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公益財団法人日本ユニセフ協会

多くの命を奪ってきた
妊産婦・新生児の破傷風(MNT)の脅威
インドが撲滅を宣言
未だ22カ国が撲滅未達成

【2015年8月27日 ニューデリー(インド)発】

破傷風の予防接種を受ける赤ちゃん。
© UNICEF/INDA2012-00548/Singh
破傷風の予防接種を受ける赤ちゃん。

インドのナレンドラ・モディ首相は27日、「Call to Action 2015 サミット」の場で、インドが妊産婦と新生児の破傷風(MNT)の脅威を撲滅したことを発表しました。この素晴らしい成果は、インドの多くの母親と赤ちゃんの命を救うことになるでしょう。

妊産婦と新生児の破傷風の脅威が撲滅

世界で最も多くの人口を抱える国の一つであるインドには、出産可能年齢の女性が3億2,700万人おり、毎年2,600万人の子どもが生まれています。1988年には、破傷風はインドで16万人以上の幼い命を奪っていました。それ以降、破傷風は目覚ましい勢いで減少しました。妊産婦と新生児の破傷風の公衆衛生上の問題としての撲滅とは、年間の感染率が出生1,000人に対して1人以下であることを意味します。

「インド政府は、この国の繁栄と未来に暗い影を落としていた二つの大きな脅威、ポリオと妊産婦と新生児の破傷風を克服するために、強いリーダーシップを発揮しました」とユニセフ・インド事務所代表のルイス・アーセナルは話しました。「妊産婦と新生児の破傷風の撲滅におけるインドの成功は、強い決意をもって保健分野へ投資することによって、最も若い市民である子どもたちと母親たちが健康に生きる権利を享受でき、その結果、皆がより健康になれることを示してくれました」

撲滅に貢献したさまざまな取り組み

破傷風の予防接種を受ける赤ちゃん。
© UNICEF/INDA2012-00556/Singh
破傷風の予防接種を受ける赤ちゃん。

他国の例と対照的に、インドは大規模な破傷風予防接種キャンペーンは行いませんでした。インド政府はその代りに、ユニセフやWHOの技術支援を受けて、2003年にアンドラ・プラデッシュ州で始めた州ごとのシステムアプローチを含む、複数の戦略を組み合わせた施策を取り入れました。成功した取り組みには、保健施設で出産した家庭への給付制度や、スキルの高い助産師の養成、国家農村保健ミッション(NRHM)をはじめとする組織的な保健提供システムの強化などがありました。さらに、妊婦健診に来た妊婦に破傷風トキソイドワクチンを接種する仕組みや、へその緒の危険な扱いを減らすための集中的な啓発活動も行われました。

こうした素晴らしい取り組みが積み重なり、病気の撲滅へ向けて重要な役割を果たし、多くが予防可能な原因で命を落としてしまう5歳未満の幼い子どもの命を守る努力に大きく貢献しています。

「保健システムの強化や予防接種へのアクセスの改善といった近年の取り組みも、間違いなくインドがこの成功を維持していくことに貢献するでしょう」とアーセナル代表は説明しました。

22カ国が未だ撲滅未達成

妊産婦と新生児の破傷風は、貧しく、厳しい状況下の人々、とくに保健サービスへのアクセスや利用できる衛生施設が限られている地域で暮らす女性や赤ちゃんを襲う病気です。不衛生な環境でへその緒を切ったときに感染することが多く、顎のあたりの激しいけいれんから始まる特徴があります。開発途上国の離れた農村部では、治療施設が限られていたり全くない場合もあり、破傷風に感染した新生児のほとんどは亡くなってしまいます。

インドの発表を受けて、破傷風撲滅対策の優先国のうち、その脅威を撲滅した国として容認された国は37カ国に増えた一方で、未だ次の22カ国が撲滅を達成できていません:アフガニスタン、アンゴラ、カンボジア、中央アフリカ、チャド、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、エチオピア、ハイチ、インドネシア、イラク、ケニア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、ソマリア、スーダン、南スーダン、イエメン。

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■ 妊産婦と新生児の破傷風撲滅イニシアチブについて 妊産婦と新生児の破傷風撲滅イニシアチブは、各国政府、ユニセフ、WHO、UNFPA、GAVI、 米国国際開発庁/Immunization Basics、 米国疾病対策予防センター、キワニス・インターナショナルなど、多数の組織・機関による国際的な官民パートナーシップです。

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