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日本ユニセフ協会
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ユニセフ物資供給センター年次報告書2019発表
世界100カ国以上の5歳未満児にワクチンを届ける
2020年は新型コロナウイルス危機対応も

【2020年6月26日  ニューヨーク/コペンハーゲン発】

報告書「ユニセフ物資供給センター年次報告書2019」(原題:The 2019 Supply Annual Report)

報告書「ユニセフ物資供給センター年次報告書2019」(原題:Supply Annual Report 2019)

ユニセフ(国連児童基金)はこの度、『ユニセフ物資供給センター年次報告書2019』を発表しました。

2019年、ユニセフは、支援プログラムを展開している世界150の国と地域の子どもたちのより良い生活を支えるため、38億2,600万米ドル相当の物資とサービスを調達しました。これは、2018年と比べ、約10%の増加です。

このうちの3分の1以上にあたる16億5,600万米ドルはワクチンの調達費用に用いられ、24億3,300万回分相当のワクチンを、世界100カ国以上、世界の5歳未満の子どもの45%に届けました。

すべての子どものニーズに応えるために
限られた資源で戦略的な調達を

支援ニーズが日々変化するなかでも、物資調達のコストを下げることは大きな課題の一つです。

ユニセフは戦略的調達計画を策定し、価格や情報の透明性を担保、複数年契約などの活用、パートナーとの協働(例えば将来的な支援ニーズの共同予測、調達の調整)など様々な取り組みを行い、物資調達の長期的な見通しを立てました。

これにより、物資の仕入先・供給元であるサプライヤー側も、生産計画を立てて生産を拡大することが可能となりました。手頃な価格での物資調達につながり、より多くの子どもたちに支援を届けられるという仕組みです。

これらの戦略的物資供給の取り組みによって、2019年に節約できた金額は3億6330万ドルにのぼり、2019年の節約目標を35%以上上回りました。さらにユニセフは、2018年から2021年の4カ年の節約目標として計6億7000万ドルを見積もっていますが、2018年から2019年間のわずか2年間でこの額をすでに4,450万ドル上回っています。

コペンハーゲンにあるユニセフ物資供給センターで支援物資を準備する様子。(2020年1月28日撮影)

© UNICEF/UNI281230/Hildelbrandt

コペンハーゲンにあるユニセフ物資供給センターで支援物資を準備する様子。

ユニセフ物資供給センター長のエトレバ・カディリは、「必要とされる物資を子どもたちへ届けるため、各国政府やパートナー団体、民間部門との協働は不可欠です。ユニセフがもつ世界的な物流網と革新的な手法をふまえた購買力を活用し、物資調達において大幅な節約を実現することで、ユニセフの活動を支援くださる各国政府や民間のみなさまのご寄付を最大化しています。

また、新型コロナウイルスのパンデミックに対応するにあたっては、こうした戦略的なアプローチがさらに重要になってきます。各国も新型コロナウイルス危機の対応を拡大している中で、世界の子どもたちのための通常の開発プログラムを維持するためには、資金を最大限に活用して成果を出す取り組みが必要なのです」と述べました。

ニーズの変化に応じた取り組み

フィリピンを襲った台風の被害により、避難生活を送る12歳のラシッドくん。新しいテントのおかげで快適に授業を受けることができている。(2019年12月撮影)

© UNICEF/UNI276751/

フィリピンを襲った台風の被害により、避難生活を送る12歳のラシッドくん。新しいテントのおかげで快適に授業を受けることができている。(2019年12月撮影)

『ユニセフ物資供給センター年次報告書2019』は、世界中の子どもたちと家族の日々変化していくニーズに応えるため、ユニセフがどのように支援物資の供給および輸送の面での取り組みを拡大しているかについて、さまざまなケースを紹介しています。新たな製品を市場にもたらそうと挑戦していること、供給業務を合理化するためのテクノロジーの利用、そして各国政府による物資輸送へのサポートとなる事前融資の仕組みにまで及びます。例は次のとおりです。

