|
|
ハイチ:
|
© UNICEF Haiti/2014/Fanfan |
ミローネの人里離れた地域に住むマリーネさん。国を挙げたキャンペーンで、母子破傷風の予防接種を受けました。 |
ハイチは現在、妊産婦と新生児の破傷風を根絶させるために国を挙げたキャンペーンを実施しており、たくさんの女性が予防接種を受けています。マリーネさんが住むミロールの村は、ハイチの南東部県の人里離れた地域にあります。マリーネ・ジーンさんは注射針が刺さっても、痛がりません。
マリーネさんは仕事を終え、予防接種に関する啓発集会に参加しました。「私は夫と2人の子どもと一緒に、ずっとこのミローネで生活しています。この集会に参加して、破傷風の予防接種は母親だけでなく、子どもの健康にとっても大切なものだと分かりました」と話しました。
マリーネさんは現在、32歳です。このキャンペーンは、全県の子どもの出産が可能な年齢の15〜49歳の女性130万人に予防接種を行うことを目標にしています。
妊産婦および新生児の破傷風は極めて深刻な病気で、新生児の場合、死亡率は高くなります。母体が破傷風の予防接種を受けていれば、新生児破傷風の予防は可能です。カリブ海諸国における妊産婦と新生児破傷風のおよそ半数の症例は、ハイチで発生しています。
ミローネは、ハイチ南部の都市ジャクメルから車で3時間ほどにある、東南部県の主要な町です。しかしジャクメルからミローネへの道のりは、地割れや崖などもある山道を進まなくてはいけません。
人里離れたミローネには、保健センターも学校もありません。公共サービスは行き届いておらず、電気も通っていません。民家も点在しており、その距離も離されています。
© UNICEF Haiti/2014/Fanfan |
国中の女性に破傷風のワクチンを投与するため、時には徒歩で、遠く離れた場所まで赴きます。 |
ユニセフは2015年までにハイチから妊産婦と新生児の破傷風を根絶させるため、公衆衛生・人口省を支援しています。これら破傷風の根絶には、ミローネや同じく南東県にあるバイネットの市町村など、人里はなれた地域でも支援を行うことが必要不可欠です。
メルセデス・マリエ・アレクシスさんは、バイネットで23年間主任看護師として働いており、予防接種の活動全般を取り仕切っています。「保健センターは、遠いところにしかありません。予防接種を受けるには、長距離を歩いかねばならず、ほとんどの場合、必要な回数まで予防接種を受けられません。出産可能な年齢の女性や子どもたちを破傷風から守るためには、予防接種を行う拠点施設をつくることが必要不可欠です」とアレクシスさんは語りました。
予防接種キャンペーンの実施が、町で案内されました。アレクシスさんは、予防接種を受けに来た女性たちに、アナウンスが届いていない可能性のある人たちにも情報を広めてもらうようにお願いしました。
予防接種キャンペーンの第3段階では、アレクシスさんは公衆衛生・人口省の職員が予防接種を行うスタッフと共に、長距離を徒歩で現場に向かいます。灼熱の太陽の下、吹き続く突風のなか、女性たちのもとに支援を届けるためには6時間歩き続けることもいといません。
アレクシスさんは、「もし私たちが距離を理由にあきらめるくらいなら、女性たちから私たちがいる場所まで予防接種を受けには来ないでしょう」と話しました。
© UNICEF Haiti/2014/Fanfan |
バイネットの学校で予防接種を受ける女の子。 |
マリーネさんは幸いにも徒歩10分圏内で予防接種を受けられましたが、この地域に住む多くの女性は、徒歩で2時間以上かけて予防接種に訪れます。
これまで実施した2回のキャンペーンでは、目標人数を超える女性に予防接種を行えました。「今年のキャンペーンは、破傷風のリスクが高い65の自治体で実施しました。来年は、残りの75の地域で実施する予定です」(ユニセフ予防接種専門家のジャクソン・アーンスリー)
【関連ページ】