2023年9月14日東京発
「ストーム・ダニエル」と呼ばれる暴風雨がリビア東部を襲い、およそ28万3,000人の子どもを含む約66万4,000人が暮らす広範な地域に被害を及ぼしました。決壊した2つのダムに近いアルバイダ、アルマルジュ、デルナは最も大きな被害を受けています。
報道によるとリビアではこれまで5,000人以上が死亡し、約1万人が行方不明となっています。死傷した子どもの正確な数は未だ明らかになっていませんが、影響を受けた人のほぼ3分の1が子どもであることはわかっています。そのため、何百人もの子どもが死傷している可能性がある、とユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしています。また、少なくとも2万人が国内避難民として主に学校などで避難生活を続けており、7,000人が遠隔地に取り残されている、とも伝えられています。
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病院などの施設も被害に
多くの都市、とりわけデルナで、甚大な被害が報告されています。3つの主要な病院が機能不全に陥り、4つのプライマリ・ヘルスケア・センターが浸水し、2つの医療品倉庫も被害を受けました。また同国教育省によると、デルナではこれまでに6つの学校が損傷を受けています。
被災した子どもや家族にとって差し迫って必要な支援は、避難所、安全な飲料水、医療物資、そして家族を探すことです。加えて心理社会的支援を含む子どもの保護は、子どもや親が辛い経験に対処する上で非常に重要です。中期的には、診療所や病院の復旧、給水・衛生設備の修理、コレラの予防、被災者のための代替避難所を確保した上での学校の修復、などの支援が必要となります。
ユニセフは緊急支援活動に必要な資金の提供を、国際社会へ呼びかけています。洪水発生前に立てられていた人道支援計画に対する資金でさえ、6月時点で確保できていたのは、必要としていた2,860万米ドルのわずか7%にすぎませんでした。大洪水の被害に直面し状況はさらに逼迫しており、命を守るための物資だけで少なくとも200万米ドルかかる、との予想もあります。
子どもたちのための最善の行動を
ユニセフ・リビア事務所代表のミケーレ・セルヴァデーイは、「この災害の規模は、初期の予想をはるかに超えるものです」とX(旧Twitter)の投稿で述べています。ユニセフは1957年以来、リビアの子どもたちを支援してきており、同国政府からの支援要請を受け、今回の洪水被害においても子どもたちとその家族への緊急支援を開始しました。
すべての紛争や自然災害の現場で、子どもは常に最も弱い立場に置かれます。ユニセフは引き続き事態を注視し、状況の変化に応じて子どもたちのための最善の行動をすべく、関係当局と連携していきます。
ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。リビアで発生した洪水の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。
お寄せいただいたご寄付は、被災した子どもと家族が1日でも早く日常生活を取り戻せるように、安全な飲み水や衛生用品等の緊急支援物資の提供、教育の再開支援、子どもの心理社会的サポートなど、ユニセフが被災地で行う緊急・復興支援活動に役立てられます。