【2020年1月24日 コペンハーゲン(デンマーク)、ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)は本日、世界中の紛争や災害の影響を受ける子どもたちに幅広い人道支援を提供することが可能となる、革新的な多目的テントを新たに開発したことを発表しました。
© UNICEF/Sorensen |
ユニセフ(国連児童基金)は本日、世界中の紛争や災害の影響を受ける子どもたちに幅広い人道支援を提供することが可能となる、革新的な多目的テントを新たに開発したことを発表しました。
産業パートナーとの2年間の共同開発の結果、改善された高性能テントには、緊急事態下に置かれた各国の子どもたちのニーズを満たすためのさまざまな機能が新たに加わりました。
人道支援用の多目的テントは、紛争や自然災害から逃れた子どもたちに安全な空間を確保します。学校や診療所、栄養施設、支援物資の配布場所、子どもにやさしい空間として使用することができます。
2013年から2018年の間に、ユニセフは年間平均660万米ドルの費用で年間平均4,650の多目的テントを調達しました。それらのテントによって、毎年、緊急事態下に置かれた何百万人もの子どもたちに支援サービスを提供してきました。
「従来の人道支援用テントは長年活用されてきましたが、地球規模の気候変動や新しい緊急事態が生じるなか、改善が求められていました」と、コペンハーゲンにあるユニセフ物資供給センター長のエトレバ・カディリは述べました。「異常気象が起こると、強風や雨でテントが崩壊したり、テント内が暑すぎたり寒すぎたりする劣悪な内部環境など、さまざまな課題がありました」
「これらの問題を解決できる製品を探しましたが、見つけることができなかったので、研究開発を開始し、目的に合った新しい製品を開発できるよう、産業パートナーにそのニーズを伝えました」(カディリ)
ユニセフは、協議やターゲット・プロダクト・プロファイル(TPP)の設定を通じ、産業パートナーにニーズを伝えました。TPPでは、テントによって実現すべき、望ましい性能について明確化。異常気象への耐性、テント内温度の改善、電力へのアクセス、より広い空間、設置と輸送の改善など、1,000を超える要件が示されました。
メーカーはユニセフと協力し、原型となる試作版を共に開発しました。ハリケーン規模の風と氷点下の温度のなか、耐久性、熱性能、換気率が試されるフランスのジュール・ヴェルヌ風洞などといった場所で、実験を重ねながら、競争力のあるインタラクティブなアプローチを実行しました。
そしてユニセフは、その試作版をメーカーと現場に持ち込み、緊急事態下で、さまざまな気象条件に耐え得るかどうかをテストしました。例えば、暑く乾燥したウガンダ、湿度の高いフィリピン、寒いアフガニスタンなどです。
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最終的に製品として完成したユニセフの高性能テントには、次のような改善が施されました。
さらに、以下の付加設備により、多様な気象条件下のさまざまなプログラムのニーズに広く対応することができます。
「本プロジェクトは、ユニセフのイノベーションプロセスに大きな影響を与えました。製品の革新は、産業界の革新力と現場の知見をつなげられた時にのみ成功します。ユニセフの調達と支援プログラム双方における国際的な地位があるからこそ、子どもたちのための最高の製品を手頃な価格で開発することができるのです」と、ユニセフ事務次長ファヤズ・キングは述べました。
ユニセフは現在、世界各国での人道支援活動をより良くするために高性能テントの導入規模を拡大することで、緊急支援を受けているすべての子どもたちが、改善された人道サービスの恩恵を受けられるよう取り組んでいます。
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