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マリ:写真を通して子どもたちに力を【2011年4月28日 マリ/バマコ発】 ハワ・コリバリーさん(16歳)は、ここ9カ月にわたって、服の仕立て方を学んできました。でも、写真にも興味が湧いてきたようです。「写真の研修が終わる頃までには、自分が描いた服のデザインを写真に撮れるようになるといいのだけれど」と彼女は『Eye See(アイシー)ワークショップ*』の初日に述べました。 *デジタル写真撮影を通じて、子どもたちが自分の生活について「発信」し、自分の考えや感情を「表現」し、これを周囲と「共有」する機会を提供するプロジェクトです。 グローバルな支援事業
コリバリーさんは、マリの首都バマコで今月開かれたフォト・ワークショップに参加した10歳から18歳までの21人の若者たちのひとりです。このワークショップは、国際的に有名なカメラマンであるジャコモ・ピロッツィ氏が指導するもので、5日にわたって開かれました。Eye See ワークショップは、2005年のパキスタン大地震で被災した若者たちのために開かれて以来、7回目となり、世界各国で開催されています。 マリでのEye Seeワークショップは、ユニセフとソニー株式会社とのパートナーシップで実現されました。日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)が推進役となっています。地元では、子ども若者ワーカーズ協会(AEJT)と写真研修促進センター(CFP)が実施団体です。 「次世代のためにツールや機会を提供できるのは、私どもの喜びとするところです」とソニー株式会社CSR部の統括部長冨田秀実氏。同氏はワークショップの全ての日程に参加し、子どもたちが初めてデジタルカメラに触れ、表現する瞬間を共有しました。「マリにて、ワークショップが今年1年を通して継続され、子どもたちの間にこの喜びが広がっていくのは私どもとしてもとても嬉しいです」 CFPで実施されているこの研修では、女子10人、男子10人が、社会技能訓練を受けながら、また、安全な空間で、自らが持っている子どもとしての権利について学びながら、撮影に関する知識を学びました。カメラ、撮影技術、現場での取材方法などについて学んだのです。 子どもたちに「声」を発する場を提供
「こうしたワークショップを通して、子どもたちは、カメラの使い方だけでなく、どのようにストーリーを伝えたら良いか、どうしたら撮影した物が見る人たちに訴えるかを学びます」と世界中でフォト・ワークショップを実施しているピロッツィ氏。「撮影のテーマや場所を選ぶのは、彼ら自身です。コミュニティで何が起きているのか、子どもたちはとても良く分かっていますよ」 ワークショップの参加者たちは、子どもたちのために、また子どもたちと一緒に活動する現地の団体を通して選ばれました。AEJTのほか、全国子ども議会、子どもと若者コミュニケーター推進協会、コミュニティ社会センター、サム・ソーシャル、カヌヤ、シギヤートンが今回の参加者たちを推薦しました。 アマドゥ・ケイタ君(15歳)は、全国子ども議会でも活発に活動している子ども代表です。子どもの権利の唱道者になるべく頑張っています。「子どもたちの権利がどのような形で侵害されているかを、写真を通して立証していきたいんだ」とアマドゥ君はワークショップで述べました。 CFPでは、参加型のこのプログラムを、今年いっぱい、別の子どもたちのために毎週土曜日、2時間ずつ開催する予定でいます。より長い研修を通して、デジタル写真術、ニュース・ジャーナリズム、著作権、オーナーシップ、ストーリーの執筆方法、写真展用の写真の作成方法、ソーシャル・メディアの使用方法などについて教えていく予定です。 「変革の主体」としての子どもたち「写真は、若者たちに声を提供する方法のひとつです。また、家族や国の中で、徐々に変革の主体となる方法を提供するものです」とマリのユニセフ事務所マルセル・ルダシングワ代表は言います。 ワークショップの成果を展示する2つの写真展が、マリでは開催されます。最初は、6月16日の「アフリカの子どもの日」に、もうひとつは、年末に実施される、「隔年写真展:アフリカ人、写真と出会う」という巡回展示の中で、バマコ市内を回ります。 |