2018年11月28日東京発
水は、「子ども時代」。
学校に通ったり、友達と遊んだり。子どもには、子どもらしく過ごす時間が必要です。しかし、家の近くで清潔で安全な飲み水が手に入らない時、多くの開発途上国で水汲みは子どもの仕事です。世界の約3人にひとりが安全に管理された飲み水*を手に入れることができない中で、サハラ以南のアフリカ諸国だけでも、330万人を超える子どもたちが水の重さに耐えながら、毎日遠い道のりを歩いています。
子どもたちは、水を手に入れることと引き換えに、子どもらしく過ごす時間を失っています。子どもたちの日々は水汲みを中心に回り、「子ども時代」はその間に過ぎ去ってしまうのです。
*安全に管理された飲み水:必要な時に、自宅で使用できる、汚染されていない飲み水があること。
マダガスカルにおける取り組みと成果
ユニセフは、100カ国以上で水と衛生分野における支援を行っていますが、中でも、TAP PROJECT JAPANで支援してきたマダガスカルは、特に水と衛生における状況が悪い国です。これまでに、日本ユニセフ協会「マダガスカル 水と衛生募金」に加え、多くの方々からTAP PROJECT JAPANを通じた募金にご協力をお寄せいただきました。マダガスカルは水利用の地域格差が大きく、改善された飲用水源を利用する人の比率は、プロジェクトが始まった当初農村部で29%(2008年)でしたが、最新の統計では34%(2015年)に改善しました。
一般からのオンラインなどを通じたご協力を含み、これまでのご支援によって、南東部アッチモ・ アツィナナナ県において具体的には以下の成果が達成されました。
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*2021年更新
マダガスカル 水の使用状況の改善
2015年、ミレニアム開発目標(MDGs)が達成期限を迎え、新たな目標として、持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。「持続可能な開発目標(SDGs)」は、基本的な水と衛生(WASH)へのアクセスの向上に向かって、MDGsよりもさらに高い目標設定として「安全に管理された飲み水」「安全に管理された衛生施設(トイレ)」を掲げ、新たな指標を取り入れました。
マダガスカルにおいても、2000年から2016年までの間に水道を使用する割合が増え、地表水を飲む割合が都市部で6.7%、農村部で17.3%減るなど、都市部と農村部双方で水指標における改善が見られました。
1.都市部における水の使用状況(マダガスカル)
2.農村部における水の使用状況(マダガスカル)
※WHO/UNICEF JMPを元に作成
子どもたちの未来を変える力に
今年も全国のレストラン・カフェでは、お店で提供するお水やお茶に対してきれいな水を子どもたちに届けるための募金をお客さまに呼びかけていただきました。2018年、TAP PROJECT JAPANを通じて合計2,975,302円の募金が寄せられました(2018年10月31日時点)。
趣旨に賛同いただいた博報堂グループの有志メンバー、飲食店、企業のご協力のもと、これまで10年間にわたって「TAP PROJECT JAPAN」を実施することができました。支援先を東日本大震災として募金活動を行った2011年を除き、TAP PROJECT JAPANに賛同いただいた全国の飲食店やPROJECTに関連したイベント、オンライン上の取り組みなどを通じてマダガスカルに寄せられた水と衛生募金は、総額4,188万円以上にのぼっています(2018年10月31日時点)。
ご協力いただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。
10年間の継続したご協力をいただいた皆さま
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清潔で安全な水が学校や家の近くで手に入るようになると、子どもたちは、汚れた水でおなかをこわしたり感染症や寄生虫病にかかったりすることがなくなり、病気で学校を欠席することも減ります。長い道のりを歩く水汲みからも解放され、学校に通い、遊び、子どもらしく過ごす時間が生まれます。ひとつの給水設備が、「子ども時代」を守り、子どもたちの未来を変える力を持っています。
TAP PROJECT JAPAN にご協力いただいた全てのみなさま、これまでのご支援に心より感謝申し上げます。
マダガスカルの子どもたちを取り巻く水と衛生環境には大きな改善が見られるものの、清潔で安全な水を手に入れられる場所は限られ、いまだに多くの小学校では水を使用することができません。この状況は、子どもたちが学校に通い、学ぶ機会を妨げています。TAP PROJECTに参加できなかった皆さまも、マダガスカルの「水と衛生」事業への募金を引き続き受け付けています。ご支援により、より多くの子どもたちを支援することが可能となります。
皆さまのご協力をよろしくお願いします。