2021年10月10日ポルトープランス発
ユニセフ(国連児童基金)によると、昨日(9日)、主にキューバや米国から送還された約170人のハイチの子どもたちが、親とともにポルトープランスに到着しました。ほとんどの子どもたちはハイチ南西部出身で、今年8月の大地震発生から2~3週間後に、米国を目指して出発しました。
34%が女性と子ども
ユニセフ・ハイチ事務所代表のブルーノ・マースは「昨日送還されたハイチの子どもたちと親たちのほとんどは、今年8月に大地震に襲われたハイチ南部の半島出身です。彼らはすべてを失い、9月初めに国を離れました。こうした子どもたちは、自分たちのコミュニティでまともな生活を送ることができる環境が整わない限り、再び米国に向けて出発する可能性が高いでしょう」と述べています。
たった一日で、キューバから7便、米国から1便の飛行機が、女の子73人と男の子96人を含む家族をハイチに送り返しました。ユニセフの推計によると、これらの子どもたちの80%は5歳未満です。多くは間に合わせのボートでハイチを出発しており、キューバの沖合でボートが転覆し、少なくとも2名が死亡したと報告されています。国際移住機関(IOM)によると、昨日キューバと米国から送り返された人数は1069人で、そのうちの34%が女性と子どもです。
飛行機に加え、キューバからの船もハイチの首都郊外にあるラサリーヌ(La Saline)付近に到着し、女の子12人と男の子26人を含む348人の移民が下船しました。彼らの多くは、地震の被害が最も大きかったハイチ南部のペステル(Pestel)から出発したそうです。また、ユニセフはキューバから戻された子どもたちの中に、おとなの同伴者のいない子どもを少なくとも4人確認しました。
よりよい生活を求めて
「地震によって、ほとんどすべてを失ったハイチの男性、女性、そして子どもたちは、自分自身とハイチに残してきた人たちのために、よりよい生活を求めて、安全性が極めて低い『カンテ』と呼ばれる間に合わせの船で、危険な旅をしてきました。こうした移民の中には、不法滞在の子どもたちも多く、子どもの人身売買や性的搾取、虐待のリスクに晒される可能性が高いのです」(マース)
IOMによると、9月19日から10月9日の間に、チャーター便で米国から送還されたおとなと子どもの合計人数は7,621人で、そのうちの半数以上が女性と子どもです。空路で米国から送り返された移民の18.7%を子どもが占めています。
飛行機の到着後、ユニセフは空港に設置された「子どもコーナー」で子どもたちを迎え入れ、レクリエーションを行い、食事と水を提供するとともに、心理士が子どもたちに初期支援を行います。また、ユニセフは子どもの保護を担当する政府機関(IBESR)やIOMと協力して、空港で子どもたちの身元確認と記録を行い、受け入れ先のコミュニティにおいて、さらなるモニタリングとフォローアップを行っています。
被災地の生活再建が急務
ユニセフは、地震の影響を受けたコミュニティに対し、基本的な社会インフラの構築や修復の支援を続けています。これらのインフラは、子どもや親、養育者の命の危険が伴う移動に対する抑止力となり、さらには長期的な解決策にもなります。
「私が空港にいたとき、栄養不良や皮膚病の子どもたちを見ました。彼らはおそらく、地震発生から約2カ月が経過しても、教育や保健サービスといった子どもたちへの基本的なサービスがほとんど提供されていない南部に戻ることになるでしょう。すべての持ち物を失い、ハイチでの生活を再建しなければならない家族を支援するためには、さらなる結束が必要です」(マース)
ユニセフは、送還されたハイチの人々が生活を立て直し、子どもたちが再び保健サービスを利用し、学校に通うことができるよう、支援を加速するよう求めています。
■ ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。ハイチの地震で被災した子どもたちを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ご協力をお願い申し上げます。