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日本ユニセフ協会

ガザ人道危機 緊急募金

地球上、最も危険で困難な集団予防接種
ガザでのポリオ予防接種、第1段階終了
ユニセフ地域事務所代表声明

2024年9月4日アンマン

「悲惨な紛争が続くガザ地区で、この3日間、“明るい兆し”が見えてきました」。9月1日にスタートしたポリオワクチン集団予防接種の第1段階の終了にあたり、ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表のアデル・ホドルは、以下の声明を発表しました。

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18万人以上の子どもにワクチン投与

ガザ中心部で行われたユニセフのポリオの集団予防接種にて、経口ポリオワクチンの投与を受ける子ども。(ガザ地区、2024年9月1日撮影)

© UNICEF/UNI636685/El Baba
ガザ地区中部で行われたユニセフのポリオの集団予防接種にて、経口ポリオワクチンの投与を受ける子ども。(ガザ地区、2024年9月1日撮影)

男性も女性も子どもたちも、決して耐え忍ぶ必要のない恐怖を経験しなくてはならなくなってから、ほぼ1年の月日が経ちました。しかし今週、私たちは、単純に、“意志”があればどんなことが達成できるのかを、目の当たりにしました。

少なくとも四半世紀の間、ガザ地区では、ポリオの発症例は皆無でした。しかし、処理されることのない汚水と瓦礫の奥深くから、目に見えない脅威が戻ってきたのです。現在までに、生後11カ月の乳児にポリオの発症が確認されました。この子は、この世に生を受けてまだ間もないにもかかわらず、その短い生涯の全てがすでに最も困難な状況の中に置かれていました。そして、ポリオに罹患し、生涯続く身体的被害を受けました。

ポリオが、ガザ地区に留まらず、周辺諸国にまで拡大する危険性は、依然として高い状態です。今週、私たちはこの問題に取り組み始めました。ユニセフと国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)と世界保健機関(WHO)は、10歳未満の子ども64万人にワクチン を接種する活動をガザで展開するため、精力的に活動しています。

9月1日から3日にかけて実施された集団接種の第1段階では、513の保健医療チームがガザ地区中部で活動を展開し、当初の目標を上回る18万9,000人以上の10歳未満の子どもにワクチンを投与しました。

地球上、最も危険で困難な集団予防接種

ガザ中心部の保健所で、経口ポリオワクチンの投与を受ける男の子。ユニセフは特に接種率の低い地域に確実にワクチンを届けることを目指している。(ガザ地区、2024年9月2日撮影)

© UNICEF/UNI637077/El Baba
ガザ地区中部の保健所で、経口ポリオワクチンの投与を受ける男の子。ユニセフは特に接種率の低い地域に確実にワクチンを届けることを目指している。(ガザ地区、2024年9月2日撮影)

学校や子どもたちが避難している場所への執拗な攻撃。既に何度も転居を余儀なくされ疲弊した人々に出され続ける避難指示。ガザの一部を飢きん寸前まで追い込んだ飢餓のまん延。さまざまな困難や危険にもかかわらず、ガザの人々は、大勢の子どもたちを予防接種場所に連れてくる努力を惜しみませんでした。子どもたちを守るために一刻の猶予もありません。

予防接種は、過去3年間に40カ国以上で子どもたちを守ってきました。ワクチンが、ポリオのまん延を食い止め、子どもたちをポリオから守る最も安全で効果的な方法であることは、歴史と科学的証拠が裏付けています。

しかし、医療従事者や子どもたちが、命を危険にさらすことなく予防接種に参加できるようにする人道的休戦が無ければ、このような成果は得られません。集団予防接種の第1段階では、戦闘の一時停止の合意が尊重され、ガザの人々や保健従事者に“仕事”をやり遂げる自信を与えました。

この状況は維持されなければなりません。集団予防接種の残りの2つの段階を実施するためには、戦闘の一時停止が必要です。さもなければ、ガザの子どもたちを守ることができず、周辺の国々の子どもたちを危険にさらすことになります。ウイルスのまん延を食い止めるためには、少なくとも(対象人口の)90%の予防接種率を達成しなければなりません。

子どもたちを守るという強い意志が必要

ベングリオン空港に届いた、ガザへ届けられるポリオワクチンを確認するユニセフのスタッフ。(イスラエル、2024年9月4日撮影)

© UNICEF/UNI637697/Izhiman
ベングリオン空港に届いた、ガザへ届けられるポリオワクチンを確認するユニセフのスタッフ。(イスラエル、2024年9月4日撮影)

この野心的な集団予防接種活動を準備し、戦闘の一時停止を実現することは容易なことではありませんでした。(しかし今回の活動は)ガザ地区へ人道支援物資を搬入し、空爆を止め、人々を守ることが可能であることを示しました。そこに必要なものは“(子どもたちを守るという強い)意志”です。

ガザの子どもたちは、毎日のように爆弾や銃弾にさらされ、命を脅かされています。保健や水、衛生などの重要な社会インフラが破壊され続け、ガザ地区全域で、致命的な疾患が発生するリスクが高まっています。この紛争が始まる前、ガザ地区の子どもたちの予防接種率は非常に高く、99%以上でした。

これは、現在、地球上で最も危険で困難な予防接種活動の一つです。ガザ地区は、子どもにとってすでに世界で最も危険な場所です。戦闘の一時停止が実現したとしてもなお、予防接種活動は、道路や医療などの社会インフラの損壊や、人々の避難、略奪、物流網の寸断など、重大な危険と計り知れない障害に直面しています。

(ガザの)子どもたちはもう十分に苦しんでいます。そして今、周辺国の子どもたちを脅かす危険性も高まっています。私たちは、(この活動に)失敗するわけにはいきません。

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