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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

中央アフリカ共和国:
"空っぽの教室"
占領や略奪、崩壊する教育現場

【2014年4月29日 中央アフリカ共和国・バンギ発】

空っぽの教室を見つめる教師のマーク・タマラさん
© UNICEFRCA/Matas/2013
略奪されたグアンゴのエタデラピデス高校で、空っぽの教室を見つめる教師のマーク・タマラさん。

泥沼化する紛争に歯止めがかからず、子どもたちが危機にさらされている中央アフリカ共和国。ユニセフ・中央アフリカ共和国事務所のマドレーヌ・ローガン広報官による、現地からのレポートです。

* * *

多くの学校は占領され、教育体制も崩壊

本来であれば10月から新学期を迎える中央アフリカ共和国の学校。しかし、それから4カ月経過した2月になっても、教育現場で何が起こっているのか、その状況はほとんど把握されていませんでした。

2012年12月に始まった、民族間および宗教間の武力衝突は、この国の教育体制をも崩壊させてしまいました。校長と視学官、中央アフリカ共和国教育省が取り合っていた連絡体制も途絶えてしまいました。2013年8月に実施した調査によると、初等教育を受けていた子どもの70%が復学していないこと、そして、教師も避難し、多くの学校が紛争以来占領され、略奪されていたことが、明らかになりました。

今年2月、「状況は改善したのか、もしくは、更に悪化したのか」「何人の生徒が学校に在籍しているのか」、そして「どうしたら信頼できる情報を手に入れることが出来るか」といった課題に直面しました。

しかしながら、陸路を使って学校まではるばる赴くという、従来の調査を実施するには大きな危険が伴います。なぜなら、国内で安全に通行できる道路はわずか数本しかなく、その道ですら、武力衝突が発生したときには、突然閉鎖されてしまいます。

教育現場の状況を調査する唯一の方法は電話

臨時の学習スペースのひとつで勉強をする子どもたち
© UNICEFRCA/Grarup/2014
中央アフリカ共和国内に100以上ある臨時の学習スペースのひとつで勉強をする子どもたち。

そのため、実施できる唯一の調査は、電話によるものでした。教育省から提供された電話番号のリストには、連絡が必要な150人の視学官の連絡先のうち、100もの連絡先が実際には存在しないか、誤った番号でした。

国の教育クラスターから派遣された7名のボランティアは、10日間、必死の思いで正しい電話番号を探しあて、それにより、全国の教育現場の状況を把握するために必要な答えを見つけました。

リストに載っている全員に連絡をし、調査の質問だけでなく、彼らの同僚の連絡先も尋ねました。このようにして、私たちは、徐々に全国の教職員データベースを再構築することが出来ました。そして、中央アフリカ共和国の教育現場の状況についてよりはっきりとした全体像を描くことが出来ました。

<調査の結果、判明したこと>

  • 調査対象の65%の学校が閉鎖
  • 昨年10月以来、開校したのは平均でたった4週間
  • 2012年度に在籍していた生徒のうち、37%が2013年度は在籍せず
  • 調査した355校のうちの3分の1の学校が、直近数カ月の間に武装グループにより、銃撃、放火、占領、略奪などの攻撃を受けた

一刻も早く教育の再会を

紛争に巻き込まれた子どもたちにとって、教育を再開することは重要です。教育は、子ども兵士としての徴用、児童労働、性的虐待やその他の搾取などのリスクから遠ざけてくれます。また、子どもたちに正常感覚、安定感、そして学ぶための安全な空間を与えてくれます。緊急時において、一刻も早く教育が再開しなければ、世代全体が教育を受けられず、自分たちの社会の復興に貢献する準備もできないままになります。

知識は力になります。私たちはこの情報を使って、開校している学校にはより良い支援を行い、まだ閉鎖されている学校については再開させるため、教育省と連携します。

ユニセフは、世界食糧計画(WFP)や他のパートナー団体とともに、この中央アフリカ共和国教育クラスター調査を実施しました。

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