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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

インド:ビハール州の洪水で一番影響を受けているのは女性と子ども

【2008年9月3日 インド・アラリア発】

洪水から逃れてきた一家。インドのビハール州、バスナハ高校に設置された避難所にて。
© UNICEF India/2008/Rahi
船がない人は、洪水の中を避難所まで歩かなければならなかった。

サフェダ・カツゥムさんは、コシ川の凍えるような冷たい水で、生まれたばかりの彼女の赤ちゃんを亡くしました。彼女の家族が、大騒ぎでどのように赤ちゃんを亡くしたかを説明して回っているときでさえ、18歳のサフェダさんは、固く口を閉ざしたままでした。

ザフェダさんとその一家は、家の中に水が入ってきたとき、慌てて目を覚ましました。夜の間に川が増水し家が水浸しになったのです。

一家は洪水に流されそうな家を出て、家畜も作物も捨てて逃げ出しました。そのときです、妊娠8カ月のザフェダさんは、急に産気づきました。凍えるように冷たい水をかきわけ、やっとのことで高い土地に逃れた一家。ザフェダさんは男の子を出産。しかし、8時間後に、その子は亡くなりました。

「ビハールの悲しみの河」

8月18日に、ネパールのクサハ地区で堤防が決壊して以来、インド東部のビハール州の大半は洪水に見舞われ、大きな被害にあっています。

被災者は、インドで270万人近く、ネパールでおよそ7万人。「ビハールの悲しみの河」として知られるコシ川ですが、過去にも何度も洪水を起こし、大規模な被害をもたらしています。そして、その被害は、1日46セントで生活する貧困層の多くの人たちに影響をもたらしているのです。

「洪水が起きなくても、ビハール州の状況は決してよくありません。このたびの被害で、多くの人たちが窮地に立たされます」と語るのはユニセフの緊急事業の専門家ムケシュ・プリ。

支援を提供

洪水から逃れてきた一家。インドのビハール州、バスナハ高校に設置された避難所にて。
© UNICEF India/2008/Rahi
洪水から逃れてきた一家。インドのビハール州、バスナハ高校に設置された避難所にて。

報道では、洪水の影響で50万人が避難を余儀なくされ、198の避難キャンプが設置されたといいます。

地区当局は、キャンプを設置し、食糧、水、医薬品を提供。テントに使えるビニール・シートも避難民に配られています。ユニセフは浄水剤、下痢性疾患に対処するためのORS(経口補水塩)、使い捨てタイプのお産キット、ビニール・シート、ビタミンA補給剤、そのほかの支援物資を提供しました。

スパウル地区にある一番大きな避難所のひとつには、マタニティ専用の棟が設置されました。1カ月内にあと40棟は同様のものが各地の避難キャンプに設置される予定です。

栄養、水、衛生面でのニーズ

アラリアとスパウル地区では下痢性疾患の報告も入っています。これは、避難している間に汚れた川の水を飲んだ人たちがかかっているものです。

ほとんどの避難キャンプには手押しポンプがあり、今のところ飲み水が確保されていますが、避難民の増加にあわせてささらに多くの手押しポンプを設置する必要があります。また、同様にトイレも設置しなければなりません。キャンプ内や道路脇に捨てられている固形ゴミにより、水や生物を媒介にして感染症が起きる可能性があります。

ユニセフは浄水剤、衛生キット、すぐに採ることができる栄養補給食品を含む、必須支援物資を提供できるよう準備を進めています。

避難キャンプでの困難な生活

より多くの人たちが避難してくると、避難キャンプでの状況そのものが悪くなり、女性と子どもが困難な状況に陥る可能性があります。

「堤防が直されないかぎり、避難民は自分たちの家に戻ることができません。つまり、3〜6カ月は避難キャンプにとどまることになります」と語るのは、アライアで緊急支援を担当する特別判事サンディップ・ポンドリック氏です。

「かなり大掛かりな人道支援が必要です」と彼は言います。

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