2022年12月22日ナイロビ(ケニア)発
ユニセフ(国連児童基金)によると、エチオピア、ケニア、ソマリア各地の深刻な干ばつの窮状に苦しむ子どもの数が5カ月で2倍以上に増えました。ユニセフは、この地域が5回連続の雨不足の雨期に続き6回目も期待ができないという前例のない状況に直面していることから、支援資金の不足の可能性に警鐘を鳴らしています。
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干ばつが深刻化
気候変動や紛争、世界的なインフレと穀物不足により地域が大打撃を受け、深刻な飢えや渇き、感染症の脅威にさらされている子どもの数が、7月時点の1,000万人から約2,020万人へと増えています。
ユニセフ東部・南部アフリカ地域事務所副代表のリーケ・ファン・ドゥ・ヴィールは、「体系立った迅速な取り組みにより、懸念されていた最悪の影響はある程度緩和されたものの、アフリカの角地域の子どもたちは、2世代以上が経験したことのないほど深刻な干ばつに直面し続けています。飢えや感染症で死の淵に追い詰められている、または、食料や水、家畜用の牧草地を求めて住処を離れざるをえないような、子どもたちや家族が驚くほど多くいます。彼らの命を守り、レジリエンスを高めるために、人道支援を継続しなければなりません」と述べています。
児童労働や児童婚のリスクも
エチオピア、ケニア、ソマリアでは現在、約200万人の子どもたちが、飢えの最も重い分類である重度急性栄養不良の緊急処置を必要としていると推定されています。全域の現状は以下のとおりです。
- 干ばつが原因で200万人以上が国内避難民となっています。
- 2,400万人近くが深刻な水不足に直面し、水を安定して得られない人口は2倍以上に高まっています。
- 干ばつのために約270万人の子どもが登校できず、さらに推定で400万人の子どもが退学する恐れがあります。
- 増大するストレスで家族が追い詰められる中、子どもたちは児童労働、児童婚、女性器切除(FGM)などのリスクに直面しています。
- 食料不安や避難が広まったことで、性的暴力・搾取・虐待などを含むジェンダーに基づく暴力も増加しています。
- ドナーやパートナーのあたたかな支援により、ユニセフはアフリカの角全域の子どもとその家族へ命を守るサービスを提供し続けるとともに、さらなる状況悪化への備えを整え、レジリエンスを高め、主要サービスを強化しています。
2022年にユニセフとそのパートナーは、約200万人の子どもと女性に対し命を守るために不可欠な保健ケアサービスを提供、生後6カ月から15歳までの約200万人の子どもにはしかのワクチン接種を実施、270万以上の人々に飲用・調理用・個人衛生用の安全な水を提供しました。
支援資金不足の可能性に警鐘
子どもたちとその家族の命を守る支援を提供するための、ユニセフによる7億5,900万米ドルの2023年向け緊急資金要請では、特に今年の対応で著しく資金が不足した教育、水と衛生および子どもの保護の分野における、適時かつ柔軟な資金支援を求めています。さらに、子どもたちとその家族の再起と気候変動への適応を後押しする長期的投資を支援するため、6億9,000万米ドルを必要としています。
リーケ・ファン・ドゥ・ヴィール副代表はまた、「世界中の政府や人々が新年を迎える準備をしているこの時に、私たちは国際社会に対し、来年やその先の数年間にアフリカの角を襲うかもしれない事態に、今対応することを強く求めます。アフリカの角の子どもたちがこれ以上壊滅的で取り返しのつかない被害を受けないようにするためには、リソースを世界的に至急動員する必要があります。子どもたちの命と尊厳、そして未来を守るために、私たちは今行動しなければならないのです」と述べています。