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ナイジェリア
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© UNICEF Nigeria/2015/Njoku |
ナイジェリア北東部の暴力で自宅から避難した9カ月のムスタファちゃん。ユニセフや中央緊急対応基金、政府の支援により、予防接種を受け、安全な飲み水を手にすることができるようになった。 |
武装勢力ボコ・ハラムの攻撃を受け、ナイジェリア北東部にある自宅からの避難を強いられたとき、ムスタファ・ザンナ・ウロマちゃんは生後たった2日でした。安全な場所に避難し、現在9カ月になったムスタファちゃんの顔からは笑顔も見られます。
避難する以前、ムスタファちゃんの父親アッバ・コントさん(52歳)はナイジェリア・ボロノ州のガンバロウ・ガラで水産業を営み、事業も軌道に乗っていました。砂漠や暴力が続く地域を通ってマイドゥグリの州都まで厳しい道のりを避難したムスタファちゃん。マイドゥグリに辿り着いた頃には身体が弱り、病気になっていました。
ムスタファちゃんの親せき合計22人のおとなや子どもたちが、マイドゥグリにあるアッバさんの兄弟の家に身を寄せています。大家族のアッバさんの兄弟の家には、現在40人ほどが、2つの部屋と1つのトイレ、井戸や小川から汲んできた水をみんなで分け合いながら暮らしています。
ナイジェリア北東部の暴力から逃れて来た多くの人たちが、このような暮らしを余儀なくされています。自宅からの避難を強いられた120万人のうち、避難所で暮らしているのは約10%です。その他の人たちは家族や友達の家に身を寄せており、受け入れ先となった“ホストコミュニティ”の疲弊も深刻です。以前から貧しく、保健ケアや安全な水、衛生などのサービスが限られていた、ホストコミュニティにとっては、混雑した環境や食料やサービスを必要とする人口の増加が大きな負担となっています。
「避難民キャンプの施設やサービスに、大きな負担がかかっています。例えば、1カ所の避難民キャンプに、本来の収容人数の約3倍近くの1万4,000人以上が、ひしめき合って生活しています。しかし、真の負担は、国内避難民の約90%が身を寄せているホストコミュニティにのしかかっています。危機の隠れた一面なのです」と、ボルノ州緊急事態管理庁のテラブ・グレマ長官が話します。
避難民のうち、約77万5,000人が子どもたちです。そしてその3分の1以上は、5歳未満のまだ幼い子どもです。
困難な生活環境にも関わらず、マイドゥグリへ避難してからムスタファちゃんは順調に成長しています。
ムスタファちゃん一家が滞在しているマイドゥグリのウラリは、現在1,000人の避難民を受け入れており、435世帯とともに滞在しています。避難民の流入による負担を緩和させるため、ユニセフはマイドゥグリにある12のホストコミュニティの給水システムや予防接種サービス、保健施設の強化を進めています。
中央緊急対応基金(CERF)の資金提供を受け、ユニセフは約2,000人が使用可能な40基のトイレや、7,000人以上が利用可能な10基のモーター付き手押しポンプを提供しました。この支援により、屋外排泄で引き起こされる問題の減少やコミュニティの衛生環境の改善が見込まれ、感染症や病気のリスクを減らすことが可能となります。
また、1,000箱以上の浄水剤がウラリの住民たちに届けられています。ユニセフ・ナイジェリア事務所のカナン・ナダー水と衛生部門チーフは、「安全な水を飲むことができるようにするため、すべての家庭に約1カ月分の浄水剤を提供しています。安全な飲み水や食材を洗う水を使用することで、下痢や病気、コレラへの感染を防ぐことができます」と語ります。
浄水剤の使用方法を教わったアッバさんが、ムスタファちゃんが健康に育つことができるのは、保健やトイレ、衛生習慣に関する情報を伝える、ユニセフの地域の啓発ボランティアのおかげだといいます。
「私たちがここに避難してきた当初から、ボランティアの人たちはいつも私たちに寄り添い、赤ちゃんの正しいケア方法や衛生習慣について教えてくれています。この浄水剤のおかげで、ムスタファを含め、家族全員が安全な水を飲むことができるようになります」と、アッバさんが受け取ったばかりの浄水剤の袋を手に話してくれました。
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