  • 需要と供給の状況が日々変化する中でのワクチン調達の拡大、およびワクチンを安全に保管して運ぶために必要なコールドチェーンのインフラ整備の拡充
  • 各国政府の一時的な現金不足に影響を受けずに支援物資を子どもたちに滞りなく届けられるよう、各国政府の財政状況に応じて事前融資する仕組み
  • 物資輸送に関わるユニセフ職員向け携帯電話アプリの開発:リアルタイムでデータを活用でき、より迅速な輸送と物資管理の質の改善をはかった
  • 耐久年数が長く、質の高い建屋の学習センターの建設:バングラデシュの難民の子どもたちが安心して過ごせるよう、廃船から鋼を取り出して再活用した
  • 高性能テント:教育、保健、栄養、子どもの保護などの重要なサービスをサポートする人道的対応に活用した

 

新型コロナウイルス対応の物資輸送

COVID-19に対応するための支援物資のユニセフのチャーター機がサヌア空港に到着した様子。(イエメン、2020年5月30日撮影)

© UNICEF/UNI333755/Al-Rouny

COVID-19に対応するための支援物資のユニセフのチャーター機がサヌア空港に到着した様子。(イエメン、2020年5月30日撮影)

ユニセフが日頃から取り組んでいる物資輸送の経験の基礎は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の危機に伴う緊急対応にもつながっています。2020年、新型コロナウイルスの世界的流行により、何百万人もの子どもたちの生活が悪化している中、ユニセフは前例のない輸送・物流の制限に直面しながらも、命を守る物資を提供し続けています。

「COVID-19の危機により、命を守る支援物資を届けるという私たちの活動は、物資不足から輸送制限に至るまで、非常に大きな困難に直面しています」とユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアは述べています。「しかしながら、パートナー団体の協力のおかげで、最も危機が差し迫っている人々に支援を届け、子どもたちとコミュニティの安全を確保することができました」

新型コロナウイルス感染拡大に対する各国の対応を支えるため、ユニセフはこれまでに100カ国以上に向けて、医療用マスク750万枚、N95マスク280万枚、手袋1000万枚近く、ガウン83万着以上、フェイスシールド60万個を含む、主要な個人用防護具(PPE)を輸送しています。また、検査キット55万個以上をすでに輸送しており、さらに91万2,000個を8月までに輸送する予定です。酸素濃縮器1万6,000個以上も、中低所得国90カ国に送っています。

ディレ・ダワやその他の地域に隔離センターを準備するために届いたユニセフの支援物資。(エチオピア、2020年3月17日撮影)

© UNICEF/UNI319772/Tesfaye

ディレ・ダワやその他の地域に隔離センターを準備するために届いたユニセフの支援物資。(エチオピア、2020年3月17日撮影)

新型コロナウイルスの影響により定期運航の航空便の数が限られているため、通常の開発支援に必要な物資の輸送にも、大きな負担がかかっています。ユニセフは、毎年3月から5月の間に、支援プログラムを実施している国々へのワクチン輸送を700回以上実施しています。けれども、2020年の同時期に輸送できた回数は、例年の半分を少し上回る391回にとどまりました。

命を守るワクチンの輸送の課題に対処するために、ユニセフは政府、民間部門、航空業界などに、手頃な費用での運輸協力を呼びかけています。最近実施したケースでは、従来であればそれぞれ単体で輸送していた物資を一つのチャーター便にまとめて搭載し、西アフリカの国々の8カ所を巡回して届けました。この工夫がなければ、各地域にワクチンを届けることは難しかったでしょう。

『ユニセフ物資供給センター年次報告書2019』には、2014年から2016年の間に西アフリカで感染が拡大したエボラ出血熱への危機対応の教訓をふまえ、緊急事態への備えをユニセフがどのように拡大したかにも言及しています。その経験や備えが今回、新型コロナウイルス危機対応にも役立っています。

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