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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

中央アフリカ共和国:
傷つけ合うイスラム教徒とキリスト教徒、
暴力に怯える子どもたち、平和を切実に願う人々

【2014年4月3日 中央アフリカ共和国・バンギ発】

「娘も、結婚したばかりの娘の夫も、そして私の弟も、あまりにも無残な方法で殺されました。遺体は損傷が激しく、身元が分からないほどでした」(ヌルムハマットさん)

イスラム教徒の住民:
“隣の国へ逃げよう” 訴える子どもたち

イスラム教徒のヌルムハマットさんは不安定な状況が続いているバンギのPK5と呼ばれる地域にある集合住宅に、92人の住民と共に身を寄せています。その集合住宅は、ヌルムハマットさんが亡き父から譲り受けたもので、妹のヌサファトゥさん一家も共に生活を送っています。

ヌサファトゥさんの子どもたちは、「チャドかカメルーンに避難したい」と母親に訴えます。

しかし、中央アフリカ共和国で生まれ育ったヌルムハマットさんは、幼いころから慣れ親しんだバンギから離れたくはありません。

キリスト教徒の住民:
最低限の安全を求め、修道院に

「武装勢力がやって来て、銃で住民を襲撃しはじめました。そして、遺体を川に投げ捨てたのです。両親の遺体を川から引き揚げるため、人道支援団体に助けを求めました。本当に悲惨な状況でした」と、マリエ・ルイースさんが辛い経験を語ります。

キリスト教徒のマリエ・ルイースさん一家も、身を守るため、町の外れにある修道院への避難を余儀なくされました。丘の上の修道院を囲う赤レンガの壁の中に、3万7,000人以上の住民が身を寄せています。

修道院に避難している住民は簡易テントを設置して生活を送っています。木と木の間にロープを張り、その上に防水シートをかけた簡易的な作りのため、プライバシーも十分ではなく、寒さから身を守ることもできません。子どもたちは地面に布製のマットをひき、その上で寝ています。

かつて教師として働いていたマリエ・ルイースさんは、子どもたちは常に怯えていると語ります。「たとえ学校が開校されたとしても、先生は子どもたちの命が危険にさらされることを恐れ、登校させることを躊躇するでしょう」

マリエ・ルイースさん一家のような自宅からの避難を強いられている住民にとって、修道院などの国内避難民のための避難施設は、最低限の安全を提供しています。

平和を望む人々

避難所に身を寄せる子ども。
© UNICEF Video
アフリカ共和国では約60万1,000人の住民が避難。なかには、国内避難民のための避難所に身を寄せている人もいる。

中央アフリカ共和国には、ヌルムハマットさんやマリエ・ルイースさんのような人々が60万1,000人います。ユニセフやパートナー団体は、住民の命を救うための支援活動で主導的な役割を担っています。ユニセフの支援で14万9,000人の子どもがはしかの予防接種を受け、13万8,000人以上の避難民が安全な水にアクセスできるようになりました。2万3,000人の子どもたちが、ユニセフが支援する臨時の学習スペースに通っています。

しかし、住民に再び平穏な日が戻るまでの道のりは長く、時間がかかるものです。

困難な状況に直面しているにも関わらず、ヌルムハマットさんやマリエ・ルイースさんは希望を捨てていません。「平和が戻れば、全てうまくいくのです」とヌサファトゥさんが語ります。

ヌルムハマットさんも、「復讐をしようなどとは、思いません。どうしたらこの国で皆が平和に共存し、暮らしていくことができるのかを、常に考えています」と話します。

町の反対側で生活をおくる、マリエ・ルイースさんは、「子どもたちは明日への希望です。子どもたちが学校に通うことができないこの現状に、きちんと目を向けて考える必要があります。このような状態が続いたら、この国はどうなってしまうのでしょうか」と語っています。

イスラム教徒も、キリスト教徒も、あらゆるコミュニティの住民が自宅からの避難を強いられ、困難な生活をおくっています。このような状況の中、最も高いリスクにさらされているのは、子どもたちなのです。

ユニセフは中央アフリカ危機に対する緊急支援のため、2014年に6,200万米ドルの支援を国際社会に求めています。

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