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日本ユニセフ協会

自然災害緊急募金

トルコ・シリア大地震、心のケア課題に
被災地の学校再開は3月1日に延期 ユニセフ、被災者の心理社会的支援訴え

2023年2月24日ジュネーブ

ユニセフ(国連児童基金)欧州・中央アジア地域事務所代表のアフシャン・カーンは24日、国連の定例記者会見において、トルコの地震被災地訪問の報告を行いました。以下は、その概要です。

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悲惨な環境での避難生活

カフラマンマラシュ県の一時避難施設で過ごす子どもたち。(トルコ、2023年2月26日撮影)

© UNICEF/UN0792504/Ergen
カフラマンマラシュ県の一時避難施設で過ごす子どもたち。(トルコ、2023年2月26日撮影)

トルコ南東部とシリアを襲った巨大地震が残した惨状を、目のあたりにしてきました。私は、最も大きな被害を受けた11県の一つであるカフラマンマラシュにいました。地震で建物が瓦礫と化してから17日が経ち、何万もの家族がまだ避難所や仮住まいに身を寄せています。未だに、車内やバスターミナル、橋の下、仮設テントに避難している家族もいます。

地震を生き延びた子どもや家族たちは今、家を失い、食料や水の不足と、夜には氷点下となる凍えるような寒さに直面しています。100万人以上の人々が、基礎的サービスへのアクセスが限られる、体育館、スタジアム、ホテル、学生寮などの一時的な避難施設に滞在しています。

カフラマンマラシュにある施設の一つを訪ねました。当初9,000人を受け入れていたこの施設では、現在1万8,000人近くが暮らしています。そのうちの3分の1近くが子どもです。人が多く混雑しており、生活環境は悲惨でした。

約400万人の子どもが教育危機に

カフラマンマラシュ県にある地震により倒壊した学校。(トルコ、2023年2月26日撮影)

© UNICEF/UN0792500/Ergen
カフラマンマラシュ県にある地震により倒壊した学校。(トルコ、2023年2月26日撮影)

地震で完全に破壊された現地の学校の一つを見ました。無数の学校が損傷、倒壊したことにより、35万人以上の難民や移民を含む400万人近くの子どもたちの教育が、危険にさらされています。

子どもたちのため、また彼らの再起のため、学習や規則的な生活は非常に重要です。今、このような破壊と不安の中で、子どもたちは日常の感覚を取り戻せるようなサポートを必要としています。

今回の地震で被災した人々の中には、トルコが過去十数年にわたり受け入れてきた、80万人のシリア難民の子どもたちも含まれています。その多くは、紛争によってすでに過去に一度、家を失っています。これが、今、私たちが目の当たりにしている悲劇の複雑なところなのです。

トルコで暮らす子どもたちは、不安障害やうつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する危険にさらされています。彼らが勉強を再開できること、また経験したトラウマに対処する心理社会的サポートを早急に受けることが必要です。

心理社会的支援が急務

避難民の子どもたちと話す、ユニセフ・欧州・中央アジア地域事務所代表のアフシャン・カーン。(トルコ、2023年2月21日撮影)

© UNICEF/UN0791119/Karacan
避難民の子どもたちと話す、ユニセフ・欧州・中央アジア地域事務所代表のアフシャン・カーン。(トルコ、2023年2月21日撮影)

ユニセフは、トルコ政府やパートナーと手を携えて、命を守る物資の提供や緊急の心理社会的サポートを行っています。またおとなの同伴者がいない子どもや家族と離ればなれの子どもの特定、子どもにやさしい仮設学習空間の設置、水・保健・栄養のニーズの把握などについて、政府のサポートを続けています。

これまでに、16万2,000人以上の子どもを含む27万人近くの人々に、衛生用品、防寒着、電気ヒーターなどの必要物資を届けています。ユニセフは、トルコで今後3カ月の間に150万人の子どもを含む300万人に支援を行うため、1億9,600万米ドルを要請しています。

トルコの被害規模はまさに壊滅的としか言いようがありません。子どもたちは死と破壊を目の当たりにしました。彼らの世界は崩壊してしまったのです。子どもたちは、私たちの継続的な支援を必要としています。

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またユニセフは22日、トルコに関する最新の情勢レポートを発表しました。概要は、以下の通りです。

・地震により、トルコでは250万人の子どもを含む推計910万人が支援を必要としています。トルコ政府は、最も被害の大きかった10県において3カ月間の非常事態を宣言し、国際的な支援を要請しています。

・100万人以上の人々が一時的な住まいで暮らしており、冬の厳しい気象条件に直面しています。2月22日現在、おとなの同伴者がいない子どもが1,874人以上いると確認されています。全国の学校は2月20日から再開されましたが、被災10県の学校の再開は3月1日に延期されました。

・ユニセフは16万3,000人以上の子どもを含む27万7,000人近くに、衛生キットおよび冬服、電気ヒーター、毛布などの食料品以外の緊急支援物資を提供しています。

・ユニセフはパートナーを通じて、ガジアンテップ、キリス、マルディン、ディヤルバクル、シャンルウルファの各県で、5,100人の子どもたちに心理的応急処置とレクリエーション活動を提供しました。

・ユニセフの研修を受けた3,000人のトルコ青年スポーツ省からのユースボランティアが、被災県の子どもや家族へ緊急支援を行ったり、利用可能なサービスに関する情報提供を行ったりしています。

・150万人の子どもを含む300万人にユニセフが緊急支援を行うために必要な要請額1億9,600万米ドルに対して、2月22日現在、1,520万米ドルしか集まっていません。

 

ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い

地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。トルコ・シリア国境で発生した地震の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

お寄せいただいたご寄付は、被災した子どもと家族が1日でも早く日常生活を取り戻せるように、安全な飲み水や衛生用品等の緊急支援物資の提供、教育の再開支援、子どもの心理社会的サポートなど、ユニセフが被災地で行う緊急・復興支援活動に役立てられます。

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