2023年2月16日東京発
トルコ南部のシリア国境近くで大地震が発生してから1週間以上が経ち、ユニセフ(国連児童基金)は多くの子どもが犠牲になった可能性が高い、と警鐘を鳴らしています。トルコの被災10県で暮らす子どもたちの総数は460万人、またシリアでは250万人の子どもたちが被災しており、両国で地震の影響を受けた子どもは700万人以上います。
支援活動は24時間体制
ユニセフは、地震で被災した人々の命を守るために、24時間体制で支援活動を続けています。例えばシリアのアレッポではユニセフが支援する移動医療チームが、被災した子どもたちの健康状態のチェックと支援を続けています。またトルコでは、イスタンブールから被災地のアディヤマンとカフラマンマラシュへ、追加で数万セットの家庭用衛生用品キットなどの支援物資を輸送中です。
子どもにやさしい空間提供
両国で水と衛生、保健、栄養等各分野での多角的な支援のニーズが日々増大する中、生涯で最も強い地震を経験した多くの子どもたちが心に大きな傷を負った可能性は高く、子どもたちに心理社会的サポートやメンタルヘルスを保つための支援を提供することの重要性も増しています。またシリアの子どもたちの多くにとっては、既にあった紛争のトラウマに、被災するトラウマをさらに重ねたような経験となりました。
こうした自然災害や紛争などの緊急事態においては、家庭・学校・遊び場・地域といった子どもたちを取り巻く生活環境は大きく変化し、子どもたちは心身共に大きな影響を受けてしまいます。ユニセフが現在、トルコの被災地で展開している「子どもにやさしい空間」は、一瞬にして日常を奪われ、過酷な状況に置かれた子どもたちに、学習や遊びなどの日常のリズムを取り戻す機会を提供し、心のケアを図ります。ここでは、子どもたちに遊びや学びの場を作るほか、心や体の健康を支えるための多様な活動や情報も提供しています。
「子どもにやさしい空間」は、間もなく1年を迎えるウクライナ危機、壊滅的な洪水に襲われたパキスタン、また治安悪化により多数の国内避難民が出ているブルキナファソなど、世界中で発生する自然災害や紛争の現場において、現在も展開されています。トルコとシリアの被災地でも、今後ニーズに応じて展開を拡大する予定です。
「子どもにやさしい空間」は、ユニセフのサポートの下、2011年の東日本大震災の支援の現場でも、多くの子ども支援団体によって展開されました。日本ユニセフ協会は、実際に現場での活動に関わった専門家から、いざという時に支援の現場で使える国内の実情に即した標準的な指針の整備を求める声や、「大きな災害が頻発する日本でこそ『子どもにやさしい空間』を災害支援のスタンダードに」との声に応え、2013年に、現場で使える実践的ガイドブック、「子どもにやさしい空間ガイドブック」を制作しています。
ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。トルコ・シリア国境で発生した地震の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。
お寄せいただいたご寄付は、被災した子どもと家族が1日でも早く日常生活を取り戻せるように、安全な飲み水や衛生用品等の緊急支援物資の提供、教育の再開支援、子どもの心理社会的サポートなど、ユニセフが被災地で行う緊急・復興支援活動に役立てられます。