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ブルキナファソ:
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児童労働の撤廃に向けた世界的な取り組みは1990年半ばから本格化し、児童労働に従事する子どもたちの数は、2000年から2012年の間に3分の2まで減少しました。しかし、その取り組みは十分とはいえません。
ブルキナファソでは、自分や家族の生活を支えるために何千もの子どもたちが金鉱山で働いています。ユニセフは、子どもたちに新しい技術を教えることで、金鉱山での労働から子どもを解放するプロジェクトを支援しています。
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© UNICEF Burkina Faso/2014/Nesbitt |
頭に懐中電灯をつけて金鉱山のトンネルの中で働く15歳のボウクン・ブレイマ・ハウマくん。 |
ブルキナファソ北部で、15歳のボウクン・ブレイマ・ハウマくんがマンホールほどの幅の採掘用に垂直に掘られた縦抗を、ロープにしがみつきながら30メートル以上下に降下します。ゴム製のチューブで頭に取り付けた古い懐中電灯が唯一の明かりです。穴の底に辿り着くと、ボウクンくんはそこから10メートルほど這って狭いトンネルを進み、採掘を始めます。金を捜しているのです。
ユニセフとブルキナファソ政府が2010年に実施した調査によると、約2万人もの子どもたちがこのゴロル・カーイのような金鉱山で働いていることが確認されています。そしてその80%以上の子どもたちが、一度も学校に通ったことがありません。
この問題に対応するため、ユニセフはカウンセリングなどの支援とともに、金鉱山での労働から子どもたちを解放し、学校に通えるようにするため、幅広い取り組みを行っています。
「ここで働き始めて2年になります」と、ボウクンくんが話します。「朝起きてすぐ、金鉱山で仕事を始めます。1日に4、5袋の鉱石を採掘することができます。そしてその鉱石を売ることでお金を稼いでいます」
© UNICEF Burkina Faso/2014/Nesbitt |
金鉱山で鉱石を砕く仕事をするエサトゥ・アマドゥさん14歳。 |
多くの住民が貧困に苦しむ、サヘル地帯の奥地に位置するこの不毛の土地では、教育を受けることで得る長期的な恩恵よりも、鉱山で得るお金の方が魅力的なのです。
「13歳からここで働き始めました。家に食べものが全くなかったからです。稼いだお金は全部、両親に送っています」とボウクンくんが語ります。
ボウクンくんは一度も学校に通ったことがなく、読み書きもできません。
採掘場の反対側では、10歳ほどの女の子がボウクンくんのような採掘労働者が掘った鉱石を、細かい粒子に砕いています。その後、砕いた粉をふるいにかけて金を捜す、途方もない作業に移ります。
© UNICEF Burkina Faso/2014/Nesbitt |
職業訓練センターに通う17歳のキンダ・コロティニさん。 |
ユニセフはパートナー団体や政府と協力し、児童労働が最も蔓延している5つの地域で、子どもたちを労働から解放し、職業訓練センターや学校に通わせる取り組みを行っています。
このセンターでは、仕立屋や洋裁師、大工、溶接工、整備工になるための訓練が行われています。
17歳のキンダ・コロティニさんは、粉砕作業をする女性や女の子の元に採掘現場から鉱石の入った袋を運ぶ仕事をしていました。お金が必要で、学校を退学して鉱山での仕事に就きましたが、過酷な重労働で絶えず病気にかかり、痛みを抱えていました。そのため仕事を始めてから2年後に、職業訓練センターに自ら通うようになりました。
「洋裁の仕事に就くための勉強を始めて、3年目です。教室で理論を学び、ミシンで練習します。鉱山での仕事を辞めることができて幸せです。以前の仕事はとても大変で、身体が痛かったです。でも、ここで学ぶ技術は以前とは違います。もっと将来の役に立ち、知識も得ることができますから」(キンダさん)
2009年に開始したこのプロジェクトで、200人以上の子どもたちがゴロル・カーイ金鉱山での労働から解放されました。職業訓練は、子どもたちが失った教育の機会に代わるものではありません。しかし、鉱山での労働から脱出するための、大きな術になるのです。
「来年訓練を卒業したら、自分の店を開きたいです」と、キンダさんが語ります。「ドレスを作りたいです。それに、他の女の子にも私が学んだ技術を教えたいと思います」
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2014年11月に子どもの権利条約が25周年を迎えます。ユニセフによる、児童労働に関するこれまでの継続的な支援は、大きな成果を遂げてきています。しかし、撤廃に向けより一層の取り組みが必要とされています。
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