2023年9月28日ニューヨーク/アンマン/トリポリ発
アフリカにおける観測史上最悪の暴風雨に襲われ、リビア東部では1万6,000人以上の子どもが避難生活を余儀なくされていると、ユニセフ(国連児童基金)は本日警鐘を鳴らしました。子どもたちの心理社会的ウェルビーイングが危機に瀕しています。保健、学校教育、安全な水の供給などの必要不可欠なサービスが提供されないため、さらに多くの子どもが影響を受けています。
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心理的サポートの必要性も
「ストーム・ダニエル」と呼ばれるこの暴風雨は、9月10日にリビア東部を襲い、デルナ、アルバイダ、スーザ、アルマルジュ、シャハト、タクニス、バタ、トルメイタ、ベルシス、トクラ、アルアビヤルに広範囲に洪水と破壊をもたらしました。
避難した家族の一部は、学校で生活を続けています。ユニセフは、この悲惨な災害が起こって以来、当局やパートナーと協力して被災地の子どもと家族の緊急のニーズに対応しています。
アルバイダとデルナを訪れていたユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所代表のアデル・ホドルは、次のように述べました。「災害が発生すると、子どもたちは常に最も脆弱な立場に置かれます。子どもと家族は洪水により壊滅的な打撃を受けています。重い心理的な負担に耐えている家族や、非常に大きなストレスを抱えた子どもがいました。多くの子どもは眠れず、人と話をしたり、遊んだりすることができません。恐ろしい体験の記憶によって、悪夢を見たり考えに影響が出たりして、いまだに彼らを苦しめています。今こそ、学校再開の支援、心理社会的サポートの提供、プライマリ・ヘルスケア施設の修復、水道の復旧など、復興に焦点を当てるべきときです。悲劇は終わっておらず、デルナとアルバイダの子どもたちのことを忘れてはなりません」
重要なインフラも深刻な被害に
犠牲者に子どもがどのぐらいいるかはまだ確認されていませんが、ユニセフは、リビアの人口の約40%を子どもが占めていることから、この災害で何百人もの子どもが死亡したのではないかと憂慮しています。
保健・教育インフラに甚大な被害が出ていることから、子どもたちの学習がさらに妨げられ、致命的な感染症が集団発生する危険性が再び高まっています。暴風雨の直撃を受けた地域では、影響を受けた117校の学校のうち、4校が全壊し、80校が一部損壊しました。
水供給の支障、水源や下水道網の著しい損傷、地下水の汚染の危険性により、水系感染症の懸念が高まっています。デルナだけでも、水道システムの50%が被害を受けたと推定されています。
資金不足の訴えも
ユニセフは、危機発生の翌日から、リビア東部の子どもたちを積極的に支援してきました。被災地には65トンの支援物資が届けられ、その中には5万人x3カ月分の医療用品、約1万7,000人分の家庭用衛生キット、500セットの子ども用防寒着、200セットの「箱の中の学校」(教育キット)、3万2,000錠の浄水剤が含まれています。 ユニセフはまた、子どもたちが災害による精神的な打撃に対処できるよう、子どもの保護・心理社会的サポートを行う移動式チームを派遣しています。
「私たちは、命を守るための支援活動を継続するとともに、公平で、回復力があり、子どもに焦点を当てた長期的な復興に投資するよう、当局やドナーに働きかけています」と、ホドル代表は付け加えました。
ユニセフは、支援の資金として650万米ドルを必要としていますが、初動の緊急支援活動に加え、教育、保健、水に重点を置いた当面の復興活動を実施する費用も含めるため、要請額を見直しているところです。現在までに、必要な資金の約25%しか集まっていません。
ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。リビアで発生した洪水の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。
お寄せいただいたご寄付は、被災した子どもと家族が1日でも早く日常生活を取り戻せるように、安全な飲み水や衛生用品等の緊急支援物資の提供、教育の再開支援、子どもの心理社会的サポートなど、ユニセフが被災地で行う緊急・復興支援活動に役立てられます。