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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

アフガニスタン:
学校にも通えず、家族を支える15歳の女の子
ユニセフの人道支援、最も困難な環境下で生きる人々に向けて

【2014年2月12日 アフガニスタン・カブール発】

フェレシタさんと家族にとって、最も生活が困難になる冬。カブールの非公式テント居住区にある泥レンガ造りの家で雨露をしのぐのは、ビニールシート製の屋根だけです。フェレシタさんが母親と5人の弟や妹とここに身を寄せてから、もう7年の年月が経ちます。

フェレシタさん一家はかつて家を借りて生活をしていましたが、精神病を患う父親が薬物中毒になり、家を追い出されてしまいました。今は母親が一家を支えています。

15歳のフェレシタさんは、この一家の長女です。妹が近くの無償の学校に出席する間も、フェレシタさんは家で弟や妹の面倒をみます。母親は近所の家で家政婦として働き、月に20米ドルほどの稼ぎを得ています。フェレシタさんは家でボラニというジャガイモ入りのパンを焼き、妹に持たせます。そして妹はそれを1つ25セントで市場に売りに行くのです。

家族を襲った悲劇、きびしい避難生活

©UNICEF Video
フェレシタさんは7年間、母親と5人の妹弟とともに仮設避難所で生活しています。

数ヶ月前、フェレシタさんの弟は、カブールの路上でボラニを売り歩いているときに車にひかれました。弟は学校から帰ってくると、家族の生活を支えるために路上でボラニを売っていました。帰ってこなかった息子を心配し探しに出かけた母親は、息子が事故にあい、近くの病院に搬送されたと聞かされたのです。

母親が病院に駆け付けたとき、すでに息子は亡くなっていました。搬送された時には手の施しようがない状態で、病院に運ばれて間もなく息を引き取ったと、医師から告げられました。使っていた学生かばんは、今も当時のまま、壁にかけられています。

ファレシタさんのように、紛争や自然災害で避難を強いられている多くの家族がいます。カブール市内や周辺には、51の非公式居住区があり、およそ3万400人が身を寄せています。なかには10年以上、このような環境下で生活をしている人もいます。これらの人々のニーズに応えるため、ユニセフや他の国連機関、NGOは、食糧、燃料用の木材、毛布や避難生活に必要な物資などの非食糧支援物資を配布しています。

避難生活を送る人たちは、夏の時期には水、食べ物、基本的な保健サービスへのアクセスが限られ、衛生環境の悪さで病気が発生するリスクが高まる中、生活を送ります。そして冬の時期には、寒さが厳しい気候に対応できる避難所や、基本的なサービスが不十分のため、生活環境が極めて悪化してしまいます。例年になく厳しい寒さであった2011年から2012年の冬には、24人の子どもたちが低体温症で命を落としました。

子どもの命を守る、効果的な支援

©UNICEF Video
妹が学校で勉強をする間、フェレシタさんは家で妹や弟の面倒をみます。そして妹が家から戻ると、学校で習ったことを教えてもらいます。

フェレシタさんや彼女のような子どもたちにとって、明るい兆しも見られます。ユニセフやパートナー団体は、緊急事態下に置かれている子どもたちの命を守るため、保健や栄養、水と衛生分野の支援を迅速かつ効果的に届けられる、よりよい方法の考案に力を注いでいます。

ユニセフは、アフガニスタン政府やNGO、他の国連機関と協力し、水様性下痢の蔓延やコレラ発生を予防するために、水の塩素処理キャンペーンや衛生環境促進の支援を実施する予定です。また、被災しているすべての子どもたちに対し、乳幼児の栄養改善を目的とした緊急支援を実施することで、急性栄養不良を防止しようとしています。そして、急性栄養不良に陥っている5歳未満の子どもたちに対する治療支援を、今後拡大していく予定です。

妹を学校まで送り届け、フェレシタさんは凍るような冷たい水で汚れた皿を洗います。地面は濡れ、ぬかるんでいますが、履く靴下もありません。

障がいのある弟は、犬と遊んでいます。

「世界の人たちが、ここで起こっているような問題に目を向けてくれたらいいです。暖かい服や毛布、それに食糧。寒さが厳しい冬には、生活をしていくために多くのものが必要です」と、フェレシタさんが語ります。

* * *

2014年2月21日、ユニセフは『子どもたちのための人道支援報告書−2014年』を発表しました。この国際社会に対する支援要請は、世界中で大きく報道される大規模な緊急事態だけではなく、子どもや女性の生活や幸福を危機に陥れる緊急の危機にもかかわらず、大きく取り上げられることがない国や地域にも焦点をあて、最も困難な環境下で生きる人々のニーズに対応するためのものです。

『子どもたちのための人道支援報告書−2014年』では、世界中の子どもたちに対する災害や緊急事態の影響が高まっていることも反映し、5,900万人の子どもたちを含む8,500万人の人々に必要な支援を行うため、ユニセフは過去最大規模の人道支援要求額である22億米ドルを国際社会に要請しました。

アフガニスタンにとって極めて重要な年となる2014年。大統領選挙や国際軍の撤退が予定されており、国の安全や発展にも大きな影響がでることが予想されています。

家族を支えるために困難な生活を送るアフガニスタンの15歳の女の子。彼女がおかれている苦境に目を向ければ、最も支援を必要としている人たちを守り、生活をサポートするために、より効果的な支援が求められていることは明らかです。ユニセフの人道支援要請は、現在も続く栄養危機、水と衛生のサービス、難民の支援、紛争に影響を受ける子どもや女性の問題に焦点を当てています。

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