【2018年6月7日 ニューヨーク発】
6月の「父の日」は、日本を含め、世界の約90カ国で祝われています。ユニセフ(国連児童基金)は本日、乳幼児期の子どもの発達における父親の役割の認知を広めるため行う「父の日」キャンペーン(‘Super Dads’ )の一環として、子育てに役立つウェブページ(※日本語版ウェブページはこちら)を公開しました。ユニセフは、子どもと貴重な時間を過ごすために必要な時間や費用を父親や母親に保障する政策を含め、父親たちへのさらなる支援を世界で呼びかけます。
© UNICEF/UN0202878/Serbia |
「父親は、二番目の親でも、育児のおまけでもなく、子どもの成長にとって最も大切な存在の一人であり、子どもが人生の最善のスタートを切るために、私たちはみな父親の役割の重要性を十分に認識し実現しなければなりません」と、ユニセフ本部でECD(乳幼児期の子どもの発達)世界キャンペーンを統括するピア・ブリットは述べています。
「人生の最初の1000日が、子どもの脳の発達のために最も重要な期間であり、この過程で父親が大きな役割を担っていることを示す証拠も増えています。しかしながら、その証拠は父親を支援するための投資の裏づけとはまだなっていません。その役割を最大限に発揮するために、父親たちが支援を必要としているにも関わらず」(ブリット)
神経科学の前進によって、子どもが生まれて最初の数年間、特に最初の1000日間を、適切な養育環境と刺激のある中で過ごした場合、脳の発達速度が最も高まると証明されています。脳内のシナプス結合によって、子どもの認知能力、健康や幸福、どのように学び考えるか、ストレスに対処する力、人間関係をつくる力が決まります。乳幼児期に多くの愛情や遊びの機会、十分な栄養、保護を与えることで、子どもの脳内ではシナプス結合が活発化されます。
研究によると、生まれてすぐの時期から赤ちゃんと父親が絆を結ぶことができると、父親は子どもの成長においてさらに大きな役割を担うことができ、子どもは長期間にわたり、精神的により健康で、自尊心を持ち、人生に満足感を得ることができるということです。
公開したウェブページは、世界中の父親が、育児のアイデア、課題、ニーズや成功例を共有するプラットホームになります。「育児を学ぶミニレッスン」も掲載予定で、最初の内容はブリットがセサミ・ストリートのキャラクターであるグローバーに対し、健全な脳の発達のために大切な保護、刺激と栄養について説明するという内容のものです。
© UNICEF/UN0203794/Zehbrauskas |
この「父の日」キャンペーンでは、人生の初めの数年間、父親が愛情を注ぎ、保護し、一緒に遊んだり十分な栄養を与えると、子どもはより良く学び、問題行動を起こす可能性が低くなり、より健康で、幸せに過ごすことができることを世界中の親にあらためて伝えることを目的としています。また、ユニセフは、父の日という機会に、父親が幼い子どもたちと一緒に過ごすことを妨げる文化的慣習や経済的障壁を乗り越えることをあらためて呼びかけています。
2016年10月に発表された医学雑誌ランセットの論文シリーズ『Advancing Early Childhood Development: from Science to Scale』は、約2億5,000万人の5歳未満児が、発育阻害(Stunting-スタンティング)や極度の貧困によって、十分に成長できないリスクに直面していると指摘しています。さらに、子育て支援推進プログラムにかかる費用は、既存の保健サービスを活用する場合、一人当たり一年間で50セントに過ぎないとしています。
■ユニセフ「父の日」キャンペーン(‘Super Dads’)に長谷部誠選手も参加
「父の日」の取り組みは、ユニセフの乳幼児期の子どもの発達(Early Childhood Development - ECD)キャンペーンの一環として行うものです。ユニセフはこのキャンペーンの中で、子育ての経験やアドバイスを「#EarlyMomentsMatter」を付けてSNSで投稿するよう呼びかけています。日本ユニセフ協会大使として活動するサッカー選手の長谷部誠さんも、本キャンペーンに写真とメッセージを寄せています。長谷部選手の英語メッセージはユニセフ本部のSNSアカウントから、日本語メッセージは日本ユニセフ協会のSNSアカウントよりご覧いただけます。
長谷部選手メッセージ
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