2023年12月6日東エルサレム発
ガザ地区で戦闘が再開し、人道危機がさらに深まる中、ユニセフ(国連児童基金)は引き続き、命を守るための支援活動を現地で展開するとともに、大規模な人道支援のための人道的休止を求めています。現地パレスチナ事務所から、現状と支援活動について最新の情勢レポートが届きました。
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ユニセフ・パレスチナ情勢レポート No.9(2023年12月6日付)
要旨
・190万人が避難民となっています。戦闘の人道的休止後、敵対行為が再開し、人道的・物理的空間は著しく縮小しています。
・敵対行為の激化から2カ月が経過し、パレスチナ人1万7,177人が死亡、4万6,000人以上が負傷しており、またイスラエル人と外国人1,200人が死亡、7,500人以上が負傷したと報告されています。子どもたちへの影響は甚大かつ深刻で、5,350人以上の子どもが死亡、8,663人が負傷したと報告されています。
・ヨルダン川西岸地区では、10月7日以降、この8週間で少なくとも69人の子どもが紛争に関連した暴力で死亡したと報告されており、これは2022年通年で死亡した子どもの数のほぼ2倍にあたります。
・戦闘の人道的休止は12月1日に終了し、ユニセフが人道支援を安全に届けるための課題はますます増大しています。支援は少量ずつガザ地区に届けられていますが、十分とは言えず、人々のニーズは計り知れません。さらに、不安定な情勢や物流の妨げに関連した課題も続いています。
・11月30日~12月6日の間に、ユニセフはガザ地区北部で66万リットルのボトル入り飲料水を配布し、これは22万人以上に対しての支援に繋がりました。
・パレスチナにいるパートナーを通じて、ユニセフは11月30日~12月6日の間に、ガザ地区北部の20の避難所で子どもの保健サービスを拡大しました。これらの避難所に住む7万1,000人の国内避難民のうち、1万6,000人以上がプライマリ・ヘルスケアのサービスを受けました。
・11月30日~12月6日の間に、ユニセフは避難所に5万枚の毛布を届けました。
・ユニセフは、約31万人(14万5,000人の子どもを含む4万500世帯、1万4,400人の障がい者、9,900人の母子家庭)に多目的現金給付を行いました。
・11月30日~12月6日の間に、ユニセフは人道支援物資を積んだトラック48台をガザに派遣し、10万6,000人以上の子どもたちのために31万9,000枚の紙おむつ、16万5,000個の水容器、1万1,000人以上が7日間使用できるボトル入り飲料水、1,320人分のテントを提供しました。
数字で見る現状
- パレスチナ全土で支援が必要な人は310万人
- ガザ地区で影響を受けている子どもは100万人
- 国内避難民は190万人以上
- 損傷したガザ地区の学校は339校
- 損傷または破壊されたガザ地区の水と衛生の公営施設は56%
ユニセフは、以下を求めています。
・即時の人道的停戦をすること。
・ガザ地区へのすべての検問所を開放し、衝突の影響を受けている人々が、どこにいようとも継続的かつ妨げられることなく人道支援が届けられるよう、ガザ地区全域での人道支援従事者と物資の安全な移動を認めること。物資には、水、食料、医療物資、燃料が含まれなければならない。
・拉致されたすべての子どもの即時、安全かつ無条件の解放と、殺傷を含む子どもに対するあらゆる重大な権利侵害をやめること。
・ガザ地区において緊急の医療措置が必要な場合、重要な医療を安全に受けられるようにするか、または地区外への退避を許可すること。また負傷した子どもが退避する場合は家族の付き添いを認めること。
・シェルターや学校、保健・電力・水道・衛生施設などの民間インフラを尊重・保護し、民間人や子どもに犠牲者を出すことや病気の集団感染を防ぎ、病人や負傷者に手当てを行えるようにすること。すべての紛争当事者は国際人道法を遵守しなればならない。
支援計画と資金の概要
ユニセフは、2023年10月から12月までの間に120万人の子どもを含む210万人を支援するために、1億5,440万米ドルの資金を必要とする最新の「子どもたちのための人道支援計画(HAC)」を発表しました。現在までのところ、1億米ドル(65%)の資金が不足しています。
ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い
(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受付しています。最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。