受けられるよう、支援を続けています。

紛争によって生じている、家計への深刻な影響や、市場の破壊や閉鎖で必要な物資の入手が困難になっていることから、ユニセフはノートやペン、通学かばんなどの学習用品や教育物資の提供も行っています。

イエメンでは9月5日に新学年度が始まる予定ですが、治安状況で大きく左右される恐れがあります。教育を再開することができた学校の生徒たちには、紛争の影響で学校に通えなかった約2カ月間の授業を補うため、補習授業が実施される予定です。

学校で勉強を続けられるように

「勉強したい一心で、地面に文字を書いている子どもたちを目にしてきました」と、イエメン北部のサダ州にあるアルワ女子校のジャミーラ・サイラン校長先生が語ります。「多くの親たちが、子どもたちが教育を受けられないことをとても心配しています。親たちは、紛争が終わって日常の生活が戻り、子どもたちが学校で勉強を続け、明るい未来を手にすることができるようになる日を、ただ望んでいるのです」

紛争前、イエメンの純就学率は79%でしたが、その一方で200万人の学齢期の子どもたちが、貧困や差別、質の低い教育、紛争などの影響で学校に通えていませんでした。

ユニセフは紛争の被害に遭った学校の再建や、教育物資や学習用品の提供、心のケアや「学校に戻ろう」キャンペーンに関する教員や地域のボランティアへ研修などの支援を行うため、1,100万ドルの支援を国際社会に要請しています。

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