2021年12月21日マニラ(フィリピン)発
12月16日、台風22号(フィリピン名:オデット、国際名:ライ)がフィリピンに大きな被害をもたらしました。その後、被災地の子どもや家族のニーズが次第に明らかになっています。初期予測によると、約84万5,000人の子どもが緊急支援を必要としています。緊急に必要なものは、食料、水、医薬品、衣類、個人用防護具(PPE)、調理器具、寝具を含むファミリーキット、衛生キット、一時避難所、災害用キット、医療施設用テント、非常持ち出し袋などです。
衛生や栄養など支援開始
現在、ユニセフ(国連児童基金)のスタッフは現地で調査を行いつつ、フィリピン政府やパートナーと共に、水と衛生、栄養、教育、子どもの保護など、各分野での活動を主導しています。こうしたニーズに応えるためのユニセフの緊急支援物資の準備もすでに整っています。
コタバト市にあるユニセフのミンダナオ事務所の倉庫からは、ディナガット諸島、シアルガオ島、スリガオ市、北スリガオ州に向けて、家庭用衛生キットと尊厳回復キット約2,000セット、浄水タブレット2,767パック、家庭用水消毒剤(100ml)を2,018本、折りたたみ式大容量貯水タンク2基、緊急用トイレキット50セット、地方の病院や農村部の保健施設用のテント25張などの備蓄物資がすでに発送されました。これらキットには、水バケツ、石けん、歯磨き粉、生理用ナプキンなどが含まれます。
ユニセフ・フィリピン事務所代表のオユンサイハン・デンデブノロブは「台風で被災した子どもたちとそのご家族に、心よりお見舞い申し上げます。多くの子どもたちが、屋根のない場所で、お腹を空かし、寒さにふるえ、精神的苦痛を感じながら、年末年始を過ごすことになるでしょう。ユニセフは、フィリピン政府やパートナーと共に、彼らの緊急の支援ニーズに応えるために全力を尽くします」と述べました。
気候危機は子どもの権利の危機
また、ユニセフは子どもたちのニーズに優先して対応するよう呼びかけています。
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、子どもたちの健康問題はより悪化したが、さらなる緊急事態によって、子どもや若者の福祉と健康全般はますます損なわれることになった。すべての子どもと女性の健康に対する権利を保証するために、命を守るケアと、質の高い母子・新生児・子ども・若者の保健サービスへのアクセスが確保されなければならない。
- 被災者が、飲料水や生活をするための十分な量と質の水、そして適切な衛生施設を、安全かつ公平に利用できるようにしなければならない。
- 子どもたちが栄養状態の検査を受け、栄養不良である場合、すぐに使える栄養治療食を提供すべきである。また、避難している授乳中の母親に対して、授乳のための安全な場所を確保しなければならない。
- あらゆる形態の暴力、搾取、虐待、ネグレクト、有害な慣行を防止・対応するために、被災地における子どもの保護システムを確立・機能させなければならない。親と離ればなれになった子どもたちを見つけ出し、家庭ベースのケア、または適切で安全な代替のケアのもとで保護し、個別のケース管理・ケアプランを提供すべきである。
- 包括的で公平な質の高い教育を実現するためには、安全で安心できる学習環境のもと、教育を続けなければならない。
- 気候変動と環境悪化は、子どもと若者の生活、健康、将来に対する大きな脅威であり、気候危機は、子どもの権利の危機でもある。フィリピンの子どもと若者は、気候関連の災害による壊滅的な影響を最も受けやすい。気候関連の意思決定の場に子どもと若者も参加し、その声が反映されるべきである。
ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。フィリピンの台風で被災した子どもたちを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ご協力をお願い申し上げます。