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ユニセフ:インドネシアの遠隔地に支援を届けるエクイティー戦略【2011年5月2日 米国/ニューヨーク発】
地図は参考のために掲載したもので、国境の法的地位について何らかの立場を示すものではありません。
アトゥブル・ドルはインドネシアの中でも遠い場所に位置する村です。首都のジャカルタよりも、オーストラリアのダーウィンに近い南東の島、ヤムデナ島にあります。 美しい風景と人っ子ひとりいない浜を見ていると、ヤムデナはまるでパラダイスのようです。しかし、地元の人たちにとってみると、このパラダイスも、苦労の代償なくしては住めないところとなっています。インドネシアは膨大な天然資源を有し、G20のメンバーでもあります。しかし、ヤムデナ島のようなところにまで、その繁栄は及んでいません。 「とても心配しています。子どものためだけでなく、村人全員のためにも」と語るのは、アトゥブル・ドル村の村長、アレクサンダー・スニョンプワイムさん。「村が小さいので、機会やサービスに恵まれていないのです。助けが必要です」 遠隔地の村に保健ケアを
ユニセフのマラリア担当官オリヴィ・シララヒ医師は、定期的にヤムデナ島を訪れます。飛行機、車、フェリー、アウトリガー・カヌー・・・いろいろなものを乗り継いで現地に向かいます。とても大変ですが、昔に比べれば大分楽になったそうです。 「ここ数年で、飛行機の便数も増えました。毎日、便があるので、とりあえずここに来ることができます。以前は大変でした。1週間、2週間待たされることもありましたから」とシララヒ医師。 隣村のロロルン村は、アトゥブル・ドル村、そのほかの貧しく、自らの診療所を持つことができない村の分まで保健ケアを担当しています。 「私たちの保健サービスは、ユニセフが入る前にも、なんとかやっていける程度のことはしていたのですが、改良の余地はありました。ユニセフが来てからというもの、大分良くなりましたね」ロロルン村の保健センターの責任者、アグスティヌス・ジャバルマセさんは言います。「今では、うちの保健センターから、遠隔地の村に毎月、サービスを提供できるようになりました」 貧困ライン以下
インドネシアには17,500の島があります。国が、地理的に横に長く伸びているため、必ずしもすべての人々が国の経済的な繁栄に浴すことができないでいます。人口の3分の1は、国際的な貧困ライン以下の生活をしています。 「インドネシアは、ミレニアム開発目標を支援するために、所有している資金や財産を使うべきです。それもエクイティー(公平性)を持って。そうしなければ、失われる機会は膨大なものとなります」こう語るのは、ユニセフのインドネシア事務所のアンジェラ・カーニー代表です。 大きな成長が見込めながら、その機会を逸しているものの中に教育があります。インドネシアの子どものほとんどは、小学校に通っています---就学率は85%ほどです---が、その上の中等教育に進む子どもたちが少ないのです。 ユニセフは、政府とパートナーシップを組み、困難な状況にある家庭の子どもたちが、学校に行き続けられるよう、予算を多く割り振る方法を模索しています。 大きな課題インドネシアは、妊産婦、5歳未満児、乳児の各死亡率の面では改善を見ていますが、その陰で、大きな課題を抱えています。5歳未満児の5分の1が低体重なのです。農村部の世帯の3分の2近くが適切な衛生施設(トイレ)を持っていません。また、HIVは、東のほうの州で今もって脅威となり続けています。 これからの5年間、ユニセフは、インドネシアが享受する繁栄の恩恵が、インドネシア国内のすべての人たちにいきわたるよう、パートナーと共に努力していくつもりでいます。 「多くの点で、インドネシアはラッキーです。資源も膨大にあります。ユニセフの役割としては、国がその資源を上手に使えるよう支援することにあります」とユニセフのカーニー代表。「それをしないことは、それをすることで得られる恩恵より、はるかに高くつくことになります」 「助けが必要です」診察所がなく、電話もない、電気は12時間しか使えない。このような状況下では、アトゥブル・ドルの村民たちに、エクイティーはなかなか訪れないのかもしれません。 「ここは私たちの村、土地、自宅です。私たちが生まれた場所なのです。良いサービスがあろうが、あかろうが、ここに住むことができて幸せです」と語るのはスニョンプワイム村長。「こうした状況ですから、国、そのほかの機関の助けが必要です。村を建て直し、ほかの村と同じようにするにはみなさまのご支援が必要なのです」 |