中央アフリカ共和国:
バンギでイスラム系市民への襲撃続く
ユニセフ情勢レポート(2014年3月28日)
【2014年3月28日 バンギ発】
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© UNICEF/NYHQ2014-0329/Jan Grarup |
バンギの軍用飛行場に避難している親子。 |
ユニセフ情勢レポート(2014年3月28日発表)から、中央アフリカにおける人道状況、ユニセフの支援活動に関する状況をお伝えします。
■数字で見る概況
- 紛争下にある子どもたち:230万人、紛争下にある人たち:460万人 (※OCHA 2013年12月時点)
- 国内で避難している人たち:62万5,000人
(※OCHA 3月26日時点)
- 首都バンギで避難している人:20万人以上(49の避難所)、バンギ外で避難している人42万5,000人以上
国内避難民の総数は2月以降減少したものの、バンギの避難民数は増加
■イスラム系住民への攻撃が続く、バンギでは避難民数が増加
- 国内各地で緊迫した情勢は続いており、バンギの数カ所ではイスラム系市民が攻撃対象に、犯罪も増加
- 雨季到来を前にマラリア予防のための蚊帳の配布を急ピッチで進めている。避難所で6万532世帯を対象に29万6,000張の蚊帳を配布
- 南西部のZemio、Oboで現場視察を実施、LRA(神の抵抗軍)の被害者支援とコミュニティの回復プロジェクトを視察
LRAによる襲撃が続いていることから、人道支援が必要とされている
※LRAはウガンダから掃討されたのち、コンゴ民主共和国や中央アフリカなどで活動
- 2014年の人道支援必要額として要請した6,200万米ドルのうち、1,300万米ドル(約21%)を調達
- 支援にあたるユニセフのスタッフは計144名、バンギ(111名)のほかバンバリ(Bambari、4名)、ボッサンゴア(15名)、カガバンドロ(14名)に事務所を設置し、活動
- 1月の政権移行後も、キリスト教系のアンチバラカによるイスラム系住民への攻撃が続く
- イスラム系住民の多くは、チャドやカメルーンに避難したものの、包囲され身動きの取れない住民もいる
- 北東部のNdeleでは、旧セレカがBiraoからNdeleを経てBriaに移動しており、情勢が悪化する懸念
- 人道支援機関は人員を増強しているものの、依然としてキャパシティや治安情勢などの困難に直面
- 3月13日、EUは8,100万ユーロの支援を表明、教育や保健、食糧確保などと同様に選挙準備のために法の回復なども求める
■分野別の活動
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© UNICEF/NYHQ2014-0333/Jan Grarup |
ユニセフが支援する水の供給所で水を汲み、家に帰る子ども。 |
<水と衛生>
- ユニセフは、パートナー団体と共にバンギ、ブアル、ボッサンゴアで18万以上に給水支援を実施、水や衛生用品(せっけんや貯水用の容器など)を11万5,000人に配布
- バンギでは、キャンプやイスラム系居住区(PK12)に毎日、飲料水をトラック運搬
- 故障中の手押しポンプの修繕や衛生習慣を広める人材育成や広報活動もなども実施
- 雨季の到来を控え、コレラ感染の可能性が高まっており、浄水剤の備蓄のほかスタッフへのトレーニングを実施
<保健>
- パートナー団体である赤十字と共に蚊帳の配布を実施、マラリア診断キットや医薬品、医療品を地方にも提供
- これまでにバンギでは328人がマラリア治療を受け、地方の移動チームも265人を治療
- コレラ治療キットをバンギの倉庫で備蓄、地方で使用する分も含めて用意
<HIV>
- 抗レトロウイルス薬を11州の病院に提供、HIV陽性の子どもと妊産婦約1,300人用
- HIV検査キットも提供
<栄養>
- これまでに重度の急性栄養不良の子ども5,075人を治療
- バンギ、ボッサンゴア、ブアルで、栄養不良と診断された子どもは6万4,646人、うち2.6%が重度、3.7%が中度
重度・中度の栄養不良の子どもは、栄養治療食による治療を受けている
- カガバンドロででは、病院関係者12名に急性栄養不良に関する研修を実施
- すぐに摂取可能な栄養治療食と亜鉛を提供し、投与を開始
- 避難所の中には、人道支援のアクセスができずに、食糧や保健ケアが受けられない地域もあり、特に5歳未満の子どもや妊産婦の栄養状況が近いうちに悪化することを危惧
<子どもの保護>
- ユニセフなどの調査で、子どもが攻撃の直接の対象となっていること、性的暴力を受けていることが判明、子どもの権利が深刻に侵害されている
- バンギ近郊や西部の主要な街で、アンチバラカに女の子を含む子どもの存在や子どもを暴力行為に徴用するといったことが増えており、実態を集約している
- バンギ、ブアル、カガバンドロで、すべての関係者を交えて、旧セレカの武装勢力に関与させられている子どもたちとアンチバラカによる子どもたちの徴用を停止させ、解放し、コミュニティに戻れるプログラムの協議を行っている
武装勢力に関わっているとみられる子どもは6,000人以上、性的暴力を受けたのは363人
- 休止状態だったバンギの職業訓練センター(ドンボスコセンター)が再開し、121人(女子41人、男子80人)が農業や大工仕事などの訓練を受ける。うち女子21人、男子26人は武装勢力に関与していた子どもたち
- 2013年12月初旬以降、家族とはぐれた子ども750人を確認(バンギ668人、Yaloke1人、カガバンドロ21人、ブアル60人)
- バンギでは、家族とはぐれた子ども18人が里親のもとに、26人が支援団体のもとに身を寄せている
- カガバンドロでは、21人の子どもの家族再会を進めているが、国境の問題もあり、ユニセフ・チャド事務所と連携
- これまでに家族のもとへ帰れた子どもは429人
- バンギとLafaye、ボッサンゴアで314件の性的暴力を確認、増加するとみられる
- カガバンドロでは「子どもにやさしい空間」が設置され、若者や子ども3,172人、幼児4,811人が登録
<教育>
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© UNICEF/NYHQ2014-0326/Jan Grarup |
バンギの避難所に設置されたユニセフが支援する臨時の教室に通う生徒。 |
- 3月5日に教育省が学校の再開を宣言し、ユニセフはこれを支援
- ユニセフは教具などを詰め合わせた「箱の中の学校」や学用品を提供
- 臨時の学習スペースの設置も進めており、バンギで94カ所、ボッサンゴアで21カ所設置
- 他地域にも臨時学習スペースの設置を進めようとしているが、治安の関係で厳しい
- 一例では、カガバンドロは治安が悪く、公立学校はすべて休校し、私立学校1校のみが開校している状況
- 学校再開が可能そうな地域では、再開できるよう教員への定期的な給与の支払いを含め、取り組みが必要
- 学校再開のために5つのNGOをパートナーとして選定し、340の学校の再開を目指す
<開発のための教育>
- 平和的なコミュニティ内での対話を構築し、宗教指導者がバンギ市民に平和と許し、非暴力の促進を強化するために、2月にワークショップを2回開催
- 若者や、女性、イスラム教徒、キリスト教徒、人権活動家、法律家、メディア、地区や行政のリーダーなどを含めて、社会的統合を戦略的に反映するためのフォーラムも実施
- 3月にはジャーナリスト向けの研修も実施
参考情報:中央アフリカに関する統計
総人口 448万4,000人、18歳未満人口 209万8,000人 5歳未満人口 65万8,000人
5歳未満児死亡率(出生1, 000人当たり) 164人(世界で6番目の高さ)、
国民一人あたりのGNI(米ドル)470米ドル、出生時の平均余命 48年
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