|
|
HOME > 協会からのお知らせ2007年 |
公衆衛生と衛生学に関する東アジア関係閣僚会議2007開催
|
【2007年11月30日 別府発】
© UNICEF/HQ07-0957/Olivier Asselin |
東アジア全体で人々の健康のみならず社会的な発展を阻害している深刻な公衆衛生問題を解決するため、東アジアの14カ国の関係閣僚らが大分県別府市に集まり、本日より2日間に渡って「公衆衛生と衛生学に関する東アジア関係閣僚会議2007」が行われます。
世界銀行、ユニセフ(国連児童基金)、WHO(世界保健機関)が共催し、アジア・太平洋諸国の首脳らが水にかかわる問題を話し合う「第1回アジア太平洋・水サミット」(12月3日〜4日開催)の協力で開催されます。
今回はこれまで東アジア地域で開催された同様の会議の中で最大規模のものとなり、大臣や政府関係者を含む170人以上の代表が参加します。本会議は、主に、中国、カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、モンゴル、東ティモール、フィリピン、ベトナムの現状と課題に焦点を当てますが、これら9カ国に加え、ブルネイ、日本、マレーシア、シンガポール、タイからも代表が出席します。
この会議は、「2008年国際衛生年」に向けて行われるもので、不十分な衛生施設による損失やそれが改善された場合に発生する利益を公表するとともに、今後大きな前進を図るために政府、公的・民間部門がとるべき行動についても話し合われます。
ユニセフ東アジア・太平洋地域事務所長のアヌパマ・ラオ・シン氏は、「今回の会議では、公衆衛生対策が財政面でも政策面でも最優先事項になるべきであるということが明らかになるでしょう。何もしないでいることによって莫大な損失があることがわかれば、さらなる対策を講じる議論を無視できなくなります」と話しています。
政府は、ほかの社会的要求や選挙に影響がある事柄を重視し、公衆衛生は家族で扱う問題と思われがちであるため、公衆衛生を優先事項として取り上げることはほとんどありませんでした。つまり、衛生サービスや事業に割りふられる投資や予算は少なく、家庭、病院、学校、その他の施設はひどい状態のままであることの方が多かったのです。
© UNICEF/HQ07-0405/Giacomo Pirozzi |
東アジアでは、人口のほぼ半分にあたる人々が清潔で安全なトイレを使えないでいます。この厳しい現実は8億人もの人々に影響を及ぼし、大規模な病気・欠乏の発生、社会の主流から取り残された人々が陥る貧困の悪循環の深刻化、都市部と農村部、裕福な家庭と貧しい家庭の間における格差の拡大などを引き起こしている現実があります。
そして、公衆衛生は人間の健康にとって不可欠です。劣悪な公衆衛生における、排泄物による汚染は、下痢症の主要原因となっており、東アジアでは、多くの子どもたちが、下痢が原因で命を失っています。さらに、衛生条件の悪さは、赤痢、コレラ、A型肝炎、トラコーマなどの病気の原因ともなります。
公衆衛生と水は、貧困や飢餓の削減、子どもや妊産婦の死亡率を低減、ジェンダーの平等、天然資源の保護など、2015年までのミレニアム開発目標のほとんどについて、目標達成のための大きな鍵となっています。また、公衆衛生の改善が進まないと、ほかのミレニアム開発目標達成に向けた前進が行き詰まることになります。
劣悪な公衆衛生状況は、社会的地位の低さ、嫌がらせ、不便や不安の原因となり、社会発展を阻害します。特に社会的な要因に影響を受けやすい女性や女の子が深刻な影響を受けます。また、特に女の子について、教育機会を奪う結果につながるとともに、回収や処理をされないゴミや廃水が毎年大量に発生することになり、環境汚染を引き起こします。
© UNICEF/HQ05-0765/Pallava Bagla |
東アジア・太平洋地域では、全体としては公衆衛生に関連するミレニアム開発目標を達成できると見られていますが、個々の国の現状には大きな違いがあります。しかも、いまだに6億4,000万人が基本的な衛生施設を持たず、大多数の人々が最も過酷な地域に住む最貧困層に属しているというのが現実なのです。
公衆衛生を普及させるには、従来の衛生習慣への固執、家庭でのトイレ需要の低さ、戸外で排泄が行われることに注目が及ばない文化など、数多くの障害があります。しかし、実施できる現実的な解決策は身近にあり、個々のコミュニティから国家レベルまで成功例もたくさんあります。すぐに変化をおこすことは可能なのです。